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関西特集
未来に向けた意気込み示す大阪ヘルスケアパビリオン
未来社会の新たな価値創造
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大阪ヘルスケアパビリオンで「ミライの人間洗濯機」を体験する大阪府の吉村洋文知事(25年3月)
大阪府・市は2025年大阪・関西万博で「大阪ヘルスケアパビリオン」を出展する。大阪府内の企業や大学・研究機関、民間非営利団体や市民などと自治体が連携した「オール大阪」体制を構築。「いのち」や「健康」を前面に打ち出したパビリオンとなる。
テーマには英語で生まれ変わりを意味する「REBORN(リボーン)」を掲げ、強いメッセージを込めた。未来社会の新たな価値を創造するとともに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を世界の先頭に立って達成する「SDGs先進都市」としての意気込みも示す。同パビリオンの外観は鳥の巣をイメージした形状。透明な屋根には水が流れ、循環を演出する。外に設けた「いのちの湧水(いずみ)」では、地球をイメージした透明な球体内に野菜と魚が共存する、水耕栽培と陸上養殖の循環型生産システムを展示する。
内装は入り口すぐのアトリウムにあるデオキシリボ核酸(DNA)をモチーフとする、らせん状の3本の柱が特徴だ。アトリウムでは人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来の心臓など再生医療技術や未来の「人間洗濯機」などの展示を行う。
未来生活を体験
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25年後の「ミライのじぶん」に出会える体験
展示の中核となるのは25年後の来場者自身のアバターとともに未来を旅する「リボーン体験ルート」。五つのコーナーを通じて未来の都市生活を体験できる仕組みだ。最初に「カラダ測定ポッド」で心血管と筋骨格、髪、肌、歯、目、脳と7項目の健康データを測定する。測定データや質問への回答に基づき、現段階で推定される25年後の姿のアバターを生成。自分の健康状態も把握できる。
アバターと一緒にAI(人工知能)による個人に合わせた食事の提案や食を通じた細胞レベルでのヘルスケア、ロボット技術で身体能力の可能性を広げる「カラダ拡張スーツ」、AIを搭載した鏡による健康診断など、未来の医療・健康に関わる生活体験をしていく流れだ。
在阪中小・新興企業 国内外に技術をアピール
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大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジに出展する中小町工場のキックオフイベント(25年2月、大阪商工会議所で)
大阪に拠点を持つ中小企業やベンチャー、スタートアップが万博に参加する機会となるのが、同パビリオンの展示・出展ゾーンで行われる「リボーンチャレンジ」だ。商工会議所や地方自治体、金融機関、大学などの実施主体がそれぞれに設けたテーマに沿って、週替わりの共同展示を行う。意欲的な参加が相次ぎ、最終的に決まった参加企業は延べ441社に上る。各実施主体は参加企業に伴走し助言や支援を行ったり、担当企業同士の交流の場を設けたりして機運醸成を図っている。
取引先などから高い評価を受けながら、一般的な知名度に欠ける中小・ベンチャーには国内外に自社の技術をアピールする大きなチャンスとなる。海外展開に至っていない企業にとって世界への足がかりになるとも期待される。
リボーンチャレンジ参加企業の業種はさまざまで、展示内容も多岐に及ぶ。一例として、金属熱処理加工業の大阪冶金興業(大阪市東淀川区)は異なる技術で計2週間分の出展を行う。関西大学と共同開発する次世代加熱技術「ミリ波照射」で作った人工ルビーの応用商品と、3Dプリンター技術を駆使したチタン製カスタマイズ人工骨だ。万博に思い入れの強い寺内俊太郎社長は、出展を通じて「若い人に刺激を与えたい」と張り切る。
産業機械メーカーの有光工業(大阪市東成区)は、AI(人工知能)で最適な農薬散布を行うシステムを出展し、持続可能な農業をPRする。農作物の収量を最大化しつつ環境負荷低減も実現する。スタートアップと組み展示の付加価値を高める。「出展を通じ日本の農業が盛り上がるようになれば」と有光大幸社長は思いを語る。各社が未来を見据えた技術を活用し、来場者の印象に残る体験を演出するため、工夫を凝らして準備を進めている。