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九州・沖縄 経済特集
不透明の先へ
現代社会を表す言葉に「VUCA(ブーカ)」がある。変動性・不確実性・複雑性・曖昧性を示す英語の頭文字を取ったものだ。
2025年に入り、米国の関税措置の動向を主因に、産業界の「VUCA」は特に強まっている。事業やサプライチェーン(供給網)を国際的に展開する企業では、投資や事業に対する慎重姿勢も見られる。少なくとも短期的には景況が停滞する懸念がつきまとう。
九州・沖縄ではこうした先行きの不透明さを越えて、中長期では経済のダイナミズムが続くとの見方は強い。
半導体関連では台湾積体電路製造(TSMC)などが出資する製造子会社、JASM(熊本県菊陽町)の第1工場が稼働した。「シリコンアイランド」である九州が新たな段階に入った。サプライチェーン参入を目指す企業や周辺開発の動きは活発で、九州各地でも設備投資は旺盛だ。経済のけん引役としての半導体の推進力は強い。
もう一つの基幹産業である自動車では、地域にとって逆風もある。だが車両の次世代化の流れに乗ることは時代の要請だ。世界に向けた生産拠点として存在感をより高めるため、自治体を含めて取り組みは動き続ける。
さらに、魅力ある地域資源を生かした観光産業、スタートアップ支援や成長領域を通じた産業振興、再開発を契機にした都市機能の強化といった、未来を見据えた多様な事業活動が着実に歩みを進めている。
本特集では九州・沖縄における大手・中堅・中小企業をはじめ産学官の最新動向を紹介する。
九経連 新会長に池辺氏/九州をもっと元気にしたい
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九州経済連合会の池辺和弘会長は就任会見で「九州をもっと元気にしたい」と意気込みを見せた(福岡市中央区)
九州経済連合会では、新たな会長に池辺和弘氏(九州電力会長)が就いた。九電出身者では12年ぶり。福岡市内で開いた就任会見で「九州をもっと元気にしたい」と力を込めた。九電の社長として変革を推し進めた手腕や、電気事業連合会の会長を務めた経験の発揮に期待がかかる。
就任会見での主なやりとりは次の通り。
—どのようなテーマに取り組みますか。
「端的に言うと九州をもっと元気にしたい。どこに問題があり、どこに力を入れるべきか各地を見て回る」
—半導体を中心にした企業誘致の考えは。
「工場だけでなく本社機能なども来てもらえる魅力ある地域にしたい。半導体ではTSMCを契機に前工程、後工程も進出し始めた。米国の関税政策で様子見の企業もあるが、大きな流れやAI(人工知能)、半導体の重要性は変わらない。九州はアジアに近く土地もあり、有能な人材がいる。他地域に比べてリードを保っており、このリードをつなげていきたい」
—会長としてどのように独自色を出しますか。
「九電では社長としてインターネット番組を配信していた。九経連は素敵な取り組みをやっている。私を通してアピールできるように、九経連のPRパーソンでもありたい」



