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埼玉県特集
日本一暮らしやすい埼玉県へ —県幹部に聞く—
企画財政部長 都丸 久 氏/歴史的課題への挑戦と未来への躍進
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企画財政部長 都丸 久 氏
本県は今、大きな時代の転換期を迎えており、人口減少・超少子高齢社会の到来と激甚化・頻発化する自然災害などへの危機対応という、大きな二つの歴史的課題に直面している。
こうした中で、社会全体の生産性の向上や持続可能なまちづくり、こどもまんなか社会の実現に向けた子育て支援、人手不足対策等による強い経済の構築など、あらゆる施策を総動員するとともに、能登半島地震などの検証を踏まえた入念な備えを進める必要がある。これら歴史的課題に敢然と立ち向かい、中長期的な施策を先手を打って展開し、埼玉県を未来へ向けて大いに成長・発展させていく。
こうした基本的な考えに立ち、2025年度当初予算は、「歴史的課題への挑戦」「『日本一暮らしやすい埼玉』の着実な実現」に最優先に取り組んでいく。
総務部長 表 久仁和 氏/日本一働きやすい県庁を目指して
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総務部長 表 久仁和 氏
「日本一暮らしやすい埼玉」の実現に向け、総務部では、その担い手となる優秀な職員の確保や育成、職場の環境整備を進めている。
本年度は、テレワークやフレックスタイムの活用など場所や時間にとらわれない多様な働き方をより一層推進する。併せて、業務の見直しや効率化で生み出された時間を活用したアップスキリング支援を拡充し自己実現をサポートするとともに、健康増進などを複合的に展開することで職員のウェルビーイング向上を図っていく。また、県民にとってより便利で、職員にとってより働きやすい未来の県庁の整備についても検討を進めていく。
職員一人ひとりが最大限能力を発揮し、新たな価値を創出できる日本一働きやすい県庁を目指して取り組みを進めていきたい。
県民生活部長 横内 ゆり 氏/活力あふれ誰もが輝ける共生社会の構築
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県民生活部長 横内 ゆり 氏
本年度も県民の目線に立って、活力あふれ誰もが輝ける共生社会の構築を目指す。
2025年度は、県内初の屋内50メートル水泳場の建設工事やスポーツ科学拠点施設の中心となる施設の基本計画の策定など、引き続き、両施設の着実な整備を進めていく。
また、東京2025デフリンピックの開催を機に、障害者スポーツのさらなる推進を図るほか、県内文化団体を支援するため、情報発信のプラットフォームにより県内の多彩な伝統文化の魅力を発信する。
さらには、「バーチャルユースセンター」の運用を本格化し、地域を越えたこども・若者の居場所づくりを進めるとともに、「ジェンダー主流化」の取り組みを継続し、県におけるジェンダー平等の実現につなげていく。
危機管理防災部長 武澤 安彦 氏/災害や危機に強い埼玉の構築
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危機管理防災部長 武澤 安彦 氏
本県は、激甚化・頻発化する自然災害などへの危機対応という歴史的課題に直面していることから、県民の安心・安全確保のため、さらなる備えを早急に進める必要がある。
本年度は、埼玉版FEMA推進幹を新設し、支援物資の物流オペレーション確立や通信途絶状況下での対応などの新たな訓練を実施することで、埼玉版FEMAによる災害対応力の強化をさらに推進する。
また、能登半島地震での教訓を踏まえ、県の災害対応の拠点に衛星通信機器を導入し、大規模災害時における行政機関相互のインターネット環境確保により、情報通信共有体制を維持・確保する。
さらに、県の災害オペレーション支援システムを再構築するなど、防災DXを強化していく。
環境部長 堀口 幸生 氏/環境と経済のさらなる融合を
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環境部長 堀口 幸生 氏
持続可能な社会を実現するには、循環型で脱炭素、そして自然と共生する経済への転換が必要であり、環境と経済のさらなる融合が求められている。
このため、本県では経済界の皆さまと協力・連携しながら、サーキュラーエコノミー(循環経済)、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)、ネイチャーポジティブの三つの課題解決に取り組んでいく。環境問題に対する取り組みのすそ野を広げ、継続的な活動にしていくには、無理や負担を前提とした取り組みを強いるのではなく、経済成長と両立し、新たな価値をもたらすビジネスモデルの創出が重要となる。このため環境問題の解決につながる新たな技術やビジネスアイデアの積極的な活用に向け、県民・事業者の皆さまとの連携を深めていきたい。
福祉部長 岸田 正寿 氏/誰もが希望を持ち、安心して暮らせる社会づくり
