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京都産業界
府・市、半導体産業振興で協力
産学集積強み生かす
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日本IBM京都リサーチパーク事業所が入居する、京都リサーチパーク1号館 -
10月に開催した「AI時代に向けたものづくり産業成長戦略サロン」
京都府と京都市が協力し、半導体産業の振興に向け動き出した。府・市は2025年度、府内半導体産業の実態調査や企業のビジネス機会拡大のため、それぞれ予算を計上。世界有数のデバイス、装置メーカーに加え、大学など研究機関も集積する京都のポテンシャルを生かし、地元経済の底上げにつなげられるかが注目される。
きっかけは「府市トップミーティング(旧府市懇談会)」だ。西脇隆俊知事と松井孝治市長は、24年7月の第2回ミーティングで半導体産業振興に向け協力することで合意。西脇知事は「半導体関連企業や大学での素材開発など、京都は半導体についてのベースがある」とポテンシャルを強調した。
府外企業からも京都を評価する声が聞かれる。日本IBMの高橋志津京都リサーチパーク事業所長は「非常に高い技術を持つメーカーが多数あり、優秀な大学や学生も多い」と話す。同事業所は7月に開設したばかりの研究開発拠点で、開設を契機に協業やオープンイノベーションを積極化しようとしている。
府・市は取り組みの具体化に向け、25年度予算に「京都次世代半導体産業推進事業費」を盛り込んだ。事業費はそれぞれ1500万円ずつ計上。取り組みは大きく三つで、展示会への出展支援と交流会の開催、関連産業の実態調査だ。
京都企業の展示会出展支援として、半導体の国際業界団体SEMIが9月に開いた「セミコン台湾」に京都パビリオンを設けた。販路開拓やビジネスマッチングの後押しが目的で、島津製作所など6社・団体が出展した。12月に東京で開かれるセミコンジャパンにも同様のパビリオンを設ける。
一方、交流会は「AI時代に向けたものづくり産業成長戦略サロン」と銘打ち、月1回開催する。環境の変化に経営を左右されやすい中小企業に対しては、AI(人工知能)など先端技術へのキャッチアップを促すのも重要だ。京都府の安達雅浩産業振興課長は「京都企業に時代の変化に対応し、活躍し続けてもらうとともに、少しでも半導体産業への参入ハードルを下げたい」と開催の狙いを話す。
直近の10月に開かれたサロンは光電融合がテーマで、講師にNTTから才田隆志NTTデバイスイノベーションセンタ長を招いた。来場者は自社技術が光電融合にどう生かせるかなどを才田氏に質問し、意見交換した。
さらに踏み込んだ活動も視野に入れている。まず府・市は半導体関連企業を調査し、実態を把握して25年度中に調査結果を取りまとめ、調査結果などをもとに来年度以降の取り組み内容を具体化する計画だ。
GSユアサ社長 阿部 貴志 氏/フレキシブルに対応
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GSユアサ社長 阿部 貴志 氏
—米国の関税政策の影響をどう捉えていますか。
「足元では米国による関税政策の影響で、各企業が生産拠点の見直しなどが求められているが、当社は現地生産・現地販売が中心のため、影響は今のところ限定的だと考えている」
—電動化の潮流変化が激しいです。
「バッテリー電気自動車(BEV)用リチウムイオン二次電池(LiB)の需要は長期的には確実に拡大していくと予想するが、現在は世界中でBEVの潮流が変化し、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の需要が高まっている。当社は内燃機関(ICE)車向けをはじめ、電動車にも搭載されている鉛蓄電池に加え、HEV用、PHEV用、BEV用、12ボルト補機用LiBをラインアップしている。不透明な環境下でも真価を発揮できる、『マルチバッテリーソリューション』を強みとして、電動化がどの方向に進んでも、顧客や市場の動きにフレキシブルに対応し、事業の安定性を確保する」
—再生可能エネルギーや電力の有効活用のための電力貯蔵システム(ESS)の需要が拡大しています。
「日本国内の再生可能エネルギーの導入拡大は重要な課題だ。自然エネルギーは天候に左右されるため不安定だが、解消するためのデバイスがESSで需要が拡大している。ESS用LiBについては多くの引き合いがあり、生産能力を増強して需要に対応していく」
