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埼玉県
第22回埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰②
埼玉産業人クラブ(増田文治会長=マスダック会長)は、埼玉県内の中小・ベンチャー企業の経営者を表彰する「第22回埼玉ちゃれんじ企業経営者表彰」(埼玉県、埼玉りそな銀行、日刊工業新聞社後援)の受賞者を決めた。県内金融機関や産業団体から推薦のあった経営者16人のうち、事業・財務内容に優れ、チャレンジ度が高い5人を選んだ。
埼玉県知事賞/KOTOBUKI Medical 社長 高山 成一郎 氏
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KOTOBUKI Medical 社長 高山 成一郎 氏
評価と信用が次の挑戦へ
私たちの主要製品である手術トレーニング用模擬臓器「VTT」は、すべてこんにゃくからできています。医療にもこんにゃくにも縁がなかった町工場が、いかにして事業を立ち上げ、拡大させていったか。その歩みをお話しします。
私は2代目として父の町工場を継ぎ、金型や機械加工などの下請け仕事に従事していました。しかしリーマンショックで受注が激減し、下請けのままでは誰も助けてくれないという現実に直面しました。「自社製品を持たなければ生き残れない」という強い決意のもと、友人から聞いた医療現場の困りごとを解決するため、腹腔鏡手術の練習ボックス開発に乗り出しました。2013年の学会出展を機に医師とのネットワークを広げ、販売を軌道に乗せることができました。
練習ボックスの次に注目したのは、消耗品としての模擬臓器です。既存の模擬臓器は高価だったため、安価な代替品を模索していた時に思い出したのが、レバ刺しの提供が禁止された時に、代用品として使われたこんにゃくでした。大学でテストしてもらったところ、電気メスでの使用が可能であることが分かり、こんにゃく100%の模擬臓器開発が本格化しました。
製品の評価は高かったものの、町工場の体制では世界への販売に限界を感じ、この技術を切り離して新会社を設立しました。株式投資型クラウドファンディングにより資金集めにも成功しました。これを機に優秀な人材が集まり始め、投資家からも継続的な支援をもらえる好循環が生まれ、事業は拡大へ向かいました。
かつては下請けとして技術を磨き続けるしかないと思い込んでいました。しかし、世の中に足りないものを自ら探して作り評価を得ることで、やりがいと信用が生まれ、次の挑戦へつながりました。零細な町工場からでも大きなチャレンジはできる。日本でも行政や金融の後押しで挑戦を支援する環境が整いつつある今、技術や年代を問わず、新たな世界に挑む人が一人でも増えることを心から願っています。
【企業データ】
○創業・創立年:2018年
○資本金:8000万円
○社員数:32人
○業種・事業内容:医療関連機器の開発・製造・販売
○所在地:八潮市
埼玉産業人クラブ会長賞/東京ブレイズ 社長 松 康太郎 氏
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東京ブレイズ 社長 松 康太郎 氏
ろう付技術でモノづくり支える
当社は1970年の創業以来、一貫して「ろう付」技術の向上に取り組んで参りました。私は2代目の社長として事業を引き継ぎ、現在は従業員78名、年商約33億円規模に成長しました。東京都に本社を置いていますが、モノづくりの心臓部は埼玉県にあります。志木市とさいたま市に設けた加工拠点や設備製造工場が、当社の技術を支えるメイン拠点です。
ろう付とは、金属同士を“金属ののり”で付けるような技術。はんだ付より高温で接合するため高強度で、微細な部品から広い面の接合まで対応できます。当社の強みは、接合を引き受ける受託加工、ろう付用の材料販売、そして加熱設備の製造という三事業をトータル展開している点です。この3本柱を自社で完結させている企業は、世界的にも稀有な存在です。
ろう付技術は、自動車や半導体製造装置、ジェットエンジンやロケットといった航空宇宙分野まで、幅広い領域で縁の下の力持ちとして社会を支えています。しかしこの優れた技術も近年は大学や公的研究機関での研究者が減り、技術伝承の危機に直面しています。だからこそ私は「100年続く企業」を目指すとともに、自社をろう付技術のプラットフォーム(基盤)にしたいと考えています。大学の代わりに技術を教える教育機関を社内に作り、次世代の技術者を育成していくことが夢です。また、日本溶接協会の「ろう部会」で役員を務めるほか国際標準化機構(ISO)で座長を務めるなど、業界の発展にも尽力しています。
私の経営哲学は「社長は社員第一主義、社員はお客さま第一主義」です。会社を大きくすることを目的にせず、まずは社員全員が幸せを実感できる「良い会社」であることを大切にしています。幸せの本質は、仕事を通じて誰かの役に立ち必要とされることにあるからです。現在は培った設備技術を応用し、環境に配慮した「強アルカリ電解水」事業にも挑戦中です。変化を恐れず世界中のモノづくりを支えるオンリーワンカンパニーとして、愚直に歩んで参ります。
【企業データ】
○創業・創立年:1970年
○資本金:3000万円
○社員数:78人
○業種・事業内容:ろう付加工・熱処理加工、ろう付材料・ろう付装置製造販売など
○所在地:東京都世田谷区
特別賞/プリケン 社長 田中 信也 氏
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プリケン 社長 田中 信也 氏
プリント基板開発一筋の歩み
当社は1978年の創業以来、一貫してプリント基板の研究開発に取り組んできました。私は、創業者である父から事業を引き継ぎ、現在は従業員100名、売上高18億円という規模にまで成長しました。埼玉県ふじみ野市に本社工場を構え、国内3拠点の営業所とともに、日本のモノづくりを支えるべく日々まい進しています。
