-
業種・地域から探す
続きの記事
関西特集
万博のテーマ 世界に伝えたい/日本国際博覧会協会
日本で20年ぶりとなる大阪・関西万博は4月13日の開幕に向けて最終段階。事務方トップとして準備を指揮してきた日本国際博覧会協会(万博協会)の石毛博行事務総長に、現状や万博の魅力を聞いた(書面インタビューで実施、写真は24年3月撮影)。
一気に開花させる
-
日本国際博覧会協会事務総長 石毛 博行 氏
―万博の開催が迫る中、準備状況は。
「2019年に事務総長として着任後、これまで数多くの課題があったが、多くの方の協力も得ながら、一つずつ乗り越えてきた。どのパビリオンも独創的な外観や魅力的な展示を実現できるよう準備を進めている。イベントや営業店舗の準備、会場で来場者を迎えるスタッフのトレーニングなど、開幕に向けたあらゆる準備が着々と進む。最近では、テレビや雑誌などで万博が続々と紹介され、急速に万博への関心が高まってきた。いよいよ開幕。今までの準備の成果を一気に花開かせる時で、開幕までにさらに準備を加速していく」
―今回の万博の魅力を3点あげるとすると、何を推されますか。
「一つ目は『ユニークな万博建築』。大屋根リングを見た人は、例外なく『百聞は一見に如かず』と言う。プリツカー賞受賞の建築家から若手建築家まで建築の技を競っている。建築、デザインを学ぶ方にはぜひ来てほしい。二つ目は『多彩なライブイベント』だ。開幕日の『1万人の第九』などのイベントはこれからも発表され、毎日行う(光と音と技術が織りなす)ショー『One World,One Planet.』や水上ショーなどもある。ナショナルデーのイベントも素晴らしいものになる。三つ目は『世界と未来のグルメ旅行』。単独館で出展する海外パビリオンの多くはレストランが併設され、未来型店舗における『未来のグルメ』もある」
企業は万博を生かして
-
大屋根リングのギネス世界記録認定式で(3月4日)。真ん中が日本博覧会協会の石毛博行事務総長
―前売りを含め2300万枚のチケット販売は達成できますか。
「前売りチケットの販売は現時点で820万枚(3月12日現在)。これに修学旅行や一般向け団体旅行などの販売見込みを含めて約1021万枚相当となり、既に(05年開催の)愛・地球博の前売り販売の実績を超えた。愛・地球博は開会直前1か月前から、メディアの露出と相まって全国的な認知度が高まり、開幕前の駆け込み需要が生じ、開会後も売り上げが伸びた実績がある。大阪・関西万博でも、会期直前及び会期後のチケット販売促進にしっかり取り組む」
―現時点で課題と感じていることは。
「夢洲(しま)の会場キャパシティーや、万博共通の、会期後半の混雑を踏まえ、来場者数の平準化を図り、会期前半への誘導に取り組むことは重要。このため、安価な開幕券・前期券の活用など、混雑が少なく、気候も快適な開幕前期に来場してもらうメリットを、協会のウェブサイトやSNSはもちろん、旅行代理店とも協力し訴求していく。チケット購入済みの企業や出展団体などにも改めて早期入場を働きかけたい。万博IDがなくてもチケットが購入でき、事前予約なしで入れるパビリオンも多くあるなど、気軽に万博を楽しめるメッセージを発信する」
―万博にかかわる日本企業への期待感は。
「国内主要企業等が出展する13の民間パビリオンやSociety5・0の世界を示す『未来の都市』パビリオンのほか、大阪ヘルスケアパビリオンでは多くの中小企業の技術も紹介される。空飛ぶクルマ、自動運転、自動翻訳など未来の技術が体感でき、イベントやショー、レストランなどの営業施設にも多くの民間企業が参画する。主催者や公式参加者、政府、産業界、学界の関係者が一堂に会して議論し、社会課題の解決策を見いだすプログラム『テーマウィーク』は各分野ごとに交流の場を提供する。参加企業には世界に情報発信する場、各国と交流する場として万博を生かしてほしい」
―万博の成功イメージをどう描きますか。
「万博はいつの時代も、世界を見せ、未来を見せることで人々を啓発してきた。万博のテーマとして提示した訴えが、世界にメッセージとして伝わるか。それが万博のレガシー(遺産)として残ればいいと思っている」