-
業種・地域から探す
続きの記事
関西特集
図解!大阪・関西万博 未来技術編
先進的取り組み世界にアピール
2025大阪・関西万博の会場である夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)はパビリオン展示での未来体験だけでなく、未来社会の実証の場として会場内でも多様な未来の姿を体感することができる。会場内外での交通手段やエネルギーなど、さまざまな先進的な取り組みを世界へアピールする。〝万博の華〟となる海外パビリオンでは各国のコンセプトも明らかになり、独自に設計・建設する「タイプA」の建設も始まり、注目されている。
モビリティー/事業化目指す空飛ぶクルマ 自動運転実証も本格化へ
空飛ぶクルマの活用や事業化を目指し、遊覧飛行や2地点間移動などを大阪・関西万博で行う計画。万博会場の北西部分にある、先進的なモビリティーの体験エリア「モビリティエクスペリエンス」で会場内ポートの準備を進めている。
23年12月には万博会場である夢洲の近くで独ヴォロコプターと住友商事が2人乗りの空飛ぶクルマ「ヴォロコプター2X(ツーエックス)」を試験飛行した。乗組員の作業や管制塔との通信環境確認などを行った。万博ではツーエックスと同じ2人乗りの「ヴォロシティー」の遊覧飛行などを想定している。
また関西電力とスカイドライブ(愛知県豊田市)は、空飛ぶクルマ用充電インフラ設備を共同開発する。空飛ぶクルマの運航を目指して、スカイドライブの飛行場に共同開発中の充電インフラ設備を設置し、実証を進める。今後、夢洲で整備予定の離着陸ポートへ設置して運用する計画。大阪府も24年予算で、空飛ぶクルマの離着陸場整備補助などに3億9200万円を投入するなど、力を入れている。
会場内や外周、会場までのアクセスに使用する電気自動車(EV)バスも積極的に導入し、ノウハウを発信する計画。約100台のEVバスに実際に乗ることができ、万博会場内や会場までのルート走行をする。また特定条件下で運転を完全自動化する「レベル4」の自動運転などを融合させる実証もする。
25年までに自動運転の実証実験も行う。大阪メトロでは25年度までに大阪・関西万博の会場である夢洲に延伸する中央線の夢洲駅と大阪港駅の間で添乗員付き自動運転の「GoA2・5」レベルで自動運転の実証実験をする。バスは万博会場内ではレベル4で運行することを目指している。また大阪市も、新大阪駅・大阪駅と万博会場を結ぶルートで、実装予定の自動運転バスの実証実験を3月上旬まで行った。
エネルギー/水素利用で脱炭素、資源循環 会期後の取り組み継続も視野に
万博会場では、次世代のエネルギーとして水素を使ったモビリティーや、資源循環などもアピールする。水素燃料を動力とする次世代船舶の運営も活用する。万博の開催に向けて整備する旅客船の発着拠点などになる中之島ゲートターミナル(大阪市西区)から万博会場まで、岩谷産業などが開発する水素燃料電池船の旅客運航を計画する。燃料電池船のサイズは全長30×幅8メートルで、定員は150人。時速約20キロメートルで運航する。運航は京阪グループの大阪水上バス(大阪市中央区)に委託する予定だ。
脱炭素や資源循環の取り組みも実証し、万博での取り組みが万博後にも受け継がれるようにする。万博会場内の大気中の二酸化炭素(CO2)や、食品残さなどを活用したカーボンリサイクルの実証に、地球環境産業技術研究機構(RITE)、エア・ウォーター、大阪ガスなどが協賛する。
大阪ガスは回収したCO2と水素をベースに、都市ガスの主成分であるメタンを合成する「メタネーション」を実証する。同社は大阪市此花区酉島地区で新しい研究開発拠点を建設する。エネルギー技術研究所など、同地区にある既存拠点を集約。水素とCO2から合成メタン(eメタン)を製造するメタネーション技術を中心に、研究開発体制を強化する。屋外フィールドでは固体酸化物形電解セル(SOEC)メタネーションを実証する。万博会期中の完成予定のため、これらの施設を万博で見学できるイベントなども開催する予定だ。