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化学産業
半導体
半導体材料 AIブームに乗れ!!/国内で海外で 新工場・増産 設備投資が活発化
化学各社は半導体材料事業に成長を託す。未曽有の生成AI(人工知能)投資ブームを背景に、先端半導体の需要が急増し、材料もその恩恵を受けている。石油化学など既存事業に高成長が見込めない以上、目先の成長戦略は半導体一択となる。旺盛な需要を取り込むべく、各社の投資競争も激しくなる。
新工場
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【写真1】 旭化成のパイメル新工場。24年12月に完成した
旭化成は静岡県富士市の既存工場内に先端半導体向け感光性絶縁材料「パイメル」の製造設備を増設する。投資額は約160億円で、2028年度上期の商業運転開始を予定。24年12月に新工場(写真1)を完成させたばかりだが、間断なく生産能力増強に踏み切る。
パイメルは主に生成AIなど先端半導体の保護膜・層間絶縁膜として使われている。半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)など主要顧客から半導体材料の引き合いが強い。新工場の建屋内に製造設備を導入する。30年時点の生産量は24年度比で2倍になる見通し。
米国増産体制
三菱ガス化学は26年度に向けて、半導体製造時のウエハー洗浄に使うEL薬品の増強工事が米国、台湾、シンガポールなど各拠点でいずれも終盤を迎えている。特に米国では国内外の半導体メーカーの設備投資が活発化しており、2工場を増強して生産体制を早期に拡充する。
EL薬品の超純過酸化水素と超純アンモニア水は主に半導体のウエハーやデバイスの製造工程で洗浄剤やエッチング剤などに使用される。半導体の微細化に伴い、より高品質な薬液の需要が増えている。半導体市場はAIや車載といった用途の拡大を背景にグローバルで長期的な成長が予想される。
3割増産
日本ゼオンは約780億円を投じ、山口県周南市に高機能樹脂シクロオレフィンポリマー(COP)の生産プラントを建設する。28年度上期の完成を目指す。生産能力は現状比約30%増の年間約5万4000トンとなる。光学フィルム・レンズのほか、需要拡大中の半導体や医療向けに供給する。
水島工場(岡山県倉敷市)も含む全社のレジリエンス(復元力)強化の一環で、徳山工場(山口県周南市)に近い事業用地を取得した。徳山工場では低収益のエラストマーの生産を段階的に減らす方針だが、同工場の従業員などの経営資源は新プラントに再配置する計画。
KHネオケムはフォトレジスト原料の高純度溶剤を手がける。極端紫外線(EUV)など先端半導体向けを中心に拡販し、高まる品質ニーズにも対応する。22年に四日市工場(三重県四日市市)に品質管理棟を新設したほか、24年に子会社の黒金化成(名古屋市中区)で次世代半導体向け材料設備を増強した。
増産投資とともに、次世代半導体材料などの開発を目指した他社との連携も加速している。
企業連合設立
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【写真2】 レゾナック主導で「JOINT3」を設立
レゾナックや東京エレクトロン、ウシオ電機など27社は次世代半導体に使うパネルレベル有機インターポーザー(中間基板)の共創型評価プラットフォーム「JOINT3」を設立した(写真2)。試作ラインを構築し、26年の稼働開始を予定する。総事業費は260億円。関連する材料や装置、設計会社が集まり、AI半導体の進化に不可欠なパッケージの技術革新に貢献する。
レゾナックなどは515ミリ×510ミリメートルサイズのパネルレベル有機インターポーザーに適した材料・装置・設計ツールの開発を目指す。同社は茨城県結城市の既存工場内に同プラットフォームの活動拠点を開設し、試作ラインを導入する。5年間の事業となる。
インターポーザーは複数の半導体チップを接続する役割を持ち、次世代パッケージの重要技術とされる。サイズの大型化とシリコンから有機材料への移行が進み、パネル形状にすることでインターポーザーの取り数を増やせる利点がある。
三井化学も24年10月、名古屋工場(名古屋市南区)に半導体材料の新研究開発拠点「クリエイティブインテグレーションラボ」を開設した。顧客との共創を通じてソリューション提案力を強化し、次世代半導体の後工程材料の事業化を急ぐ。
