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関西特集
未来のヘルスケア体感―大阪府・大阪市万博推進局
大阪府・大阪市万博推進局は2025年大阪・関西万博で大阪府と大阪市が運営するパビリオン「大阪ヘルスケアパビリオン」の出展企画を協賛企業と練るとともに世間の万博への関心度を高める活動を展開している。彌園友則局長に大阪ヘルスケアパビリオンの特徴、機運醸成で注力する取り組みなどを聞いた。
オール大阪で技術示す
―万博開幕が約1年後に近づきました。
「万博は時代を変えるエネルギーを持つ世界的プロジェクト。前回大阪で開かれた1970年大阪万博で披露されたワイヤレステレホンや自動改札機は現在の日常生活の必需品として普及してきた。今回の万博は160カ国が集まり、人類の課題を解決するための技術、サービスを共有する機会になる。イノベーションを重ねて次の時代を築くものが展示され、未来を展望できる」
―将来を担う子どもへのPRも大事です。
「未来を創造する子どもにも足を運んでもらう必要がある。スマートフォンやインターネットが普及してリアル社会に触れる機会が減る中、万博で未来の暮らしを五感で感じてもらい、どの分野にチャレンジするのか、夢や希望を持つきっかけにしてほしい」
―大阪ヘルスケアパビリオンは枠組みから特徴を出しています。
「万博の自治体パビリオンでは初めて産官学で取り組む。民間企業の協賛を得て、REBORN(リボーン)をコンセプトに〝オール大阪〟で展示する。大阪の世界に誇れる強みであるライフサイエンスやヘルスケア関連の技術のポテンシャルを示す。大阪の企業など100社以上が参加予定だ」
―50年の未来社会をストーリー立てて紹介します。
「入り口に設けたパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)ポッドで来館者の筋骨格や心血管の状態などの健康データを取り、スコアとして記録する。乗り物から将来の大阪の街並みを見てもらった後、PHRに基づいてモチーフされた25年後の姿、形をしたアバター(分身)に出会う。健康面のよいところも悪いところも分かり、個人に最適化したへルスケアフードや運動、美容関連の体験をしてもらう。それでアバターも元気になって躍動することで健康への意識を高めてもらう」
―命や健康に特化した体験ができます。
「人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた心筋シートや生きる心臓モデルの展示で再生医療を体感できる。また金融機関などがホストとなり、300社以上の中小企業、スタートアップの技術、製品を週ごとに見せる。PHR体験の100万人を含め計280万人の来館を見込む」
―レガシーとして残すための取り組みは。
「大阪ヘルスケアパビリオンの一部を残す方向で活用方法の市場調査を始めた。万博で国内外のビジネス交流やマッチングが図られて大阪のプレゼンスが高まり、関西や日本の成長につながる」
―機運醸成が課題です。
「23年12月のアンケートで認知度は高まったが来場意向度が落ちた。各パビリオンの観覧予約開始時期を挟む9―11月をPR重点期間とし、各パビリオンの展示概要や万博会場で体験できることを情報発信する」
30年以降見据えた取り組み発信/大阪ヘルスケアパビリオン
「大阪ヘルスケアパビリオン」は大阪府と大阪市の地元自治体が運営する。パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)を基に栄養や身体、心に関する未来のヘルスケア体験ができるREBORN(リボーン)体験ルートを中心に、未来の都市生活をストーリー立てて紹介する。
拡張現実(AR)グラスなどを用いたクロスリアリティー(XR)シアター、大阪の新たな食文化発信ゾーンなども設ける。事業規模は約160億円と試算している。
大阪の企業や研究機関、自治体、府民の知恵とアイデアを結集して生活の質(QOL)向上につながる技術やサービスを展示する。最先端の医療技術や街中のスキャンマシン、都市移動用モビリティーなど大阪の活力や魅力による未来社会のモデルを示す。
命や健康の観点から未来社会の新たな価値を創造、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成目標である2030年以降を見据えた取り組みを世界に発信する。