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埼玉県
第45回西海記念賞
埼玉産業人クラブ(増田文治会長=マスダック会長)は、研究開発や創意工夫で優れた成果を出した会員企業の技術者らをたたえる「第45回西海記念賞」を決めた。受賞したのは、「ロボットによる栗自動ピッキングシステム」を開発したマスダック(埼玉県所沢市)新領域ソリューション部の大澤伸光担当課長、「橋梁塗装剥離用6軸アーム付き自走ロボット」を開発した川口スプリング製作所(同川口市)の鬼塚新二社長。同賞は埼玉産業人クラブで2代目会長を務めた三輪精機の西海図至夫氏による寄付金で創設。2025年に日刊工業新聞に掲載された記事から候補を選び、技術士ら専門家による協力を仰いで決めた。
マスダック(所沢市)/ロボットによる栗自動ピッキングシステム
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栗自動ピッキングシステム -
西海賞を受賞した大澤さん
新領域ソリューション部 担当課長 大澤 伸光 さん
「チームの若手メンバーが中心となり支えてくれて、短い期間での開発に成功した」と、新領域ソリューション部担当課長の大澤伸光さんは受賞を喜んだ。
開発したのは「ロボットによる栗自動ピッキングシステム」。チトセロボティクス(東京都文京区)の産業用ロボット制御ソフトウエアを搭載しており、この機械では、まず「栗拾い装置」が供給装置内に入った栗を一つずつピックアップする。それを別のトッピングロボがつかみ、ラインを流れるあんこの上に配置する。続いて、別工程のロボットが上から皮をかぶせ、栗入りのどら焼きを完成させる仕組みとなっている。
ロボットにはカメラが搭載されており、栗の位置や角度を認識する。最もつかみやすい方向にアームの角度を自動で調整することで、一つずつ正確にトッピングできる。
前工程には、どら焼きの生地を焼き、あんこやバターを充填するまでの工程を自動で行う装置を備えており、今回の栗ピッキングシステムは、その後工程として組み込むことができる。トッピング工程の自動化は、製造現場の負担軽減や省人化にもつながると見込まれているという。
展示会に合わせるため、短期間で開発する必要があり、社内の資材をかき集めて材料を揃えたという。技術的に難しい部分も多く、試作を繰り返すことで製品をブラッシュアップしていった。従来、トッピングの自動化に対するニーズはありつつも、アプローチが難しくさまざま菓子製造機械が自動化される中でも最後まで人手がかかる部分であり「指にあんこが付く」など課題は多かった。しかし、今回のピッキング機械にはカメラとアプリをを使うことで必ず同じ場所に落ちるようになっているため、タクトタイムの削減につながる。
トッピングの自動化領域はまだまだ未開の域というが、「生物やカットフルーツなど難しいものにも挑戦していきたい」と大澤課長は話す。今後、機械の開発を続けながら引き合いに合わせ外販をする方針だ。
川口スプリング製作所(川口市)/「橋梁塗装剥離用6軸アーム付き自走ロボット」の開発
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レーザー用自動走行ロボット -
受賞した鬼塚社長
社長 鬼塚 新二 さん
「大変栄誉ある賞をいただき、本当にうれしい」と鬼塚新二社長は受賞を喜んだ。開発した製品は、橋梁の塗り替え時に人手に頼っていた塗装剥離やサビ落としの工程をロボット技術の活用により自動化した。
日本のインフラ老朽化は深刻な社会課題となっている。特に橋梁の維持管理では、古い塗装を落として塗り替える工程は欠かせない。これまでは熟練作業員による手作業に依存。防護服を着用し、研磨材の粉じんや鉛・PCBなどの有害物質が舞う中で工具を操る過酷な環境の改善が大きな課題となっていた。
同社はこのブラスト作業と呼ばれる工程を自動化した。開発したロボットはクローラー(無限軌道)方式の足回りを備え、多様な形状や大きさの橋の上を自在に移動できる。先端には川崎重工業製の6軸アームを搭載し、幅広い角度から的確に研磨材を吹き付ける。
このロボットは企業間の緊密な連携によって誕生した。同社は1975年から自動塗装機の製造を手がけており、その知見を基盤とした。さらに川崎重工業やユニック(東京都足立区)の技術を統合し、短期間での製品化を実現した。
鬼塚社長は25年7月に就任。家業を継ぐ前は三菱UFJ銀行に10年以上勤務していた。国内外の金融現場で「オープンイノベーション」の重要性を痛感。同社に入社してすぐにインフラ老朽化と人手不足という社会課題に気づき、銀行員時代に抱いたオープンイノベーションの理想を具現化した。自ら現場に足を運び、施工ニーズを地道に反映させたことが、実用性の高いロボットの開発につながった。
今後はアタッチメントを交換することで、検査作業はもちろん、洗浄・レーザー・塗装作業への応用も視野に入れる。鬼塚社長は「これからもこのオープンイノベーションの気持ちを忘れることなく、世のため人のために役立つものを作り続けるモノづくり企業にしていきたい」と将来を展望する。
作業者の人手不足・安全確保と効率化を両立した同ロボット製品化の意義は大きい。中小企業が外部技術を取り入れ、社会課題の解決に挑む姿勢は他社の模範にもなる。インフラの維持管理が急務となる中、この自動化技術が果たす役割への期待は高まる。
