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京都産業界
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技術・開発・研究でシナジー/片岡製作所社長 西 則男 氏
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片岡製作所社長 西 則男 氏
ー世界的に電気自動車(EV)関連の計画見直しが目立ちます。
「少し踊り場かもしれないが、全く懸念していない。二次電池検査システムの売り上げは予定通り好調で受注も非常に旺盛だ。日本の自動車メーカーや電池メーカーは堅実に開発を行っていて、当社は少し先までの引き合いを頂いている。電池は作るのが難しく、品質、安全性などは、日本などの以前からの電池メーカーが強い」
ーレーザー加工システム事業も堅調です。
「半導体や電子部品業界向けで超精密穴開け装置が好調。次世代太陽電池のペロブスカイト太陽電池向けレーザーパターニング装置も期待できる。2029年1月期までの5カ年計画で売上高300億円(24年1月期比約3・6倍)を目指し、二次電池検査システムと、レーザー加工システムの両装置がけん引役となる。新本社・研究開発センター(京都市南区)は25年7月に完成予定。その後、第二レーザー工場に着工し、第三レーザー工場も計画している」
「拠点新設にあたって過去を紐解くと、開発速度は昔の方が速く、売り上げにつながっていた。単純比較できないが、アカデミックな研究に寄り過ぎるところが今はある。新しい研究開発センターで技術者を増強し、技術・開発・研究が一体となった活発なコミュニケーションでシナジーを狙う」
新しい設備で新たな発想/NKE社長 中村 道一 氏
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NKE社長 中村 道一 氏
ーさまざまな工場向け自動化機器、搬送設備を手がけています。
「2024年度上期の売上高は前年同期比約2割増で計画も上回った。車載電池をはじめ、自動車業界の設備投資が旺盛なほか、前期から取り組む大型案件も寄与した。当社のワイヤ駆動ロボットとコンベヤーを組み合わせた特徴的な搬送システンムも好調だ。省人化ニーズは強く、カスタマイズ要求も多い。当社の技術を生かせる業界をどんどん開拓し、対象を広げていきたい」
ー今春、独自の加工技術確立やモノづくり力の強化などを目的に本社工場(京都市伏見区)を増強しました。
「本社工場の自動化・効率化、標準品の商品開発に結びつけること、同工場のショールーム化がこれからの取り組み。当社の商品を自分たちの生産設備に使うことで新しい設備、新たな発想を得ようというのがポイント。プロジェクトが動き、テーマも二つ、三つ上がってきた。若手が公募の参加に積極的で、ベテランとチームを組んでノウハウの伝授なども期待できる」
ー人材育成の重要性が高まっています。
「今夏に中国とタイの従業員を含め、140人規模のグローバル昼食会を京都で開いた。今回、直に顔を合わせられたのが一番の成果。デジタル化で先行する中国の事例などを学ぶ機会にもなった」
社会課題に挑戦続ける/コフロック社長 小島 望 氏
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コフロック社長 小島 望 氏
ー半導体製造装置や、半導体製造で使う付帯装置向けなどに流量計を展開しています。
「半導体の前工程の装置は動いているものの、周辺の付帯装置は今ひとつの印象を持っている。回復が2025年と言われる中で、見越して動く企業がある一方、そうでもない会社もあり、まだら模様だ。ただ、半導体関連では、下期ないし、来年に向けて〝ある程度、仕込んでください〟というフォーキャストが出ていたりするので、期待している」
ー事業の見通しは。
「2025年3月期は過去最高の売上高だった前期を若干上回る計画で進めている。窒素や酸素などを生成するガス発生装置の引き合いは数年前と比べて一段上のトレンドに入った。エネルギー価格高騰や脱炭素化の流れの中、窒素や酸素を内製化したいニーズが顕在化している。流量計とビジネスモデルが異なり、競合と差別化できるメンテナンスサービスも拡充していく」
ー今年で創業75周年を迎えました。
「流体を科学する企業として社会課題にチャレンジしつづけ、流量計とガス発生装置だけでなく、エンジニアリングなどの特徴も生かして貢献していく。持続的な成長に向け、若者が継続して働きやすい環境づくりや仕組み作りを加速するほか、外国人材の活用にも力を入れていきたい」
人手不足時代、省工数に焦点/不二電機工業社長 八木 達史 氏
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不二電機工業社長 八木 達史 氏
ー好業績の傍ら、先行きに慎重姿勢です。
「電子部品不足で積み上がった受注残を順調に生産できたほか、コロナ禍で後ろ倒しとなった設備投資も動き出し、上期の業績は期初計画を上回った。深刻な人手不足を背景にスマートメーターを無停電、省施工で交換できる無停電交換用コネクターの採用増も業績に貢献した。ただ、受注が弱い。顧客の在庫調整は来春までかかる可能性もある。長納期手配となっていた顧客の発注が元に戻る傾向もあり、先が読みづらい」
ー2033年1月期までの経営計画を今期、始動しました。
「既存の電気制御機器の製造販売事業をあらためて強化し、新事業にも挑戦する。省工数に焦点を当て、ネジレスなどの新製品開発に力を入れる。人に頼った生産システムをデジタル的に見直し、各工場の無駄も無くして効率化を推進。自社向け装置で培った自動機などを外部展開するエンジニアリングは市場に捉われず、一次産業など幅広く提案していく」
ー重点項目で、働きがいのある職場環境の整備も掲げています。
「女性が働きやすい環境整備をすることが、従業員みんなにとっても働きやすい職場につながると思っている。働きがいを感じられるのかも重要だ。専門的な技術を生かし、より活躍できるような制度変革も視野に入れている」