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福祉部長 岸田 正寿 氏
こどもまんなか社会の実現に向け、新たな「埼玉県こども・若者計画」に基づき、こども・若者が幸福に生活し、こどもを生むことや育てることに希望を持てる社会づくりを進める。本年度は、こどもの声を聴き施策に反映する「こども会議」の開催やいわゆる「朝の小1の壁」の解消に向けた朝のこどもの居場所づくりなどの新たな事業に取り組む。
また、人口減少・超少子高齢化社会の到来により、福祉的な支援を必要とする方々が増加する一方で、支え手となる福祉人材の確保が大きな課題となっている。
外国人介護人材の確保に向けてセミナーや新規ルートの開拓、保育士確保のための就職準備金の拡充、民生委員の担い手確保のための市町村支援などの取り組みを進めていく方針だ。
保健医療部長 縄田 敬子 氏/全ての県民に安心の医療を
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保健医療部長 縄田 敬子 氏
人口減少・超少子高齢社会に直面する中、将来にわたって質の高い医療提供体制を持続していくためには、医師や看護師をはじめとする医療人材の確保・定着を図る必要がある。
そこで、医学生向け奨学金や寄付講座の拡充により医師の確保を進めるとともに、長時間労働となっている医療機関に医師を派遣する大学病院などに補助を実施し、働き方改革を推進することで医師の定着を図る。
また、情報通信技術(ICT)機器の導入による生産性向上や職場環境整備を進める医療機関などの取り組みも後押ししていく。
こうした取り組みを通じて、全ての県民が住み慣れた地域で必要な医療サービスを受けられる体制を医療従事者の皆さまとともに築いていく。
産業労働部長 野尻 一敏 氏/企業の稼げる力の向上を目指して
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産業労働部長 野尻 一敏 氏
人口減少・超少子高齢社会が到来して生産年齢人口が減少する中、企業が持続的に成長していくためには、中長期的な視点に立った施策を着実に実行していくことが重要である。
県では、デジタル変革(DX)による生産性の向上、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進、人手不足対策などにより強い埼玉県経済の構築に取り組んでいる。夏には、埼玉初のイノベーション創出拠点「渋沢MIX」をさいたま新都心に開設する。企業の出会いや交流を活性化し、新たな価値を創出する場としたい。また、長引くエネルギー・原材料価格の高騰に対応するため、価格転嫁の円滑化について全国に先駆けた取り組みを実施している。米国の関税政策をはじめ世界経済の不確実性が高まる中においても、企業が稼げる力を高めていけるよう、効果的な施策を先手先手で実行していく。
農林部長 竹詰 一 氏/競争力・持続力の高い農林水産業の実現
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農林部長 竹詰 一 氏
5月25日、天皇陛下の御臨席を賜り、また数多くのお客さまに御来場いただき、秩父ミューズパークにおいて第75回全国植樹祭を開催した。開催にあたり御協力を頂戴した皆様方に、深く感謝を申し上げます。
また近年、本県が開発したいちごや梨のオリジナル品種が全国的な賞を連続受賞するなど、本県農林業に大きな注目が集まっている。この追い風を最大限に活かし、農林水産業・農山村をめぐる課題を解決し、競争力・持続力の高い農林水産業の実現を図る。
本年度は、農地の大区画化や農業防災対策に加え、水稲の害虫防除体制の充足の支援や高温耐性品種の生産振興、県産農産物のさらなる魅力発信などに取り組むとともに、全国植樹祭を契機に森林・林業基盤の整備や森林資源の活用、木材の利用拡大を図る「活樹」を推進していく。
県土整備部長 吉澤 隆 氏/未来への安心・希望・成長を支える県土づくり
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県土整備部長 吉澤 隆 氏
県土整備部では、県民生活に欠かせない道路や河川の整備を推進し、未来への安心・希望・成長を支える県土づくりを進める。
激甚化・頻発化する自然災害に対して、道路関係では幹線道路の未接続箇所の解消や多車線化による道路ネットワークの強化、橋の耐震補強を推進する。河川関係では、流域全体であらゆる手段を組み合わせてリスクを低下させる流域治水の継続と深化に取り組む。
また、1月に八潮市で発生した道路陥没の早期復旧について下水道事業者と連携していくとともに、インフラの老朽化に対応していくため、デジタル変革(DX)を推進して道路や河川を適切に維持管理する。さらに、人口減少下において災害対応を支える建設業が持続的に発展し続けるため、建設業の生産性向上と担い手の確保に取り組む。
都市整備部長 伊田 恒弘 氏/誰もが暮らしやすく魅力あるまちづくり
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都市整備部長 伊田 恒弘 氏
