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埼玉県特集
技術・技能で未来を拓く
エネルギーや原材料価格の高騰、物価高、米国による関税措置—。不安定な国際情勢などを背景とした厳しい状況が、埼玉県内の企業に次々と押し寄せている。国際経済や国内産業の不透明感は今後も増すと見られている。こうした環境の中で持続的な成長を図るには、新たなサービスや製品の開発、新規顧客の開拓が必要だ。高い技術・技能を持つ埼玉県内の中小企業は、荒波の中でも前を向きチャレンジし続けている。本特集では埼玉産業界の未来を担うさまざまな企業の取り組みを紹介する。
新報国マテリアル/3Dプリンターを導入
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導入した3D積層造形設備
新報国マテリアルは、埼玉県川越市の本社研究開発部門に、3D積層造形設備(粉末指向性エネルギー堆積〈P-DED〉方式)を、三重工場(三重県川越町)に量産に向けた、3D造形設備(レーザーワイヤ積層造形〈L-WAM〉方式)を導入し戦力化を進めている。特にP-DED方式では「今までと違ったモノを造る」ことをコンセプトに、新たな金属材料の研究開発に着手する。
佐竹マルチミクス/細胞培養装置 活用広がる
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iPS細胞由来細胞シートの作製に使われた培養装置の汎用版(左側)
佐竹マルチミクス(埼玉県戸田市、西岡光利社長)が共同開発した培養装置が、iPS細胞由来細胞シートの作製に活用されている。オリヅルセラピューティクス(神奈川県藤沢市)と開発した連続培養システムで作製した「iPS細胞由来膵島細胞シート」が、京都大学医学部付属病院の移植治験に使われた。また大阪・関西万博で公開展示された「iPS細胞由来心筋シート」の一部の作製プロセスには、クオリプス(東京都中央区)と開発した培養装置が活用された。
川口スプリング製作所/橋梁塗装剥離用6軸アーム自走ロボ開発
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工場内でロボットを披露する鬼塚社長
川口スプリング製作所(埼玉県川口市、鬼塚博幸社長)は、橋梁塗装剥離用の6軸アーム付き自走式ロボットを開発した。橋を塗り替える際に研磨材を高圧で吹き付けて古い塗装を落とし、新しい塗料を塗る前工程のブラスト作業を自動化する。鬼塚社長は「年100台規模の販売を目指し、環境設備製造事業の新たな柱に育成する」としており、スプリングや塗装・FA設備製造に次ぐ、環境設備製造事業の新たな柱に育成していく方針だ。
三芳合金工業/大型クレーン・金型を導入
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三芳合金工業が導入した大型クレーン
三芳合金工業(三芳町、萩野源次郎社長)は、特殊銅合金を一筋に手がけるメーカー。昨今は大物製品の新たな受注獲得を狙い、運搬能力4トン超の大型クレーンや大型の金型を導入。炉を1電源で2基同時に稼働できるようにし、一度に5・5トンのインゴットを鋳造する。萩野社長は「幅広い受注に応えられるよう今から設備を整えている。近々、エネルギーや重工産業、プラスチック用金型など新たな業界の受注も獲得し、特徴ある素材を作っていきたい」とする。