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ベルギー・ワロン地域/ライフサイエンス台頭
ベルギー南部のワロン地域と日本との結びつきが強まっている。ワロン地域はかつて石炭や鉄鋼業が盛んだったが、採算が合わなくなり衰退した。重工業の代わりに台頭したのが、医薬品といった健康に関わるライフサイエンス領域だ。空路や陸路、そして水路が発達するワロン地域は立地の優位性を海外企業に訴求して誘致に励み、複数の日本企業を招いている。2025年大阪・関西万博を契機に両国の関係性の深化に期待がかかる。
海外企業誘致/立地の優位性訴求
ベルギーは日本からの投資を積極的に呼び込む。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本からベルギーに対する直接投資は、12年以降プラスが続いている。また外務省の23年の調査によると、ベルギーに拠点を置く日系企業は250社を超えた。ワロン地域政府らが日本企業の誘致に積極的に動いてきたためだ。
ワロン地域にはブリュッセル南・シャルルロワ国際空港やリエージュ国際空港が位置し、ムーズ川をはじめとした水路もある。交通の便のよさは、海外企業による進出の決め手になっているようだ。具体的には、武田薬品工業やカネカ、AGC、ブリヂストンなどがベルギーに進出している。一方、日本にはベルギー化学大手のソルベイといった化学や食分野の企業が拠点を構える。
両国の結びつきは企業誘致にとどまらず、教育機関にも及ぶ。例えばライフサイエンス領域での連携の一例として、ベルギーのルーヴァン・ラ・ヌーヴ・カトリック大学と芝浦工業大学の共同研究が挙げられる。
両大学は年内にもデジタル技術で健康の維持に貢献する研究を始める。ルーヴァン大の画像処理技術や芝浦工大の脳波信号技術を組み合わせて、精神疾患に対してセンサーを用いて推定する研究を行うという。
共同研究を始めるにあたり、ルーヴァン大に近接する施設「Open Hub(オープンハブ)」で9月に両大学の関係者らが交流し、互いの研究分野への理解を深めた。共同研究に参加するルーヴァン大のブノワ・マック教授は「非常に興味深い研究になるのではないか」と期待する。両国の連携が人々の健康寿命を延ばすのに一役買うだろう。