-
業種・地域から探す
続きの記事
京都産業界
インド進出本格化
幅広い分野で取り組み
-
インドは2025年大阪・関西万博で半導体国産化計画をPR
京都企業がインドに相次ぎ進出している。世界1位の14億人超の人口が支える内需の大きさと、設備投資の活発化が背景だ。同国のモディ政権は製造業振興戦略「メーク・イン・インディア」を掲げ、海外からの投資を積極的に呼び込んできた。京都企業も高い経済成長が期待できるインド事業を強化しようと、半導体や自動車、医薬品など幅広い分野で取り組みを活発化している。
盛況の内に幕を閉じた2025年大阪・関西万博。インドパビリオンでは半導体国産化計画をアピールする映像が繰り返し流れた。同国の半導体産業振興への本気度がうかがえる事例で、SCREENホールディングスの後藤正人社長も「まだまだこれからの地域だが、注力せざるを得ないマーケットだ」と認識する。
同社は国際団体のSEMIが24年9月に初めて同国で開いた「セミコン・インディア」への出展は見送ったが、2回目となる25年9月は出展。同国半導体市場の現状を探った。またTOWAとサムコは今年のセミコン・インディアに合わせ現地でセミナーを開き、半導体関連企業の技術者や経営者などに自社技術をPRした。
インドが産業発展を目指すのは半導体だけではない。自動車市場も拡大基調が続く。ニデックはラジャスタン州のニムラナ工場に100億円を投じて車載用モーターの生産棟を新設、27年6月までに稼働する予定だ。堀場製作所はマハーラーシュトラ州の研究開発拠点内に24年末、水素エンジン専用の試験施設「エイチツーアイス」を開設した。顧客接点の場として使う。インドで加速する水素燃焼の研究開発に分析技術で貢献する。
インドは医薬品の生産も盛んだ。三洋化成工業は医薬品用コーティング剤の拡販を狙う。同社の樋口章憲社長は「インドで生産された医薬品がさまざまな国へ輸出される」と同国での事業拡大の意義を説く。島津製作所は医薬品のほか、幅広い産業での利用を見込み、同国初の分析計測機器工場を27年春に稼働する。同社の山本靖則社長は「インドの産業発展に合わせ、事業を展開するための工場。大変期待している」と強調した。
-
オムロンが新設したオートメーション技術の共創拠点
インドはさまざまな分野で工場新設が相次ぐが、京都信用金庫の榊田隆之理事長は「現在は手作業が多い」と指摘する。そのため工場の自動化も有望市場だ。オムロンはこのほどカルナータカ州にオートメーション技術の共創拠点を新設した。同社の山西基裕執行役員常務は「インド製造業のグローバル競争力を高める」と意気込む。
京都中央信用金庫理事長 植村 幸弘 氏/多角的なソリューション提供
-
京都中央信用金庫理事長 植村 幸弘 氏
—京都経済の現況と今後の見通しは。
「インバウンド需要が急増し、宿泊業を中心に観光産業で業績改善が見られる。一方、原材料や人件費の高騰、人手不足、米国の関税措置などが幅広い業種に影響。中小企業の『価格転嫁力』の格差が顕在化し、コスト上昇分を取引価格に反映できる企業とできない企業の二極化が進む。販路開拓やマッチング、事業承継・M&A(合併・買収)など、経営課題解決への伴走支援をさらに強化する」
—地域金融機関として今後の重点施策は。
「金融の持つ融資機能に加えて本業支援に注力し、京都中央信金のグループ各社の専門性を連携させて取引先の課題解決に貢献する。例えば、設備投資を検討する企業には、伝統的な間接金融の枠組みに加え、資本効率や生産性向上に資する多角的なソリューションを提供する。取引先の事業内容や成長戦略を深く理解し、デッドファイナンスだけでなく、エクイティファイナンスなど、中長期的観点から最適提案を行い、信頼関係を基盤に取引深耕を図る」
—多様な施策で企業や地域を応援しています。
「企業は変化に対応し、新たな価値を生み続ける必要がある。こうした企業の成長を積極支援できる課題解決力と高い専門性を持つ人材を育て、タレントマネジメントで職員一人ひとりの能力を見える化し、成長分野に戦略的に配置して、ソリューション力を強化している。間接金融、スタートアップ投資、経営コンサルタント、企業のGX(グリーン・トランスフォーメーション)を後押しするサステナブルファイナンスを通じた地域社会活性化の取り組みも重要だ」
