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関西特集
関西のイノベーション加速/関西経済連合会
大阪・関西万博は経済界も準備段階から全面協力してきた。会場建設費の一定負担や前売り入場券の購入などで関西経済界も大きな役割を担った。関西経済連合会の松本正義会長にこれまでを振り返り、開幕が迫った万博への思いを聞いた。
絶対に成功させる
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関西経済連合会会長 松本 正義 氏
―万博の開幕が近づいてきました。率直に、思われることは。
「関経連の会長に2017年5月に就任して以降、誘致活動から万博に関わってきた。関経連では博覧会国際事務局(BIE)のあるパリに駐在員事務所を設置し、商社の協力も得ながら各国の大使館に幅広く働きかけた。18年11月のBIEでの決選投票で開催国が日本に決まった時の興奮は今も覚えている」
「万博の形が見えてくると、会場建設費(2350億円)で経済界が3分の1を負担することになり、関経連が言い出しっぺとして寄付を集める流れをつくった。運営費の多くを占めるチケット購入も前売りチケットで目標の半分となる700万枚を担い、関西経済界が先導した。万博の機運を盛り上げるため、北海道から九州まで全国の経済団体も訪問した。いろんな問題もこれまであったが、今は絶対に成功させるとの思いでいる」
―万博の開催意義をどう見ていますか。
「関西だけでなく、日本全体が万博によって刺激を受け、新しい将来へ走りだすことができれば理想的だ。万博は個々の企業が製品などを紹介する見本市とは違う。これから世界がどういった方向に向かうのかを見せるのが本来の目的。テーマの『いのち輝く未来社会のデザイン』を世界各国や出展企業・団体などが展示にし、紹介する。それを来場者が見て、将来の日本、世界はこうなると感じてもらう。もちろん海外パビリオンなどで商談コーナーを設け、自国の優れた産業を紹介し、ビジネスをする側面も否定しない」
―松本会長が万博で興味あるものは。
「(いのちについて表現する)8人のテーマ事業プロデューサーのパビリオンなどは見ておきたいと思う。世界各国のパビリオンも関心があるが、(3月中旬時点で)建物外観の情報が中心のため、新しいコンセプトや技術などが見られると期待する。『未来社会の実験場』となる万博で、中小企業やスタートアップの新しいアイデアも見てみたい」
リピーター獲得カギ
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万博協会の機運醸成委員会委員長としても活動する関経連の松本正義会長(左から2人目)
―万博を通じたビジネス交流も期待されます。
「万博を機にやってくる各国の経済団体や企業とのビジネス交流は関西経済界にとって重要だ。関経連でも対応する組織をつくった。ビジネスマッチングや、その後のジョイントベンチャーにつながる可能性もある。私自身も要人が来たときに、関経連トップとして会う機会は増えてくると思う」
―万博のレガシー(遺産)として考えていることはありますか。
「関西の観光産業を、万博を機会にどう発展させるかは意識している。インバウンド(訪日外国人)が復活する中で観光客の4割が関西に来ており、万博はグッドチャンスだ。一例だが、(理事長を務める)関西観光本部をモデルケースにし、連携協定を結ぶ山陰や四国、瀬戸内のエリアと一緒に広域観光事業を強化させたい。また万博で展開される水素プロジェクト、バスの自動運転・走行中給電、空飛ぶクルマ、ペロブスカイト太陽電池など次世代技術を弾みにし、関西のイノベーションを加速させたい」
―万博成功に向けて思われることは。
「運営面で赤字にならないようにするため、とにかくチケットが売れるよう、経済界も努力していく。目標の2820万人以上の来場者があれば成功といえる。愛知万博はリピーターが多かったと聞いており、大阪・関西万博も関西の人中心にどれだけリピーターになってもらえるかがカギになる」