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化学産業
化学の魅力
若い世代へ発信
日本化学会、化学工学会、新化学技術推進協会、日本化学工業協会の化学4団体は1993年、化学の啓発と化学産業の社会貢献への理解促進を目的に「夢・化学—21」委員会を創設。明日を担う若い世代に化学の持つ面白さ、不思議さを通じて科学技術の重要性を理解してもらい、化学の世界に興味を持ってもらうことを目的とする。同委員会はさまざまなキャンペーンや実験教室、人材育成を視野に入れた取り組みを展開し、化学および化学産業の魅力を発信している。
夏休み体験型イベントに6000人/子ども化学実験ショー
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「夏休み子ども化学実験ショー2025」が開催された(日本化学工業協会提供)
「夢・化学—21」委員会は実験教室や実験ショーを通じて化学の不思議さや魅力を伝えている。8月2、3の両日、化学の楽しさに触れる参加体験型イベント「夏休み子ども化学実験ショー2025」が科学技術館(東京都千代田区)で開催された。昨年と同様に自由入場制で実施し、両日で子どもたちを含む約6000人が参加した。
同イベントは1993年から開催され、今年で30回目となる。小学生から中学生までを対象に16の化学企業・団体が出展し、会場を盛り上げた。実験に参加して楽しむ「化学実験教室」とクイズに答えるなどして楽しむ「ステージイベント」の2種類を設け、参加した子どもたちに化学の魅力を伝えた。
化学実験教室では、「粘着」の仕組みを使ったオリジナルシールの作成や、ポリエチレンフィルムを用いたオリジナル万華鏡の作成、アルミホイルと炭を使って蓄電池を作る実験など、バラエティーに富んだ全16プログラムを実施した。ステージイベントでは、学校や研究所の先生が実験を行いながら途中でクイズを出題する「なぜナニ化学クイズショー」や、YouTube(ユーチューブ)チャンネル「GENKI LABO」を運営する市岡元気氏のサイエンスライブが行われた。
初の試み みらいの素材コーナー
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親子で楽しめる「みらいの素材コーナー」(日本化学工業協会提供)
「夏休み子ども化学実験ショー2025」では、初の試みとして「みらいの素材コーナー」が設けられた。「みらいが変わる、ゆたかに変わる、べんりに変わる、化学が変える。」をテーマに先端化学素材や技術が展示された。8社の企業が参加し、親子で楽しむ様子が見られた。
【The NOBEL PRIZE in CHEMISTRY】
京都大学 特別教授 北川 進 氏/無用の用 幸運は準備された心に宿る 金属のジャングルジム
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京都大学 特別教授 北川 進 氏
2025年のノーベル化学賞は、京都大学の北川進特別教授ら3人が選ばれた。授賞理由は「金属有機構造体(MOF)の開発」に対する功績。日本出身のノーベル賞受賞者は個人では30人目。化学賞の受賞は19年の旭化成の吉野彰名誉フェローに続き9人目となった。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれる。
MOFは多孔性配位高分子(PCP)とも呼ばれ、金属イオンと有機材料からなる、有機物と無機物のハイブリッドの多孔性物質。イオン交換材料や触媒、吸着材料などに使われ、幅広い産業応用が進む。
多孔性材料は分子やイオンなどの標的物質を低エネルギーで効率よく認識し、捕捉や分離、貯蔵、凝縮、変換を行える。北川氏はその機能を最大限に高めるため、PCPの合成に取り組み、1997年に成功した。現在、設計できるPCPの種類は10万種類を超えており、さまざまな分野での応用が期待されている。
受賞決定にあたって8日に会見した北川氏はチームプレーの重要性を強調し、「これからは気体の時代になる」と意気込んだ。
