-
業種・地域から探す
続きの記事
神奈川県特集
未来を担う人を育むー神奈川県の財団ー
【エヌエフ基金】未来の技術者・科学者の“卵”を応援
一般財団法人エヌエフ基金は「科学技術の進歩にとって有益と見込まれる研究活動を広く支援、顕彰し、併せて、社会の将来を担うべき有為の人材を育成、支援する」ことを目指して、2012年にエヌエフ回路設計ブロック(現エヌエフホールディングス)によって設立された。諸外国に比べ、多くの日本の若手研究者や学生が資金面で恵まれない環境に置かれていることを踏まえ、産業界の立場から未来のエンジニアや科学者の“卵”を応援している。
-
一般財団法人エヌエフ基金 代表理事 辻 毅一郎 氏
エヌエフグループは未知なる領域への計測・制御に積極的に取り組み、豊かな未来につながる新しい価値の創造に挑んでいる。量子コンピューターやライフサイエンス、宇宙などの研究分野では、低雑音・精密信号処理技術が活用されている。また、環境エネルギー分野では高精度パワー制御技術が脱炭素社会の実現に寄与する。その製品群は大学や研究機関、企業の研究・開発部門などの研究者や技術者に欠かせない存在として、科学技術の発展とイノベーション創出を支えている。
こうした研究・開発環境に貢献するハード面にとどまらず、未来を担う研究者をソフト面でも支援していくために設立したのがエヌエフ基金だ。35歳以下の若手研究者を対象に第1回から第9回は「先端計測」、「環境・エネルギー」の2分野で研究開発テーマを募って書類審査で奨励賞10人を選び、研究発表によりその中から優秀賞2人を表彰してきた。21年度の第10回からは、既成概念にとらわれない発想や手法を用いた挑戦により、持続可能な社会の発展への貢献が期待される「新価値創成」分野が新たに加わった。
知の相互作用へ研究者に議論の場 開設
-
第13回(2024年度)「エヌエフ基金研究開発奨励賞」研究発表会・表彰式
24年11月には「第13回(24年度)エヌエフ基金研究開発奨励賞」に10人を選出し、都内で研究発表会・表彰式を開催。研究内容プレゼンテーションのあと優秀賞2人と特別賞1人が発表され、辻毅一郎代表理事(大阪大学名誉教授)が受賞者全員を表彰した。
優秀賞の栄誉に輝いたのは東京大学大学院新領域創成科学研究科の鬼頭俊介氏による「価電子軌道の実空間観測手法の開発」(先端計測)と、産業技術総合研究所デバイス技術研究部門の村田博雅氏による「炭素結晶の低温成長技術の開発とデバイス応用」(新価値創成)。また、特別賞は東京電機大学工学部電気電子工学科の渡辺翔一朗氏による「電気鉄道における省エネルギー運転理論の実証と実応用に向けた研究開発」(環境・エネルギー)が選ばれた。
本多敏選考委員長(慶応義塾大学名誉教授)は「研究成果はいずれも素晴らしく、選考委員は苦渋の選考を重ねた。今回の受賞が契機となって、研究がさらに進展することを期待している」と総評した。
同基金の理事を務めるエヌエフホールディングスの高橋常夫会長は「科学技術の研究成果を評価する顕彰制度は数多くあるが、本当に支援が必要なのは未来を担う若手研究者たち。花開く前の種や苗の段階からしっかり育てることが科学技術の発展につながる」と研究開発奨励賞の意義を説く。24年には多分野で活躍する受賞OBを応援するため、科学技術を巡るさまざまな話題を取り上げて議論する「エヌエフ基金サロン」を開設。研究者の相互交流、知の相互作用を推進している。
【小笠原敏晶記念財団】多様な創造力の根源 文化・芸術分野に助成
公益財団法人小笠原敏晶記念財団は科学技術分野で39年にわたって助成事業を行い、多様な創造力の根源となる文化・芸術分野の助成にも乗り出している。科学技術分野の深耕を図りつつ、文化・芸術分野まで活動領域を広げることで世の中に新しい価値を生み出す人たちを応援し、未来を切り拓いていく狙いがある。リスクを恐れず、常識を打ち破り、社会に人間らしい豊かさをもたらすことー。そこに使命を見いだし、意欲を注ごうとする創造的な熱きチャレンジャーに寄り添い、支援することでイノベーション創出を後押しする。
健全で豊かな社会づくりに貢献
-
公益財団法人小笠原敏晶記念財団 理事長 小笠原 三四郎 氏
小笠原敏晶記念財団は神奈川県横須賀市に本社を置くニフコ創業者の小笠原敏晶氏によって1986年に「小笠原科学技術振興財団」として設立され、科学技術分野で助成事業を行い、2020年に改称して文化・芸術分野の助成を始めた。
科学技術助成は設立当初からの高分子分野における新素材・加工技術・新機能に関する研究開発課題を対象とした「一般研究助成」に加え、15年には起業家の公益性の高い新製品・新技術開発プロジェクト支援を目的として、インキュベーションとベンチャーを組み合わせた「インキュベンチャー助成」〈造語〉を開始。24年度は高等専門学校を含む「若いチカラ」によるスタートアップ支援を強化した。そのほか、研究者が研究成果を国際研究集会で発表するための渡航費を補助する「国際出張助成」、国内における国際研究集会開催費を補助する「国際会議開催助成」も実施している。
文化・芸術助成は20年度に、日本の現代美術分野における新型コロナウイルス感染拡大の影響に対応するため「新型コロナウイルス特別助成」を立ち上げ、22年度まで3次にわたり現代美術の担い手を緊急支援。24年1月に発生した能登半島地震では、被災した現代美術・伝統工芸に携わる個人や団体を支援するため同年4月から3次にわたって「令和6年能登半島地震緊急助成」を実施した。被害が深刻なため、25年度も第4次の助成措置を講じる計画だ。いずれの緊急事態にも民間助成財団として機動力を発揮し、特別・緊急助成を実行している。
また、日本の現代美術の発展と国際的なプレゼンス向上を目指し、調査・研究活動やアーティストによる制作活動のためのリサーチを支援する「調査・研究等への助成(現代美術分野)」、関連文献を英訳して海外へ紹介する「現代美術の翻訳助成」を制度化。国内で開催する現代美術関連の会議費用を補助する「交流助成」や、海外で開催される会議を含め参加するための「渡航・旅費等の助成」も行っている。
科学技術と文化・芸術分野の交流会 開催
-
展示会で助成事業をPR(スマートファクトリーJapan2024秋)
21年に就任した小笠原三四郎理事長は助成活動について「文化・芸術分野まで助成対象を広げた支援を通じて、心豊かな社会の実現の一助となることを期待している。多彩な才能との相互交流を通じて、健全で豊かな社会づくりに貢献したい」と話す。
24年11月には、科学技術および文化・芸術の両分野の助成採択者が集う2回目のイベント「2024年科学技術と文化・芸術分野の交流会」を開催。新たなイノベーション創出の機会として、両分野の採択者が活動を報告し合うパネル説明会を実施した。採択者と財団関係者ら約90人が参加した。