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関西特集
未来の姿提示、子ども向けに工夫凝らす民間パビリオン
大阪・関西万博の民間パビリオンでは、各企業グループや業界団体などが最新技術を披露するとともに、それぞれが考える”未来の姿”を提示する。未来を担う子ども世代を中心に興味を持ってもらうため、さまざまな工夫を凝らしている。
パナソニックホールディングス/常識や思い込みから解放
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パナソニックグループパビリオン「ノモの国」の展示では行動解析・空間演出技術を取り入れた -
「ノモの国」の外観
パナソニックホールディングス(HD)のパビリオン「ノモの国」では、同社が培った行動解析・空間演出技術を取り入れ、施設内を探検する子どもの行動や表情を分析し、1人ひとりの個性や特性に合わせた演出を行う。ペロブスカイト太陽電池や、シアノバクテリアを原料とする植物の成長刺激剤なども展示。持続可能な社会を実現するための技術もPRする。
パビリオン内では、ノモの国という不思議な世界の探検を通じて、子どもたちを常識や思い込みから解き放つ。立体音響システムや高輝度プロジェクター、微細な水粒子による滝といった演出が五感を刺激する。パナソニックHDの小川理子関西渉外・万博推進担当参与は「未来は明るいというメッセージを子どもたちにどう伝えるか、大人たちが真剣に考えてたどり着いた」と思いを語る。
三菱グループ/同じ空間で体験を共有
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「三菱未来館」では深海から宇宙まで命の軌跡を描く映像展示を行う
三菱グループ30社による三菱大阪・関西万博総合委員会のパビリオン「三菱未来館」のテーマは「いのちの始まり、いのちの未来」。最新の学術研究を背景に娯楽的な演出表現を駆使して深海から宇宙まで命の軌跡を描く映像展示を行う。2体の案内役キャラクターの掛け合いによる導入アニメーションと、コンピューターグラフィックス(CG)を駆使して生命の旅を描くメインショーを展開。100人収容の宇宙船「ヴァーティカルシャトル」の座席という設定でシアター上映する。
入り口では生命の誕生と地上への拡大、将来の火星への進出と三つの大きな転換点を説明。メインショーでは、生命が誕生した深海から陸上での発展、未来の火星探査まで7500万キロメートルの旅を巨大スクリーンに投影する。小美野一館長は「個人活動が増えた社会で、多くの人が同じ場所で共通の体験ができる貴重な機会を提供したい」と語る。
住友グループ/”いのち”の物語と出会う
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「住友館」のパビリオンには住友グループが育てた木材を活用したほかユニフォームにもリサイクル素材などを採用した
住友グループの企業で構成する住友EXPO2025推進委員会は「住友館」を出展。住友グループが保有する「住友の森」のヒノキやスギなど約1000本を加工してパビリオンの屋根や外壁に全面採用し、木のぬくもり感を持たせた。
住友発展の礎である別子銅山(愛媛県新居浜市)の山々が連なる景観をパビリオン外観で表現。「合板を曲げたり、ねじったりすることで美しい曲線の建物ができた」(同推進委員会)。壁面には子どもたちが植林体験する苗を保管する木棚も設置。専用ランタンを持ち、森を巡るインタラクティブな体験で、さまざまないのちの物語と出会う機会が提供される。
アテンダントユニフォームにはリサイクル素材などを活用。展示の中には、葉っぱ切り絵アーティストのリトさんとのコラボレーションも組み込む。
電気事業連合会/体験しつつエネルギー学ぶ
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「電力館 可能性のタマゴたち」の外観 -
パビリオンの入り口で「タマゴ型デバイス」を受け取り体験展示で利用する -
「核融合」の展示では、重水素と三重水素を反応させるゲームを通じて体感的に学ぶことができる
東京電力ホールディングスや関西電力など大手電力各社による業界団体である電気事業連合会は、「電力館 可能性のタマゴたち」を出展。主に小学生を対象にしてエネルギーの可能性を訴求する。来場者は展示内容と連動して光ったり振動したりする「タマゴ型デバイス」を持ち、核融合や無線給電など29種類のエネルギーについて、体験しながら楽しく学ぶことができる。
核融合の展示では、重水素と三重水素を手でかき集めて反応が起きるとポイントが加算されるといったゲームを楽しめる。直流送電の展示では、低損失で長距離の送電ができることを分かりやすく伝える。植物発電やシビレエイなども紹介。岡田康伸館長は「意外なところにエネルギーがあることを感じてほしい」と期待を込める。