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京都産業界
JASISに見る-京の分析トレンド
京都には分析計測機器をはじめとした〝はかる・わける〟技術に強みを持つ企業が集積する。今秋、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開かれた分析・科学機器の展示会「JASIS2024」にも、京都企業が多数出展した。人工知能(AI)をはじめとする先端技術を活用したものや、ライフサイエンス、環境負荷低減に関連した技術など、数多くの未来社会を支えるソリューションが披露された。
島津製作所/最先端の機器・技術を活用
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最大規模の島津製作所ブース。コンセプトは「AX」
会場で最大規模のブースを構えた島津製作所のコンセプトはラボの属人性を解消し、研究者がより高度な業務に取り組めるようにする「AX(アナリティカルトランスフォーメーション)」。最先端の分析計測機器とロボットやAI、モノのインターネット(IoT)を活用した多数の新製品・新技術を披露した。中でも、ひときわ目を引いたのが、ラボの自動化、省人化を支援するソフトウエアだ。
その内の一つが、簡単な操作で分析法開発を省力化する、高速液体クロマトグラフ(HPLC)用分析法開発支援ソフト「ラボソリューションズMD」。最大の特徴は、初期分析条件と分離度の基準を設定するだけで、独自のAIアルゴリズムが分析法の開発に必須の、最適な「グラジエント条件」の探索を自動化する点。作業の省力化が見込めるほか、AIによる自動探索のため、HPLCの操作経験の有無に左右されず同条件を導き出せる。作業の属人化を軽減するだけでなく、人材不足などの課題にも対応したソフトだ。
堀場製作所/半導体市場で存在感発揮
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堀場製作所はバイオ・ライフサイエンスや半導体向け新製品・新技術を多数出展
堀場製作所は注力するバイオ・ライフサイエンス市場や半導体市場向けに新製品や新技術を多数出展した。同社は半導体製造プロセスを〝横糸〟、そのプロセスごとに存在する関連材料市場を〝縦糸〟とし、半導体製造に関わるバリューチェーン全体を織物(ウーブン)に例え、「ウーブンバリューチェーン」と表現する。展示会では世界シェアトップのマスフローコントローラー(MFC)をはじめ、従来から展開する半導体市場向け製品に加え、同市場以外に展開していた製品や技術も、半導体市場と関連付けて披露。同市場における堀場の存在感と可能性を示した。
ワイエムシィ/効率性と環境対応を訴求
ワイエムシィ(京都市下京区)は高純度かつ高回収率の精製を実現する、ツインカラム連続クロマトグラフィー精製システムを披露した。2本のカラムを用いる独自の連続精製プロセスが特徴の同システムは、世界的に普及しつつあるバイオ医薬品の精製用途での需要を見込む。また、精製過程で生まれる、不純物を含む低純度のフラクション(分別物)を、廃棄せずに新しい試料と合わせてリサイクル精製できるため、環境負荷も低減できる。
GSユアサ社長 阿部 貴志 氏/連携を加速し研究に注力
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GSユアサ社長 阿部 貴志 氏
ー次代の成長を見据え、研究開発に注力しています。
「2023年に設立したホンダとの合弁会社『Honda・GS Yuasa EV Battery R&D(HGYB)』で、BEV(バッテリー電気自動車)用、およびESS(電力貯蔵システム)用リチウムイオン電池(LiB)を研究開発している。大阪公立大学と連携し、イオン伝導性や耐水性に優れた独自の固体電解質を用いて全固体電池の開発も進めている」
ー社外連携を加速させています。
「BEV用LiBは、開発力やコスト競争力、供給量などに優れた競合がグローバルで存在する。BEV向け事業も従来の車載用LiB事業と同様、ノウハウや技術を有する自動車メーカーなどとの協業が基本方針。HGYBが開発した高容量・高出力なLiBを27年度からGSユアサグループの生産会社の工場で生産し、グループ全体で35年度までに、年間20ギガワット時(ギガは10億)超の生産能力に伸ばす計画だ」
ー人材育成戦略は。
「中長期の成長には未来を創る自律型人材の力が必要だ。今後、業務に応じて必要となる技術・技能を学べる研修や新事業創出に生かせる発想力研修などを、従業員自身が選択、受講できる仕組みを導入する予定。また、獲得スキルを発揮できる場の一つとして、全従業員が参加できる新事業のアイデア創出・提案活動『Bizチャレ』を整備した。今後の〝革新と成長〟の機会を生み出していく」