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日本化学工業協会 会長 岩田 圭一 氏/カーボンニュートラル実現へ加速
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日本化学工業協会 会長 岩田 圭一 氏
多方面の国際紛争の影響や保護主義の台頭により、取り巻く事業環境は不確実性と不透明感が増している。こうした中にあっても、日本の化学産業が2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス〈GHG〉排出量実質ゼロ)や循環型経済を骨格とする「持続可能な社会の確立」を目指すという方向性は変わらない。
我々化学産業は、社会に必要な製品を安定的に供給するエッセンシャル産業として、経済・社会の諸問題に対応していくことはもとより、カーボンニュートラル、循環型社会の実現において、その基盤技術とさまざまな素材供給力により、極めて重要な役割を担うセクターである。
そして、環境規制への対応といった受け身ではなく、社会全体の変革を牽引(けんいん)する「ソリューションプロバイダー」役の産業として、持続的な成長と国際競争力の強化につながる前向きな戦略的機会と捉えている。
日本化学工業協会ではこうした考え方のもと、先般、「カーボンニュートラル、循環型社会の実現に向けた日本の化学産業のスタンス」を公表した。2050年に向けて、現在そして将来における技術、経済性、社会の変化を鑑みながら化学業界として実現すべき目標とその実現に向けた課題、手段について、あらためて整理した。
当協会が描く「あるべき姿」は、化学産業が自らの変革を通じて持続可能な生産システムを確立しつつ、その独自の技術と製品で社会全体の脱炭素化を強力に後押しするというものだ。また、化学産業が単なる「資源を消費する」産業から、「資源を創造し、循環させる」主体へと変革することにある。引き続き、さまざまな施策の具現化、社会実装を進めていく。
石油化学工業協会 会長 工藤 幸四郎 氏/石油化学産業、持続的発展目指す
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石油化学工業協会 会長 工藤 幸四郎 氏
日本を取り巻く国際情勢はウクライナ問題や中東紛争などの地政学的リスクに加え、米国トランプ政権による関税政策が引き起こす世界経済の混乱などにより、不透明な状況が今後もしばらく続くと見込まれる。
わが国の石油化学産業は人口減少に伴う内需の縮小に加え、中国をはじめとする大規模設備の新増設による供給過剰が重なり、厳しい事業環境に直面している。こうした中、石化業界は原点に立ち返り、「人びとの暮らしや他産業を支えるエッセンシャルインダストリー」として、日本の経済・社会を支えていくことが重要だ。
さらに、「カーボンニュートラルの実現」や「循環型社会の構築」といった社会的使命に挑戦し、産業構造の転換をリードしていくことが求められている。
今年度の取り組みでは、まず製造業の基盤であり、石化産業にとって最重要課題である「保安・安全の確保」に注力する。加えて、石化産業の国際競争力を維持するための「事業環境の整備」、国際規制や環境課題への対応を含む「グローバル課題への対応」の三本柱を重要課題として掲げる。
これにより、わが国の石化産業の持続的な発展と、日本の経済社会の健全な成長への貢献を目指して事業を推進していく。
また、カーボンニュートラルと循環型経済の実現に向けて、石油化学コンビナートは製造業のサプライチェーンの起点であり、環境に配慮した「持続可能なコンビナート」への転換が求められている。地域の環境・エネルギーインフラのハブとして機能させることで、脱炭素化と資源循環を促進していく。さらに、化学産業の革新技術を活用してバイオ原料化、二酸化炭素(CO2)の原料化、リサイクル、新素材開発などを通じて、持続可能な社会の実現を力強く牽引(けんいん)していきたい。
日本化学会 会長 丸岡 啓二 氏/持続可能な社会—構築に貢献
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日本化学会 会長 丸岡 啓二 氏
日本化学会は最も歴史ある化学系学会であり、若手人材の育成を通して、世界を先導する研究および技術開発による基礎科学の発展ならびに社会実装を行い、持続可能な社会の構築に貢献している。
一般社会への化学の普及活動として、日本化学会では以前から「化学だいすきクラブ」の活動や、「夢・化学—21」の企画として、「夏休み子ども化学実験ショー」を開催している。今年も科学技術館で化学実験ショーを行い、2日間で6000人近くの子どもが参加した。さらに、「化学グランプリ」「国際化学オリンピック」事業を通して、才能ある中高生の発掘に努めている。特に、化学グランプリ(通称=化学の甲子園)は毎年約3000人の応募があり、その中から筆記・実験試験を経て70—80人の成績優秀者(いわゆる金の卵)を表彰している。今後は、彼らの傑出した才能を大いに伸ばす「金の卵育成プログラム(仮称)」を始めたい。
化学グランプリで表彰された中高生を対象に、世界で活躍できる次世代の高度博士人材育成のため、全国規模で大学から大学院博士課程における支援プログラムを新たに設立していく。これにより、小学生から大学院生までのシームレスな若手育成事業が実現する。
一方、日本化学会は持続可能な社会の構築に向けて、さまざまな産学連携活動を行っており、「CTOサミット」の企画では、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーへの取り組みなど循環型社会の実現に向けた支援を行っている。
日本化学会は3年後の2028年に設立150周年を迎え、現在、記念事業を計画している。その中で、日本化学会が次世代を先導する若手人材育成事業や循環型社会の構築を目指した産学連携活動など未来志向の事業を展開するためにも、産学界の強力な支援をいただきたい。
