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埼玉県
新型コロナウイルスの脅威は弱まったものの、不安定な国際情勢などを起因とするエネルギーや原材料などの物価高、人材不足など厳しい状況が、埼玉県内の企業にも押し寄せている。そうした中で企業が社会や会社内のエンゲージメント(結びつき)を高めていこうという動きが加速している。持続的な成長や発展を遂げるためには連携が欠かせない。脱炭素化やサーキュラーエコノミー(循環経済)などへの取り組みも求められている。
地域中小企業を支える埼玉県内金融機関
埼玉りそな銀行/未来をプラスに変えていく
埼玉りそな銀行は、2023年5月に制定されたりそなグループのパーパス「金融+で、未来をプラスに。」を掲げ、新中期経営計画を策定した。
10月にはこれまで接点のなかったお客さまとの取引機会の拡大を目的に、法人代表者向けアプリ「りそなグループアプリ forビジネス」をリリースしている。個人向けと同様に月額手数料は無料でスマホでの振込や残高確認ができる。コロナ禍でデジタルの活用が進展し、時間や場所に限定されない金融サービスへの期待は一層高まっている。スマホのポータビリティを活かし、タイムリーな情報発信や機能提供を行っていく。
今後はオンラインで完結する口座開設サービスも開始する。従来の対面営業に来店不要のデジタルチャネルも加え、お客さまの利便性向上に努めていく。
武蔵野銀行/取引先に寄り添い、迅速に支援
武蔵野銀行では、県内企業への伴走型支援を加速させている。物価高騰や人手不足、インボイス制度や改正電帳法への対応やサステナビリティ経営推進など広範な経営課題に加え、ゼロゼロ融資の返済本格化局面を迎え、企業は難しい舵取りを迫られている。
これらの課題に対し、円滑な資金供給や関係機関と連携した価格転嫁支援に努めるとともに、最適な経営・幹部人材の紹介やクラウドサービス提供によるDX促進、むさしの未来パートナーズを通じた商流サポートなど、金融・非金融のあらゆる手立てを総動員していく。あわせて、行員の育成を強化し、支援の担い手としての資質も向上させていく。
不透明な国内外の情勢はなお続くと見られるものの、今後も徹底して取引先1社1社に寄り添い、適切かつ迅速な支援を行っていくことで、埼玉県経済の持続的成長に貢献していく。
日本政策金融公庫/政策をつなぎ、埼玉を元気に
日本政策金融公庫は、長引くコロナ禍や物価高などにより厳しい事業環境にある中小企業・小規模事業者、農林漁業者などに対し、セーフティネット機能の発揮に取り組んでいる。また、DX、脱炭素、SDGsの達成などの社会環境変化への対応に加え、日本経済の成長を担う創業・スタートアップ・新事業や、事業承継、海外展開、農林水産業の新たな展開など成長分野における攻めの経営を積極的に支援している。
政策金融サービスを広範囲かつ迅速に届けるために業務のデジタル化を推進し、民間金融機関、商工会議所・商工会、県・市町村などの関係機関と連携しながら、「日本一暮らしやすい埼玉」の実現に向け、政策と県内の事業者・地域をつなぎ、支えていく。
県内企業が稼ぐ力を高めるために県が推進する円滑な価格転嫁に向けた施策にも参画していく。
商工中金さいたま支店/中小企業の成長・発展に貢献
2023年6月、株式会社商工組合中央金庫法の改正法案が国会で成立し、商工中金は「真に中小企業のための金融機関」として新たなスタートを切った。そして、中小企業などに寄り添う姿勢を将来にわたるお約束とすべく、パーパス「企業の未来を支えていく。日本を変化につよくする。」を定款に規定した。
商工中金は今後も、中小企業のお役に立つ金融機関として変化に強い社会を実現する、という変わらない使命のために変わり続けていく。
