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埼玉県
産業立地 地域経済の活性化 後押し
埼玉県は、地域の稼ぐ力を高めるため産業団地の整備を積極化している。これにより労働市場の拡大や地域経済の底上げを促し、持続成長を図る。加え、オフィス需要への対応や商業施設整備など都市機能の充実を図ることが県経済の未来を盤石にする。埼玉県企業局公営企業管理者の板東博之氏と、大栄不動産社長の小林義信氏に県内産業団地の分譲状況・需要を中心に、オフィスビルの現状や将来像などを聞いた。
埼玉県企業局 公営企業管理者 板東 博之 氏/産業団地 分譲手法の多様化検討
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埼玉県企業局 公営企業管理者 板東 博之 氏 -
—企業立地における埼玉県の優位性と、足元の分譲環境は。
「自然災害が少ない内陸県であり、巨大な労働力と消費地を抱える強みは不変だ。一方で分譲を巡る環境は厳しい。造成現場では中東情勢の影響を受け排水用の塩ビ管の納入に影響が出始めたほか、企業側も工場建設に不可欠な断熱材などナフサ由来の資材高騰に直面している。用地不足から需要は依然高いが、こうしたコスト増をどう管理するかに加え、物流費やエネルギー価格の上昇をいかに抑制・吸収していくかが課題だ」
—それを踏まえ、組織運営ではどのような意識改革を進めていますか。
「これまでの『造成』『売却』『市町村調整』という縦割りの個別業務だけでなく、情報を共有する横串のマネジメントを進めている。デフレ下なら『完成すればOK』という考えも通用したが、今は工期の遅れがコスト増に直結する。職員が金利や中東情勢などの外部要因を自分事として把握し、事業全体としてどう影響が生じるかを意識することが必要だ」
—採算確保が難しい地域での開発継続に向け、市町村とどう役割分担しますか。
「高速道路のインターチェンジから離れた地域では、造成前後の差益だけでは経費を賄いきれない。そこで、税収増や雇用創出のメリットを直接受ける地元市町村に、団地内の公園や道路などの整備費用等を一部負担してもらう形へと転換する。2026年度の当初予算に盛り込まれた『幸手神扇地区』が第1号案件で、市町村とリスクと利益を共有する共同事業としての性格を強める」
—分譲手法の多様化を検討しています。価格設定の考え方は。
「従来、一律の評価額による販売が中心だったが、これに加え企業の進出意欲を適正に評価へ反映させる手法を検討している。特定の場所に強く進出を希望する企業の熱意が価格面に反映されることは、採算の厳しい地域での事業継続を支える一要素(不採算分の圧縮)になり得る。ただし、これは単に金額のみで売却先を決める競争入札を意味するものではない。価格はあくまで評価の一要素だと考えている」
分譲企業の選定、地域との共生最優先
—企業選定において何を重視しますか。
「企業の経営状況はもちろんのこと、雇用面や災害時の協力、県政策への適合性など、多角的な視点で審査を行う。最終的には『その企業が来ることで地域がいかに活性化するか』を地元自治体と共に判断し、優先的に分譲する企業を決める方針だ。単に高く売るのではなく、地域との共生を最優先したい」
大栄不動産 社長 小林 義信 氏/物流拠点として高いポテンシャル
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大栄不動産 社長 小林 義信 氏
—国際情勢や国内経済の動向が不動産や建設などに与える影響をどう見ていますか。
「中東情勢の緊迫化に伴うナフサ価格の高騰は、断熱材や塩ビ管など石油由来製品の供給不安や価格上昇を招いている。影響は大きく、今後の建築部材の納期が不透明になるなど建設業界を脅かしかねない。一方で国内では金利のある世界への移行により、調達金利が上昇して事業化のハードルが高まっている。都心の物件利回りは3%台前半という水準で推移しており、賃貸収入だけでは採算が合わず、出口戦略での売却益に頼らざるを得ない歪みも生じている。米国でのプライベートクレジットの動向を含め、金融機関の融資姿勢が急激に変化してリーマン・ショックのようなシステミックリスクにつながらないよう十分に注意を払う必要がある」
—埼玉県の産業団地開発については、企業の進出ニーズをどう捉えていますか。
「埼玉県は首都圏の中央に位置し、東日本随一の交通インフラを誇ることから、物流拠点としてのポテンシャルは極めて高い。消費地にも近く、冷凍冷蔵倉庫を含む食品関係の進出ニーズが高い。県内の企業立地実績でも食品・飲料関連が上位を占めている。一方で老朽化した工場の建て替えやBCP対応、データセンターなど物流以外の建設需要も根強いが、受け皿となる用地の不足などが課題となっている」
オフィス需要 大宮エリア空室率低く好調
—オフィス需要について県内の現状と今後をどう見ますか。
「全体的に底堅く、主要エリアの空室率は極めて低水準で推移している。特に大宮エリアの空室率は1・5%まで下がり、賃料も前年比で1割近く上昇するなど好調だ。浦和エリアも同様に空室率は2%台と低く、賃料は上昇傾向にある。浦和駅西口で進む大規模再開発事業が完了すれば、周辺を含めた利便性や都市機能はさらに向上するだろう」
—埼玉県内での御社の取り組みは。
「坂戸市内で進めている『坂戸インターチェンジ土地区画整理事業』は25年8月に起工式を行い造成が始まった。29年完成を目指しており、計画通りに進んでいる。所沢市では旧新所沢パルコ跡地で建物の解体工事が進んでおり、長谷工コーポレーションやヤオコーと共同で商業施設と約280戸の分譲マンションを建設する計画だ。また、川口市では旧県陽高校跡地の活用事業者に当社が選定され、2月に市と基本協定を結んだ。大宝建設埼玉や中央住宅と連携して戸建て住宅や商業施設を整備する。また、一部店舗をリニューアルした複合施設『門街』(さいたま市大宮区)や、開業1周年を迎えた大型商業施設『ららテラス川口』(川口市)の集客も順調だ。当社の次期中期経営計画ではAI(人工知能)の実装も加速させることで、生産性向上とクリエイティブな価値創造に取り組んでいく方針だ」
