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工作機械産業
受注 今年7%増 1兆6000億円
アジア新興国向け 躍進
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カーボンニュートラル達成に向け、省電力・省エネルギーな機械や関連装置の提案が進む -
デジタルツインやAIによる異常検知機能などを搭載したコンピューター数値制御(CNC)装置
日本工作機械工業会(日工会)によると、2024年の日本の工作機械の受注実績は、前年比0・1%減の1兆4851億900万円と前年並みとなった。過去8番目の受注額で、全体に占める外需の比率が初めて7割を超えた。
外需のうち、中国からの受注額が最も高く、同23・0%増の3371億円だった。中国政府の補助金効果に加え、電気自動車(EV)やIT関連の投資などが受注増加へとつながった。また、ベトナムは同103・4%増、フィリピンは同33・9%増、インドは同25・6%増と、アジアの新興国が受注額を大きく伸ばした。一方、内需や欧米からの受注は伸び悩んだ。
年明け、日工会は25年の受注額を前年比7・7%増の1兆6000億円と見通し、3年ぶりの増加を予想した。自動車や半導体関連の設備投資などに期待を示した。日工会によると、1月の受注額は前年同月比4・7%増、2月の受注額は同3・5%増となった。航空・造船・輸送用機械向けの受注が好調で、同分野の1-2月の内需は前年同期比94・2%増となり、2月の内需は9年1ヵ月ぶりに40億円を超えた。
2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)達成に向け、省電力・省エネルギーな機械や関連装置が多くのメーカーから提案されている。二酸化炭素(CO2)排出量管理システムの活用や、工程集約・自動化による生産性の向上により、グリーン・トランスフォーメーション(GX)に取り組む企業も増えている。
新材料・ロボ・AI・VR-進化
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自動化・省人化の観点から、産業用ロボットの活用が広がっている -
ベッドに新素材「ミネラルキャスティング」を使用した研削盤(トーヨーエイテック提供)
また、工作機械の部品に新素材を採用する動きも広がっている。その例として、鋳物の代替として使われている「ミネラルキャスティング」がある。鉱石とエポキシ樹脂を結合させた複合材で、鋳物に比べて製造工程におけるCO2排出量が大幅に少ない上、減衰能の高さなどの性能面でも優れており、注目されている。
さまざまな業界で人手不足が喫緊の課題とされ、モノづくり業界も例外ではない。自動化・省人化の観点から、モノづくり現場では産業用ロボットの活用が進んでいる。工具の挿入や加工対象物(ワーク)の交換、搬送を行うロボットなどが活躍している。
また、AI(人工知能)や各種デジタル技術を取り入れた機械や装置も多く開発されており、加工の高速・高精度化が図られている。仮想現実(VR)技術を活用した加工訓練システムの開発・研究も進められ、安全な人材育成への貢献が期待されている。