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関西特集
世界から日本へ 多彩な海外パビリオン
万博会場にある全周2キロメートルの「大屋根リング」の内側に軒を連ねるのが海外パビリオン。「万国」博覧会の名称どおり、多くの来場者を呼び込むために欠かせない存在だ。特に重要な役割を果たすのが、参加国が独自のパビリオンを建設する「タイプA」。外観から個性を追求し、各国の文化を表現する工夫がなされている。他に万博協会が建設した建物を貸し出す「タイプB」や複数の国で共同利用する「タイプC」、代理で建設する「タイプX」もあり、各国が状況に応じた形で参加する。今回は「タイプA」の中から、いくつかのパビリオンを紹介する。
5カ国の先進的事例 紹介/北欧パビリオン
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5カ国が共同出展する北欧パビリオン
ノルウェーとフィンランド、アイスランド、デンマーク、スウェーデンの北欧5カ国は、タイプAで唯一の複数国による「北欧パビリオン」を出展する。展示スペースでは5カ国の技術と革新性、持続可能性の3分野での先進的な取り組みを紹介。環境や生活、モビリティの最新技術がわかる約20分の映像展示を放映する。
また、5カ国それぞれが自国をアピールするイベント「ナショナルデー」を実施する。建材には日本の木材を使用し、工法は照明の数を抑えて自然光を取り入れる北欧建築の要素を取り入れた。
自然と調和する国家 表現/シンガポールパビリオン
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シンガポールパビリオンの外観イメージ(シンガポール政府提供) -
シンガポールパビリオン内で展示する、人々が夢を描いた「ドリームディスク」
万博の年に独立60周年を迎えるシンガポールは、世界地図で同国を表す「小さな赤い点」をモチーフにした赤い球体が特徴のパビリオン「ドリーム・スフィア」を出展する。
中ではシンガポールの若手アーティストが「ゆめ・つなぐ・みらい」をテーマに手がけた、双方向のマルチメディアや空間演出作品で、動植物を含むあらゆる生命にとって住みやすい環境をつくる取り組みを紹介。多様な人々を受け入れて自然と調和した都市国家を追求していることを表現する。
また、夢が持つ無限の可能性を探求し、未来を築く行動を喚起する。来場者は自分の夢を円盤「ドリームディスク」に書き、他の来場者と共有。カフェにはシンガポールで集めた60枚のディスクを展示する。
現代技術と伝統技術 融合/チェコパビリオン
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チェコパビリオンの外観イメージ(チェコ政府提供)
チェコは「人生のための才能と創造性」をテーマに、チェコを代表する画家アルフォンス・ミュシャの伝統的な作品を現代的に再解釈した展示を行う。ミュシャの未完成3部作をモチーフにした全長250メートルの壁画や、木々を模したガラス彫刻などを展示する。
建物はチェコから輸入したスプルース材とボヘミアガラスを使用し、現代的な技術と伝統的な技術を融合。全体をらせん状の回廊に仕上げ、ぐるぐると歩きながらチェコへの理解を深める場となる。
「ハイジ」からハイテクまで/スイスパビリオン
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スイスパビリオンの外観イメージ(スイス政府提供)
スイスは天球をイメージした4個の球体で構成する軽量の展示室が特徴のパビリオン「ハイジと共にテクノロジーの頂(いただき)へ」を出展する。環境への影響をできる限り抑えることを目指して球体の表面は非常に軽量な膜を使うなどして400キログラム以下を実現した。
公式マスコットとしてスイスの児童文学を原作とした日本の人気アニメ『アルプスの少女ハイジ』を採用し、体験の随所に登場させる。「ハイジからハイテクまで」を方針に掲げて健康など「生命」と環境など「地球」、ロボット工学など「人間拡張」の3テーマで展示を行い、革新性と創造性をアピールする。