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化学産業
インク/接着剤
共同配送・リサイクル性向上/社会課題解決に貢献
インクなどを扱う各社は社会課題の解決に寄与する。DICの子会社であるDICグラフィックス(東京都中央区)など印刷インキメーカー3社は共同配送を始める。日油は半導体製品などを製造する際に使われる導電性インクを手がける。機能化学各社は接着剤にも力を入れており、東亞合成は瞬間接着剤の海外展開を強化する。日本ゼオンはマルチマテリアル接着剤の開発を行い、自動車業界向けなどでの用途を見込む。
【インク】 首都圏で開始、全国へ/共同配送
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DICグラフィックスなど印刷インキメーカー3社は11月から共同配送を始める
DICグラフィックスや東洋インキ(東京都中央区)、サカタインクスの印刷インキメーカー3社は、首都圏での共同配送を11月から開始する。対象となる製品は市場縮小が続く情報メディア向けのオフセットインキや関連製品など。
今回の取り組みの背景には、物流業界を取り巻く「2024年問題」がある。24年4月から始まったトラックドライバーの時間外労働規制に伴い、荷主企業には総合的な物流の合理化が求められている。3社は共同配送による物流の効率化を推進する。
現在、各社の取引先エリアの多くが重複しているという。共同配送を行うことで、配送トラック台数の削減や二酸化炭素(CO2)排出量の減少、物流業界が直面しているドライバー不足の解消に役立てる。上昇が続く物流コストの抑制にもつなげる。
今回の首都圏における取り組みを皮切りに、今後は全国での共同輸配送の検討も進める。さらなる物流の効率化の推進と安定した物流体制の継続に寄与する。
デジタル技術の高機能化や社会基盤への浸透により、電子製品では小型化や低電力化などに寄与する新素材の開発が求められている。日油は電子部品用添加剤や感光性材料など、電子製品の高付加価値化に必要とされる素材を開発する。
例えば、電子部品や半導体製品を製造する際には導電性インクなどが使用されており、製品の微細化や高機能化に貢献している。
日油が開発した高精度の印刷を行うことができる銅ペースト(ペースト状の銅インク)は導電性能だけでなく、樹脂基板に対する高い密着性なども有している。
【接着剤】 海外展開を拡大 製販一体
機能化学メーカーは接着剤にも力を入れる。東亞合成は瞬間接着剤「Krazy Glue」の海外展開を強化する。接着材料事業は同社にとって重要な事業であり、自動車や電子材料などに使用される高機能・高付加価値接着剤としても成長している。また、米国における事業は海外販売比率向上の要ともいえる。しかし、近年では競合の台頭などにより、市場の競争環境が一層厳しくなっているという。
25年7月、東亞合成の米連結子会社Toagosei America(オハイオ州)は米国の瞬間接着剤事業の合弁を解消し、同事業を単独で展開すると発表した。合弁相手の米Newell Brands(NB、ジョージア州)グループの出資持ち分を取得する。
合弁を解消するのはElmer’s&Toagosei(E&T、同)で、NBグループが50%出資。1989年に設立し、一般用接着剤の販売を手がける。
今後は製販一体の体制を構築し、Krazy Glue事業のさらなる強化と販売シェアの拡大につなげる。
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日本ゼオンはマルチマテリアル接着剤の開発を手がける
日本ゼオンはマルチマテリアル接着剤の開発を手がける。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)やアルミニウム、鉄などの無機物や、ポリプロピレン(PP)など有機物にも接着できるホットメルト型のシート状接着剤だ。自動車業界向けなどの用途を見込む。
ガラス転移温度は123度C。熱可塑性のため加熱で容易に解体することができ、リサイクル性向上に貢献する。また、吸湿性が低く加水分解しないため湿熱劣化しにくく、耐水性を備える。絶縁性が高く吸水率が低いため耐電食性に優れる点も特徴だ。吸水による接着剤内部の通電経路の形成を防止する。
