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京都産業界
京都企業の分析トレンド
JASIS、最新技術を披露
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JASIS2025の島津製作所ブース
分析・計測機器は医療や半導体、食品、環境分野など幅広い分野の研究開発や品質保証に使用される重要な装置。日本分析機器工業会(JAIMA)と日本科学機器協会(JSIA)が9月に、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開いた分析機器と科学機器の展示会「JASIS2025」には、京都企業も多数出展して、最新技術を披露。多くの来場者が足を止めた。
島津製作所は会場で最大規模のブースを構えた。最新の分析機器・装置はもちろん、自動化や分析条件の自動提案などを展示し、ラボの属人化を解消して研究者がより高度な業務に取り組むという考え方の「AX(Analytical Transformation)」をアピールした。
研究者がより高度な作業に取り組むため、人手による煩雑な作業をロボットに置き換える分析の自動化コンセプトも展示。液体クロマトグラフ(LC)で分析する化合物の分析条件をAIが自動的に提案するサービスや、分析後の解析で、分析データと登録済み正解データを照らし合わせて、不純物混入などの異常を検出するソフトウエアなどをアピールした。
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JASIS2025の堀場製作所ブース
堀場製作所は、今回同社史上最大のブース規模で出展した。エネルギー・環境、先端材料・半導体、バイオ・ヘルスケアの三つの事業領域ごとにそれぞれ機器を展示し、ブースの目立つ位置では分析の自動化などをアピールした。
今後は分析機器・装置単体のみでの販売は厳しいとみており、同社製の分析機器とロボットを組み合わせた自動化機器も展示。また、分析を行うラボの運用や品質検査を効率化するためのデータマネジメントサービスも紹介するなど、顧客ニーズに対応する提案に力を入れる。
液体クロマトグラフィー用の充填剤や充填カラム、装置などを手がけるワイエムシィ(京都市下京区)は、バイオ医薬品などの精製プロセスで生産性の向上などにつながる「連続クロマトグラフィー」をアピールした。不純物を含む低純度のフラクション(分別物)を廃棄せずに精製することで高純度で高回収率などを実現できる。医薬品の開発需要は伸びており、課題解決に寄与するようなカラム充填剤も含めた製品の展示をした。
京都を中心に科学機器業界の発展や科学の振興に寄与するために結成した京都科学機器協会の会員11社も出展した。
京都の風情が感じられるようなブースで、大興製作所(京都市南区)は、分析機器などでの使用も想定する石英ガラスを使った独自製品を展示し、二九精密機械工業(同)は、分析装置で使用する高精度な流路などをアピールした。
第一工業製薬社長 山路 直貴 氏/低誘電樹脂好調で増産
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第一工業製薬社長 山路 直貴 氏
—事業環境は。
「AI(人工知能)の普及により、ハイエンドサーバー向け低誘電樹脂やリチウムイオン二次電池(LiB)の負極用水系複合接着剤(バインダー)が好調だ。低誘電樹脂は既存プラントの稼働率が100%を超え、休日返上で生産している。既存設備の改修による増産が2026年2月に始まることや、協力工場での生産で来年度中の需要はまかなえる。その先は新プラントが必要だが、鋼材や人件費の上昇で設備投資額が従来比1・5—2倍にかさんでおり、慎重に検討する」
—一方、汎用品は中国勢との競争が激化しています。
「中国勢が大量生産による安価製品で攻めてきている難燃剤や界面活性剤が厳しく、多少のコストダウンでは対応しきれない。値上げで利益が出る製品は薄利でも販売を続けるが、そうでなければ縮小・撤退し、付加価値品への置き換えを進めるしかない。薄利多売と付加価値品への移行という両軸で事業を展開していく」
—付加価値品の開発加速には、研究開発体制の強化が必要です。
「顧客に近い材料評価環境を整えようと、機器をそろえてきた。特に中型の電池を製造できる点が当社研究所の強みで、材料を電池に組み込んだ際のデータを顧客に示せる。4月には営業と研究を統合した事業本部制を導入した。顧客と研究人員との接触回数を上げ、顧客の課題解決を加速する。5年以上先に花開くテーマの研究開発は、同じく4月に新設した『京都中央研究所』が担う」