商工中金は金融を超えた取り組みを強化するため、「スタートアップ支援」、「サステナブル経営支援」、「事業再生支援」を3つの差別化分野として位置付け、お客さまをサポートしている。
こうした取り組みを今後も地域金融機関、中央会、商工会議所、商工会および関係機関と協調・連携しつつ、地域中小企業の成長・発展に貢献していきたい。
埼玉縣信用金庫/DXやGXの導入を支援
埼玉縣信用金庫は5回目となる「さいしんビジネスフェア2023」を開いた。地域中小企業の販路拡大や、業種や地域を越えたビジネスマッチング支援のため、2015年から隔年で開催。前回に続きオンラインとリアルのハイブリッド型で実施した。リアル会場はさいたまスーパーアリーナで開催し、埼玉縣信金と全国30信金の取引先230社が展示商談ブースを出展。約8000人が来場し、オンラインと合わせ1700件超の商談が生まれた。「彩・発・見!Saitama・サステナブルスタイル」を開催テーマに、デジタル変革(DX)と脱炭素化に向けたグリーン・トランスフォーメーション(GX)の展示や、関連企業の出展により来場者への導入支援も行った。今後も販路拡大などの本業支援を通じ、地域金融機関としての役割を果たしていく。
川口信用金庫/次世代を担う経営者を積極サポート
川口信用金庫は100周年記念事業として新たに「かわしん経営塾next neo」をスタートさせた。次世代を担う次期経営者や創業・事業承継等による新たな経営者の方を対象とした経営塾で、一方通行ではないディスカッションを中心とした講義により、経営力向上と自社の経営に活かせる気づきを提供する。
講義は一般社団法人埼玉県中小企業診断協会に依頼し、「実践的な課題に取り組む学びの機会の提供」を実現するため本経営塾専用のオリジナルカリキュラムを作成した。
参加企業の中ではディスカッションを通じて業務の発注やコラボ企画の検討など、実際の仕事につながる動きも出てきており、想定していた以上の効果が生まれていることを実感している。本経営塾は年一回の開催を目指しており、今後は卒業生に対してもさまざまな情報を発信していく計画だ。
青木信用金庫/資金繰りなど本業支援を強化
青木信用金庫は、支店長を筆頭とした「事業性融資取引先全先訪問」にて、地域の中小企業・小規模事業者の声を聞き、資金繰り支援を中心とした本業支援を強化している。現在、埼玉県が行っている適切な価格転嫁を実現するための「価格転嫁サポーター制度」へも参画し、県内企業の稼ぐ力をサポートする。本年8月には、10回目となる「新現役(OB人材)交流会」 を実施。取引先企業の成長をサポートする人材との出会いの場を提供している。事業承継支援では、中小企業大学校と連携した「サテライト・ゼミ」(あおしん次世代経営塾)を例年実施している。
来年2月には、新春経済セミナー「DX推進支援(仮題)」を開催予定であり、今後も、役職員一丸となって取引先の課題解決に真摯(しんし)に向き合い、貢献する構えだ。
飯能信用金庫/セミナーで専門家、企業を橋渡し
飯能信用金庫は地域の課題解決やニーズに対応するため「伴走支援型地域プラットフォーム」を拡充している。飯能信金がハブ機能となり、地域をけん引する企業をはじめ、産学官金労言士の外部関係機関を結び付けるもので、2カ月に1度「伴走型ハンズオンセミナー」を開いている。
経済活動が活発化する中、原材料価格の高騰や価格転嫁、賃上げ、人材不足など地域を取り巻く課題は山積している。セミナーを通じ外部の専門家や企業の橋渡しをすることで課題に対応し、販路開拓や新製品開発に結びつける。松下寿夫理事長は「成功事例ができてきた。今後も展開していきたい」と意気込む。
また、地域に必要とされる金融機関を目指し「パーパス(存在意義)」「ウェルビーイング(心身の幸福)」のプロジェクトを推進。地域との関係強化につなげていく。