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京都産業界
系統用蓄電池に照準
再生エネ普及にらむ
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GS・ユアサのPCS併設型蓄電池設備
AI(人工知能)活用やDX(デジタル変革)の拡大に伴うデータセンターの普及などで、電力需要が増加している。これに対応するため太陽光発電などの脱炭素電源も注目されており、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大が見込まれる。再生可能エネルギーの安定供給には、電力系統に直接接続して電力システム全体の需給変動に対応できる系統用蓄電池が有効。今後の成長が予想される。
GSユアサは、系統用蓄電池向けのリチウムイオン電池(LiB)の生産・販売が増加している。今後も国内の系統用や需要家用など、常に充放電する常用分野向けLiBの販売を拡大する。
さらに、こうした系統用や需要家向けでも利用できる自社製パワーコンディショナー(PCS)を併設した蓄電池設備の提案も進める。PCS併設型蓄電池設備はPCS盤と蓄電池盤のそれぞれで運搬・搬出でき、狭小地への設置も可能な点が強みだ。
一方、PCSや系統連系設備なども製造しており、顧客に合わせたシステムを提案する日新電機も、系統向け蓄電池システムが今後も増えると予想する。
西村陽社長は「実案件が動き出している。25年度も増えてきた」と手応えをつかむ。直近も系統用蓄電池システムを受注。
今後も系統用蓄電池システムを積極的に展開する考えだ。また、親会社の住友電気工業と蓄電池システムでのシナジー効果も模索していく。
「地球環境の殿堂」開催/環境問題、根幹は文化の違い
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「KYOTO地球環境の殿堂」国際会議・未来会議
「KYOTO地球環境の殿堂」国際会議・未来会議が9月下旬、京都国際会館(京都市左京区)で開かれた。環境保全に貢献した人の功績をたたえる同殿堂の創設15周年と京都議定書発効20周年を記念し、大阪関西万博フラッグシップアクションの位置づけ。
総合地球環境学研究所の山極寿一所長が基調講演したほか、高校生や大学生ら若者が人と地球のあるべき姿を提言した。
山極所長は「SDGs(持続可能な開発目標)は大変重要だが、文化が映し出されていない。地球環境の問題の根幹は人間の文化の問題。科学技術の問題だけではない」と話す。
自然環境と京都文化の関係についてフィールドワークを通じて探求した100人超の学生からは「環境変化で、環境と共に発展してきた日本の美しい文化も失われる」や、「生産性や効率が重要視され、自然と関わる機会が減りつつある。自然と共に生きる心、感じる力、想像する力を大切にしたい。豊かさとはなんでしょうか」といった発信がされた。
2025年は「京都議定書」発効から20年の節目。地球温暖化防止を目的に温室効果ガス排出削減目標を設定した史上初の国際的な取り決めは各国の思惑に振り回されつつ、16年発効の「パリ協定」に引き継がれている。今年は地球規模の課題対応に向けて世界の英知が集う万博も関西で開かれたが、夏場は記録的な猛暑や豪雨に振り回されていた。
京都信用金庫理事長 榊田 隆之 氏/京都ならではの支援
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京都信用金庫理事長 榊田 隆之 氏
—中小企業の海外進出などを支援する専門部署を新設しました。
「社内ベンチャー『京信World Link』を立ち上げた。人口減などで国内需要の右肩下がりが見込まれる中、東南アジアなどの海外成長市場に活路を見いだす中小企業の販路拡大、マーケティング、ブランディングなどを支援し、価値創造していく。すでに進出している先人とつないで知見や苦労を学んだり、産業支援機関などとも協力。世界においてブランド力がある京都の信用金庫だからこその支援を行う」
—インバウンド需要の急増で、オーバーツーリズムが深刻です。
「京都を訪れる観光客は今後も増え、3年後ぐらいには外国人観光客の割合が日本人観光客を上回る可能性もある。新興国からも増えており、それを意識した街づくりが必要。京都市内だけでは対応できないので市外でも観光の多様化、外国文化、宗教などを考慮したおもてなしが求められる。今は環境整備が追いついていない。歴史を守り、保存と開発を進める欧州の観光都市などが参考になる」
—中小企業や地域、住民の課題解決に特に力を入れています。
「課題解決型店舗では、窓口を正午に閉め、昼からは内勤と外勤がワンチームで中小企業の価値創造、地域の活性化、個人の資産運用、相続対策、土地活用といった窓口だけではしっかりと対応できていなかった分野で距離を縮め、お付き合いの質と量を高めている。ヒューマンな関係性をより重視し、商品やサービスの質を高め、スマホによるデジタルバンキングの利便性を強化し、生活スタイルにフィットする地域金融機関を極めていく」