都市整備部では三つの基本目標を掲げ、効率的かつ効果的に事業を推進する。
一つ目は「魅力と活力にあふれる都市づくり」として、県営公園の魅力アップや安心・安全の向上のための整備を進めるとともに、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」の加速化などを進める。
二つ目は「災害に強く暮らしやすい都市づくり」として、応急住宅対策の体制強化やつくばエクスプレス沿線地域の整備を推進するほか、老朽化した県営住宅の更新などを行う。
三つ目は「スマート技術による便利で快適な都市づくり」として、3次元(3D)都市モデルの整備や建築・住宅行政手続きのデジタル化を進める。また、営繕工事などの工事監理に情報通信技術(ICT)を活用し、県内建設業の働き方改革や生産性向上につなげていく。
公営企業管理者 板東 博之 氏/安全安心な水の供給と地域経済活性化
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公営企業管理者 板東 博之 氏
企業局では、水道用水供給事業、工業用水道事業、地域整備事業を展開している。
水道用水供給事業では、県内の水道水の約8割を供給しており、将来にわたって、より安全・安心で良質な水を供給し続けるために、管路更新や高度浄水処理の導入を推進していく。管路更新は県南部・県南東部の路線の更新を、高度浄水処理は大久保浄水場への整備を着実に推進していく。
地域整備事業では、産業や地域の振興、新たな雇用の創出を図るため、現在6地区で産業団地の整備を進めている。持続可能な社会の実現など時代の潮流を踏まえつつ、「埼玉版スーパー・シティプロジェクト」などの県の主要政策と連携の上、地域の均衡ある発展に向け地元市町村と連携して産業団地の整備に取り組んでいく。
下水道事業管理者 北田 健夫 氏/持続的、安定的な下水道事業に向けて
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下水道事業管理者 北田 健夫 氏
はじめに、1月28日に八潮市内で発生した陥没事故から、4か月が経過した。本件に対しては、引き続き応急復旧工事及び抜本的対策の検討を、関係機関と連携して全力で取り組んでいく。
さて、下水道局では県内約565万人の下水を処理している。埼玉の流域下水道は事業着手から50年以上が経過し、施設の老朽化対策が喫緊の課題となっている。重大事故を防止するため、ストックマネジメント計画に基づき、下水道施設の計画的な改築を行う。
また、大規模な災害発生時におけるライフラインの機能を確保するため、流域下水道施設の耐震化・耐水化を推進する。さらに、新型焼却炉の導入や燃焼灰の肥料利用等による資源循環の推進に取り組むことで、持続可能な社会の構築に貢献する。
埼玉県産業振興公社 理事長 秋友 一広 氏/中小企業の課題解決から未来への挑戦までをサポート
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埼玉県産業振興公社 理事長 秋友 一広 氏
埼玉県産業振興公社は、県内中小企業の課題解決に向けた支援や創業の促進を実施することで県内産業の振興を目的として設立された公益財団法人だ。職員のほか160名近くの中小企業診断士、税理士、弁護士や社会保険労務士といった有識者で構成された専門家集団である。県内の起業家の創業支援や中小企業が抱える課題解決支援を行っている。
取引マッチングなどのほか、海外ビジネス展開の支援、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の推進、県内企業のデジタル変革(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)の実現といった県施策の実働部隊としての役割も担っている。2025年度早々に、当公社内のよろず支援拠点に「米国自動車関税措置等に伴う特別相談窓口」を設置し、県内企業を取り巻く環境変化にも迅速に対応している。
埼玉県産業技術総合センター センター長 新里 英男 氏/中小企業の「稼げる力の向上」を推進
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埼玉県産業技術総合センター センター長 新里 英男 氏
県内中小企業を取り巻く環境変化や技術動向に対応し、中小企業が抱えるさまざまな課題の解決に向けて技術支援を行っていく。新たにSAITECデザインイノベーションセンターを整備し、デザイナーズバンクを活用したデザイン経営の推進、自社製品の開発や高付加価値化、ブランド化を支援する。食の再資源化トライアル拠点として、食品加工時の残渣や規格外の野菜を有効活用して食品ロスの削減に貢献できる新製品開発の技術支援を行うなど、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進する。
さらに、バイオプラスチック活用支援、AI・IoT導入・活用支援、3次元(3D)データ活用支援など、県内中小企業の「稼げる力の向上」に資する取り組みを積極的に展開していく。