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京都産業界
未来を見据えた取り組み②
村田製作所・立命館/理科教育に革新
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7月末、STEAM教育推進に関する産学連携協定を結んだ。(左から、村田製作所の岩坪浩副社長、学校法人立命館の仲谷善雄総長)
村田製作所はSTEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学)を通じた次世代人材の育成に力を入れている。取り組みの背景にあるのは子どもたちの理科離れへの問題意識だ。同社は2006年から出前授業などを通じてSTEAM教育に取り組んでいるが、近年は学校法人とも連携し、活動の枠を広げている。エレクトロニクス業界をリードし続けてきた同社は、理系人材の育成でもけん引役を担う考えだ。
独自の自転車型ロボット「ムラタセイサク君」や手回し発電機でコンデンサーに蓄電するキットなどの教材を用いて、出前授業を実施してきた。22年には体験施設「ムラーボ!」を横浜市西区に開設し、科学や電気の基本を楽しみながら学べるようにしている。
さらにSTEAM教育のバリエーションを広げようと、立命館との連携も強化した。両者は7月、産学連携協定を締結。出前授業などで培ったノウハウと、立命館が持つ教育現場の知見を組み合わせて教材を共同開発する。「やっておしまいのSTEAM教育が多い」(立命館関係者)と言われる中、同大学・大学院の研究者も参画し、教育効果を測定する手法も開発する。村田の岩坪浩副社長は「理科教育の革新を起こしていきたい」と意気込み十分だ。
第一工業製薬/化学の面白さ 実験通じ体験
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実験を真剣なまなざしで見守る子どもたち
メーカーにとって子どもたちの夏休み期間は、自社技術をPRし、科学やモノづくりの楽しさを次世代に伝える絶好の機会だ。第一工業製薬や京都市西京区などは今夏、「ワクワクみらいアカデミー『化学実験教室—親子ハンドソープ作り体験—』」と題したイベントを開催した。小学4—6年生とその保護者36人が参加。講話や実験を通じて第一工業製薬が手がける界面活性剤の持つ力を学び、化学や環境問題への関心を高めた。
冒頭、平尾一之京都大学名誉教授が「自然に学ぶミクロな世界のテクノロジー」と題して講話した。その後、第一工業製薬の社員が講師となり、化学実験がスタート。同社が手がける界面活性剤は、身近な製品では洗剤やせっけんに使われている。
「水と油に洗剤を加えるとどうなる?」「すすの入った水に洗剤を入れると?」。子どもたちは自身の予想を確かめようと、実験を真剣なまなざしで見守った。講師は界面活性剤の持つ乳化や分散作用といった働きについて実験結果をもとに解説。また、洗浄に欠かせない水資源の重要性も訴えた。
化学実験教室の最後は、オリジナルハンドソープ作りを実施。増粘剤の量や香料の種類を選び、好みのハンドソープをお土産として持ち帰った。
日・豪 学生チーム/宇宙研究の成果、豪展示館で提案
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プレゼンはオーストラリア現地ともつなぎ、英語で行われた
宇宙について共同研究した日本とオーストラリアの中高生らの混合チームが、その成果を発表するセレモニーが9月下旬、大阪・関西万博のオーストラリア館で開かれた。立命館中学校・高等学校など、立命館大学の付属校をはじめ、国内の複数の学校が参加し、およそ20チームが火星や月での生活などで予測される宇宙開発の課題解決策を提案した。
豪政府など、多様な組織と連携して教育に取り組む豪州のNPOが主催する半年がかりのプログラム。1チームは10人前後で、日本と豪州の生徒がおおむね同数となる編成だ。
会場のオーストラリア館UMIルームに多くの生徒や指導者、保護者らが集い、豪州にいる生徒ともオンラインでつないで英語主体のプレゼンテーションを行った。各チームは地球と異なる環境、人類が持つ技術、知見などを前提に太陽光だけに頼らないエネルギー確保、宇宙での健康維持、宇宙ゴミの解決手法などを示した。
「宇宙に興味があり参加した。語学学習としても有意義で、文化や考え方、教育のバックグラウンドが異なる海外の生徒とのディスカッションは魅力的」と、立命館の高校生は楽しそうに語った。「国内外の多くの生徒、専門家とも調査、研究、意見交換し、アイデアを共有できる学びのあるプロジェクト」と教員も評価する。同プロジェクトはドバイ万博に次いで2回目。
