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関西特集
アイデア集結 機運高める/関西経済連合会
大阪・関西万博で経済界は会場建設費の3分の1負担や前売り入場券の大量購入、全国的な機運醸成活動などで全面協力する。そのけん引役を務めるのは、関西経済連合会の松本正義会長だ。開幕まで約1年、万博にかける思いを聞いた。
適切な情報発信必要
―2017年の誘致活動時から、経済界で一番長く万博に関わっています。
「いよいよ開幕まであと1年に迫ってきた。関経連では万博で関西経済を活性化しようと、誘致時から活動に力を入れ、会員企業も資金集めや前売り券の購入など本当に協力的だった。海外パビリオンの建設遅れなどで一時期、万博は大丈夫かと思ったこともあった。ただ国がてこ入れし、関係者がいろんなアイデアを出し、今は万博を25年4月13日にオープンできるとの思いを強くしている」
―万博会場で象徴となる大型木造建築物「リング(大屋根)」も23年末に視察されたそうですね。
「リングは世界最大級の木造建築物だ。高さも20メートルぐらいあり、建設が進むリングの上に登った。そこから説明を受け、ながめてみると、万博全体のイメージがわいた。この建築物は万博自体の効果を高められる。後の活用をどうしていくかといった課題はあるが、大きな目玉であるのは間違いない」
―日本国際博覧会協会では副会長と機運醸成委員会委員長も務めます。開幕に向け、どう盛り上げていきますか。
「協会として機運醸成に力が入ってきた。会議でも活発にアイデアが出ている。何より会場内のパビリオンなど形が見えてきて、中身が具体化することが、本当の機運醸成の武器になる。適切なタイミングで情報発信を行い、私自身も万博PRや前売り券購入のお願いなど必要に応じ全国に出向いていく」
ビジネス交流への活用も
―万博運営費の主な資金源となる、前売り入場券をしっかり販売できるかは重要です。
「愛知万博の時、入場券販売の6割が前売り券だった。安定運営のため今回も同程度の前売り券を売らなければならない。関経連ではかなり前から正副会長が集まる会議などで一定枚数の前売り券購入の協力を申し上げてきた。関西の経済界で購入の流れをつくり、経団連などにも広げてもらっている。経済界全体で、前売り券の購入目標700万枚の責任をしっかり果たす」
―万博でビジネス交流なども進みますか。
「関経連には、東南アジア各国の経済団体と連携する組織『アジア・ビジネス創出プラットフォーム』がある。万博開催期間中に、同プラットフォームへ参画する各国団体トップに呼びかけ、万博視察と併せ総会を大阪でやろうと計画中だ。大阪商工会議所や関西経済同友会など他の経済団体も、万博を活用したビジネス交流を考えていると思う」
―万博のレガシー(遺産)をどう見ていますか。
「政府がまとめた万博のアクションプランには、万博で実現を目指す空飛ぶクルマや水素船などを筆頭に未来技術のアイデアが多く盛り込まれている。これらを万博後、商業ベースにする仕組みは必要と思う。9月に立ち上がるJR大阪駅北側の再開発区域『グラングリーン大阪』に拠点を置く、官民一体組織『うめきた未来イノベーション機構』を活用するのも一案だ」
「観光面でのレガシーも重要。関西の経済団体や自治体などが連携する関西観光推進協議会で、関西2府8県で8ルートほどのストーリー性を持つ観光商品を作る。万博を機に関西、西日本全体へ観光ルートを広げたい。万博後も大阪・関西では生涯スポーツの世界大会『ワールドマスターズゲームズ』や統合型リゾート(IR)など、大きなプロジェクトを控える。その中で万博は、関西が世界へ飛躍する導火線になる」