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農薬
人口増加—食糧需要増大/世界の成長市場に照準
世界人口の増加や新興国の経済発展などを背景とした食料需要の拡大から、世界の農薬市場は成長が見込まれる。日本農薬は園芸殺菌剤を展開し、日産化学は除草成分「アルテア」を最大量10グラム配合した水稲用一発処理除草剤を手がける。クレハはナタネの収量増が認められる「メトコナゾール」を展開。信越化学工業はフェロモン製剤を手がけており、害虫の交尾を阻害して次世代の発生の抑制に寄与する。
環境生物・昆虫に影響少 水稲向け—地下部も除草
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日本農薬は園芸殺菌剤「パレード20フロアブル」を手がける -
日産化学は水稲用一発処理除草剤「ディオーレ」を展開する
日本農薬は園芸殺菌剤「パレード20フロアブル」を手がける。新規有効成分ピラジフルミドを配合。うどんの粉をふりかけたような白い斑点が発生する病気「うどんこ病」や菌核病などさまざまな病害に効果を発揮する。天敵や有用昆虫、環境生物への影響が少なく、幅広い場面で使うことができる。
降雨の影響を受けにくく、葉内への浸達性を持ち、効果持続性に優れている。加えて、多くの種類の作物において収穫前日まで使用可能だ。
日産化学は水稲用一発処理除草剤「ディオーレ」を展開する。多年生雑草の地上部だけでなく、地下部も抑える除草成分「アルテア」を最大量10グラム配合している。1年生雑草「ノビエ」への効果持続性や、スルホニルウレア(SU)抵抗性雑草への効果も強化した。
さらに、ドローン向けに開発したエアー粒剤も用意。すべての剤型で直播(ちょくはん)水稲にも使うことができる。
40カ国で農薬登録/農業用殺菌剤
クレハは自社開発の農業用殺菌剤などを手がける。トリアゾール系殺菌剤「メトコナゾール」は農業・園芸用殺菌剤で、麦類やトウモロコシの重要病害に対して高い防除効果を示す。麦類では赤かび病や赤さび病など、トウモロコシではさび病などに対して効果を発揮する。主に茎葉散布で使用する。
1994年にフランスで殺菌剤として登録され、現在では世界40カ国以上で農薬登録を取得している。日本では2006年に麦類や芝用の殺菌剤として登録された。
現在では欧州や北米、南米を中心に麦類やトウモロコシ、ナタネなどの殺菌剤原体として使用されている。ナタネにおいては、メトコナゾールの成長調節作用により、収量が増加する効果が認められている。
「イプコナゾール」は同社が発明したトリアゾール系の農業・園芸用殺菌剤原体。日本国内では1994年以降、イネの種子消毒用殺菌剤「テクリードCフロアブル」の商品名でJA全農やクミアイ化学工業を窓口として販売されている。
播種(はしゅ)前の種子の消毒に用いられ、種子伝染性や土壌伝染性の病害に対して低薬量で高い防除効果を示す。海外ではトウモロコシや麦類、ダイズなどの種子消毒剤として、欧州や北米、中南米、アジアで販売を行っている。種子消毒は環境負荷の少ない処理方法として注目されており、今後は海外市場での伸長が期待されているという。
害虫の交尾阻害—次の発生抑える
信越化学工業はフェロモン製剤を手がける。人工的に合成した害虫の性フェロモンを防除に応用した農業資材だ。果樹や野菜、サトウキビなどの害虫に対して防除効果を示す。
ディスペンサーから拡散した合成性フェロモンが害虫の交尾を阻害し、次世代の発生を抑制する。天敵などの益虫や他の生物に対する悪影響が無く、自然界が本来持っている力を活用した防除方法として有機農産物JAS規格での使用が認められている。
フェロモン剤は殺虫剤と比較しても一般的に抵抗性がつきにくいとされている。また、昆虫の性フェロモンは人体に対して毒性が低く、中でも蛾は特に毒性が低いという。
殺虫剤の有効期間は一般的に短いが、フェロモン剤の有効期間は長い点も特徴だ。
交信かく乱用性フェロモン剤「オキメラコン」は、サトウキビの害虫とされるオキナワカンシャクシコメツキの防除などに使う。有効成分の安全性が高く、施用量も極少量。自然界では速やかに水と二酸化炭素(CO2)に分解される。
