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神奈川県特集
研究発信を強化 —産学金 ②—
神奈川大学/創立100周年へ大学改革 推進
神奈川大学は2028年に創立100周年を迎える。文系・理系11学部22学科1プログラムを擁する総合大学として、人文・社会・自然科学の領域を網羅する学部・学科で構成。文系・理系にとらわれない幅広い学びを提供しているのが特徴だ。21年4月にみなとみらいキャンパス(横浜市西区)を開設したほか、23年には横浜エリアに全11学部が集結。理工学部の再編や新学科の設置など、100年に向けて大学改革に乗り出している。
総合大学の強みを生かす
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神奈川大学 副学長 秋吉 政徳 氏
神奈川大学は創立100周年の28年を最終年とする5カ年の中期計画を24年にスタートさせ、2年目に入った。研究分野ではカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に対する施策を進めている。自然科学分野にとどまらず、法整備や社会活動への影響など社会科学・人文科学分野を含めた幅広い分野で研究を推進する。研究や産学官連携、社会連携を担当する秋吉政徳副学長は「総合大学の強みをどう出していくか。大学教員の力を結集してテーマを設定し、重点的に推進する仕組みをつくっていきたい」と強調する。
秋吉副学長は「研究力と研究発信力を両輪に、大学として社会に貢献していきたい」と話す。研究発信力の強化ではホームページやSNSによる情報発信のほか、公開シンポジウムの開催にも力を入れる。例えば、情報学分野をリードする学外の有識者を招き、23年から毎年「情報学シンポジウム」を開催している。今年は生成AI(人工知能)等を含む情報学の発展をテーマに開催。秋吉副学長は「こうした公開シンポジウムを開くことで、研究発信力を強化する」と意欲を示す。
スタートアップ支援を加速
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5月に開かれた情報学シンポジウムでは生成AIや情報学の発展などをテーマに討論が行われた
一方、「第二の創業ブーム」など、スタートアップ創出の機運が高まっていることなどから、スタートアップ支援を加速している。21年度に神奈川大学発ベンチャー認定制度を創設し、23年9月に第1号ベンチャー企業としてWell—Fed(ウェルフェド)を認定した。同社はAI・数理最適化技術を活用し、献立作成や需要予測に関するソリューションを給食業界に提供する。24年11月に第4号ベンチャー企業として、クルマエビでスマート養殖の実現を目指す琉球アクアファーム(沖縄県国頭村)を認定した。制度創設から認定ベンチャー企業は4社に達した。
研究開発拠点やスタートアップ機能が集積する横浜都心部に隣接している横浜キャンパス(横浜市神奈川区)とみなとみらいキャンパスの強みを生かし、スタートアップ・エコシステムの形成を目指す。みなとみらいキャンパスでは21年4月に社会連携センターを設置した。自治体や企業、団体、学校、他大学、地域住民などとの連携の総合窓口となって、研究活動との連携で地域の課題を解決する。これまでに食品、観光、アントレプレナーシップ(起業家精神)の三つの分野で、プロジェクトを立ち上げている。アントレプレナーシップ教育では、起業家がメンターとして伴走し、学生のうちから起業家精神を育成するなど、次世代の起業家の創出を目指す。
秋吉副学長は「これからの大学の研究は、社会実装までしっかりと責任を持つことが大事だ。社会実装まで見据えた責任を持った研究発信をしていく。大学としての社会貢献につなげたい」と力を込める。


