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京都産業界
「次世代育成」取り組み加速
職業体験やモノづくり体験、起業家マインドを醸成する子ども向けイベントが増えている。コロナ禍を経て顕著となった人手不足で人材獲得競争は激しさを増すが、10年後、20年後の次代を見据えた取り組みも加速する。小学生が授業でパソコンを使ってプレゼン資料を作り、中学生がYouTubeチャンネルを開いて編集動画を公開。株式市場の動向を高校生が日常的に会話することが当たり前の時代でも、京都の若者に刺さるイベント企画には人が集まる。
モーターづくり体験/ニデック
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銅線で作ったコイルが回ることを体感
ニデックは京都府の小学生を対象に、モーターづくり体験教室をニデック京都タワー(京都市下京区)で開いた。ネーミングライツ(命名権)を取得し、4月に名称変更したニデック京都タワーでの開催は初めて。ニデックの創業は、永守重信グローバルグループ代表が小学生の時にモーター製作の授業で面白さを感じたことがきっかけの一つ。創業者の原体験を背景に、同社は小学校の出前授業でモーター製作実習の不定期開催を続ける。
子どもに環境教育/堀場製作所
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マイクロプラスチックの観察体験
次代を担う若者に、環境の大切さを伝える企業も多い。
堀場製作所は子会社の堀場テクノサービス(京都市南区)本社で、堀場グループ社員の子どもを対象に、環境への悪影響が懸念されるマイクロプラスチックの観察体験会を実施した。堀場の環境教育向け製品「ぷらウォッチ」を活用。同製品に付属する染色液を砂にかけると、砂中のマイクロプラスチックを染色し、それに光を照射すれば、砂に紛れた同プラスチックを観察できるといった内容だ。琵琶湖や日本各地の海で採取した砂を観察し、「海は結構汚かった」と、衝撃を受ける子もいた。
同体験会は、堀場グループ社員の家族が参加する職場見学イベント「オープンハウス」の一環で8月に開催。コロナ禍などの影響で6年ぶりとなった。企画した堀場テクノサービス分析技術本部の西銘悠妃氏は「イベントを通じて、子どもたちに楽しく環境問題を身近に感じてほしい」と期待する。
子ども探求博/京都府・京都産業21
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イオンモール桂川でのロボット競技デモ
家族連れでにぎわうイオンモール京都桂川(京都市南区)で、このほど京都府と公的支援機関の京都産業21がロボット産業や京都のモノづくりに触れるイベントを開いた。「京都子ども探究博」と銘打ったイベントで、子どもの能力開発や未来の技術者育成、エンジニア人口増加を狙いとする。SCREENホールディングスやTOWA、ニチコン、ウエアラブル機器のミツフジ(京都府精華町)の4社がブースを出展し、ロボットやスマートフォンなどのモノづくりを支える自社の先端技術をPRした。
フリスビーをロボットに当ててヒット数を競う競技用ロボットも披露。同ロボットは小学校5年生から中学校3年生の子どもたちが4日間の短期間で完成させたもので、競技デモや操作体験会を行い、多くの買い物客が足を止め、にぎわいを見せた。
講師役を務めた次世代ロボットエンジニア支援機構の川節拓実代表理事(京都大学大学院講師)は「身の回りの機械や配線が誰かが作ったモノであることを理解してほしい」と狙いを話す。
起業家交流イベント/日本公庫
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起業家の話に高校生らは興味津々
起業やスタートアップでの活躍を進路の選択肢に加えてもらおうと、日本政策金融公庫京都支店が仕掛けたイベントが「Inspire!スタートアップ×高校生in京都」。
ディープテックで社会課題解決に挑む起業家が高校生らに起業の経緯や夢、困難を乗り越えた経験を語って交流するイベントだ。今年は学生が参加しやすい夏休み前半に京都大学の会場で開き、小・中学生、保護者、大学生らを含め、定員を超す約250人(前回の約2倍)が参加した。
ユーグレナの出雲充社長が基調講演した後、宇宙スタートアップのispace(アイスペース)や京都大発のメトロウェザー(京都府宇治市)などの6社がプレゼンした。高校や大学時代、今の自分の支え、挑戦し続ける意義、スタートアップの辛さや楽しさなどを公開討論で披露し、皆熱心に聞き入った。
交流会も盛況だった。「新たな価値観を創造するベンチャーマインドに触れる良い機会でした」(小学6年生)や、「起業や経営の疑問に答えてもらえる機会は学生の段階では貴重」(高校2年生)など、盛り上がった。