社名の「プリケン」は「プリント基板研究所」に由来します。すべては研究開発に携わる方々のためにという理念のもと、創業当時は土日も休まず夜中まで工場を稼働させ短納期を実現していましたが、現在はそのスピードの源を「最先端の技術力と設備」に置き換え、事業展開しています。
レーザー加工機やインクジェット技術を駆使し、従来の製造治具などを使わない高精度な製造方法を確立しております。さらには最新鋭の銅めっき装置や排水処理装置を導入するなど、環境配慮にも余念がありません。
このような設備投資は、武蔵野銀行「むさしの地域創生推進ファンド」やリョーサン菱洋の資本提携により実現できており、両社からは資金調達のみならず、営業支援や社内外における社員同士のコミュニケーションの促進など、さまざまなシナジー効果を発揮しています。
当社は地域貢献活動や労働環境改善にも力を入れています。製造過程で排出される基板の端材を活用し、地元の新小学校一年生にオリジナル定規を贈る活動は3年目を迎えました。家族向け工場見学会を通じて、社員の子供たちに親の仕事の重要性を伝える取り組みも始めています。
また、2025年に県より「多様な働き方実践企業」の認定を頂きました。社員が誇れる職場づくりを追求し、地域に開かれた企業として、さらなる高みを目指して参ります。
【企業データ】
○創業・創立年:1978年
○資本金:5550万円
○社員数:100人
○業種・事業内容:プリント配線基板の設計・製造
○所在地:ふじみ野市
特別賞/武蔵屋 社長 小林 総子 氏
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武蔵屋 社長 小林 総子 氏
クリーニングなど県内で盤石な事業体制
武蔵屋は今年で創業77年になるクリーニング会社です。創業者・関根直幹が東京都荒川区で始めた町の小さなクリーニング店から始まりました。創業者は毎日自転車でご用聞きに回り、地面に頭がつくほど深々と頭を下げる姿から「最敬礼のクリーニング屋」と呼ばれていました。
大きな転換点となったのは、1950年頃に国鉄(現JR)の制服取引が始まったことです。さらに64年には新幹線こだま号の座席カバーを受注しました。これを機に埼玉県上尾市に工場を構え、株式会社武蔵屋として新たなスタートを切りました。当時の社長の方針により、リネンサプライやユニフォームレンタルへと事業を拡大。その後、さいたま市内に本社を移転し、県内でも盤石な顧客網を構築しました。現在は埼玉県の上尾工場と群馬県の藤岡ユニフォーム・リネン工場の計3工場体制で、食品工場や大手ホテル、スポーツクラブなどへ安全・安心な商品を提供しています。
当社は売上高100億円という目標を掲げ、挑戦を続けています。2050年12月には埼玉県川口市の企業をM&A(合併・買収)し、あわせて100社ほどの協力工場と共に商圏拡大を加速させています。さらに、クリーニングの自社ブランド「マジカルちっち」「チャーミー」「ル・ブラン」などを計42店舗展開しています。
地域連携では、子ども服を無償譲渡する「ふくふくマルシェ」を開催しています。家庭で不要になった子ども服をお預かりし、クリーニングを施して無償提供するこの活動は、社会福祉と連携した地域貢献の一環です。
荒川区の小さな店から始まった武蔵屋ですが、今では500名を超える社員が働く大きな幹になりました。これからも「お客さまに感謝し、お客さまにご満足頂く」という原点を忘れず、エッセンシャルカンパニーとして愚直に歩んで参ります。
【企業データ】
○創業・創立年:1948年
○資本金:5000万円
○社員数:約500人
○業種・事業内容:業務用ユニフォームクリーニング&リネンサプライなど
○所在地:埼玉県さいたま市見沼区
特別賞/近藤建設 社長 宇佐見 佳之 氏
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近藤建設 社長 宇佐見 佳之 氏
グループ4社体制 地域密着で事業展開
近藤建設グループは、1961年の創業以来、埼玉県を中心に地域密着型企業として事業を展開し、「建物をつくる会社ではなく、幸せを建てる会社」を理念に歩んできました。現在は、近藤建設、近藤不動産、近藤リフレサービス、コミニスの4社体制で、建築、不動産、リフォーム、ITを連携させ、住まいと暮らしを総合的に支えており、グループ売上高は147億円、社員数196名、女性比率36%と、多様な人材が活躍しています。
当社の強みは、土地探しから設計・施工、維持管理、リフォーム、資産活用まで一貫対応し、建てて終わりではなく、顧客と長期的に関わり続ける仕組みにあり、自社大工約50名を擁し、テクニカルセンターを設置するなど、人材育成と品質向上にも注力しています。また、各種受賞歴を有し、高い設計力・施工力・提案力が評価されています。
さらに、地域とのつながりを経営の柱とし、KONDO春まつり、親子木工教室、清掃活動、地域交流拠点運営、大学連携、スポーツ支援など多様な地域貢献活動を継続し、その結果、受注の80%が紹介および継続受注となっており、地域との信頼関係の強さを示しています。
近年は、人口減少や空き家増加といった社会課題を新たな価値創出の機会と捉え、国連の持続可能な開発目標(SDGs)経営を推進しており、建物の長寿命化、省エネルギー化、地域材活用を進めるほか、秩父材活用やCLT工法による中大規模木造建築にも積極的に挑戦しています。DX・AI活用による業務改革にも取り組んでいます。
今後は2030年、60年を見据えた長期ビジョンのもと、創業100年企業を目指し、建設業の枠を超えて暮らし・地域・産業をつなぐ存在へ進化を続け、これからも人と人との関係の中に幸せを築き、地域になくてはならない企業として成長を続けてまいります。
【企業データ】
○創業・創立年:1961年
○資本金:7500万円
○社員数:196人
○業種・事業内容:総合建設業
○所在地:ふじみ野市
