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化学産業
化学品商社・物流企業
広がる活動領域/化学品の流通・経済発展に貢献
【執筆】 化学産業企画 代表取締役 高橋 英晴
化学品商社および化学品物流企業は、化学産業における流通と経済の維持・発展に不可欠な役割を担っている。各社ともに独自の強みを生かした取り組みを進めており、その活動領域はさらに広がりをみせている。半導体や医薬品といった成長分野での展開も活発化し、注目されている。
5部門に再編、中計推進
新ケミカル商事は2023年以降、事業部門を化学品、製鉄関連、樹脂、建材、アグリ(農業)の五つのセグメントに再編統合し、より効率的な経営体制を構築した。
中長期経営計画「NCT/ムーンショット計画」では、同社のあるべき姿として「すべてのステークホルダーに魅力ある会社」であることをテーマに掲げる。同計画では、数値目標として30年に1500億円、50年に3000億円の売り上げ達成を目指している。
同社はこれまで18件のM&A(合併・買収)を成功させてきた実績があり、今後もこのような手法を取り入れながら、カーボンニュートラルに向けたCCU(二酸化炭素〈CO2〉の回収・利用)や未利用資源の有効活用など、新たな成長分野も視野に入れた取り組みを推進していく。
医薬品—第2の柱
日光ケミカルズは医薬品事業をパーソナルケア事業に次ぐ第二の柱とすべく、本格的な成長戦略を推進している。これまで手がけている外用剤に加え、内用剤向けなど新たな用途展開を進めている。
既存の添加剤ビジネスでは外用剤向けの新たな提案に加え、内用剤などへの用途拡大を見据えた応用研究を進めている。内用剤では界面活性剤と乳糖の凍結乾燥混合物を用いて溶出試験を行い、界面活性剤による薬物の溶出性改善作用を発見、事業化を進めている。
外用剤ではヒトから摘出した皮膚透過試験を行い、ノニオン界面活性剤による薬物の皮膚透過促進効果の実証に漕ぎ着けた。
海外事業も順調に進んでおり、中国市場では自社製品の中国ドラッグマスターファイル(CDMF)登録を積極的に進め、これまでに6品目の登録が完了。さらに、今年度中に新たに4品目の登録を計画している。
米アリゾナに拠点 開設
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グローバル化で高まる化学品流通の重要性
NRSはグループ全体でブランドの統一を推進し、成長市場に焦点を合わせた化学品物流事業を展開している。
同社は各種温度管理倉庫の運営や国内・国際輸送、タンクヤード、ISO容器のリース・販売・運用・管理、危険物実入り保管、フォワーディング事業といった幅広いサービスを提供する化学品の総合物流企業だ。取り扱う製品は石油化学品から精密化学品、医薬品、半導体材料、ガス、電池材料まで多岐にわたり、高い専門性を持つ。
23年8月、九州地区の新たな総合物流拠点として「熊本支店」を開設。また、25年5月には米アリゾナに総合物流拠点として「NRS LOGIOS AMERICA」を開設した。需要拡大が見込まれる半導体材料にかかわる温度管理の必要な化学品や高圧ガスを中心に、化学品物流の旺盛な需要に対応する。
NRS LOGIOS AMERICAの施設には鉄道輸送用の引き込み線を敷設する予定だ。西海岸から到着する貨物のスムーズなモーダルシフトが可能となり、国内外市場へのアクセス強化、環境に配慮した輸送によるCO2削減にも貢献する。
通関・保管・配送…一貫物流
1919年に創業した丸善はタンクターミナル事業や倉庫保管事業などを手がけ、化学品物流におけるトータルサービスを提供している。
顧客ニーズに応えるため、充填、小分け、抜缶、加温作業など特殊作業を含むマルチワークステーション事業、ドレージ手配を含む通関代行、トラック・ローリー配送手配などのサービス業務も展開している。
千葉県と茨城県の五つの自社拠点を中心として、国内45拠点でパートナー企業とも提携し、全国規模で定温管理や毒劇物を含む化学品の保管から作業、配送までの一貫物流サービスを提供している。
