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京都産業界
未来を見据えた取り組み①
STSフォーラム開催/80超の国や地域、国際機関から1500人以上参加 未来へ向け意見交換
世界の科学者や政財界の要人が地球規模の課題について話し合う「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム」(STSフォーラム)が京都市内で5日から3日間にわたり開かれた。80を超える国や地域、国際機関から1500人以上が参加した。
急速に発展するAI(人工知能)が仕事や医療、研究に与える影響などについて、12の本会議と22の分科会を通じ意見交換した。
開会式には天皇、皇后両陛下が出席され、天皇陛下は「地球の未来や人類の持続的発展に向け、科学技術を最良の形で生かす方法を模索する努力が続くことを望みます」と述べられた。
「2030年以降の世界を見据えて—科学技術と人類の未来」をテーマにした議論も行われ、京都商工会議所の堀場厚会頭は「科学技術は常に文化と共に進化させる必要がある」と訴えた。
最終日にまとめた声明には「AIの恩恵を最大化しつつリスクを抑えるため、安全策を講じながらイノベーションを推進しなければならない」との文言が盛り込まれた。
次世代ロボエンジニア支援/小中学生に魅力発信
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ジュニアロボットチームの活動
国内では少子高齢化による労働力人口の不足で、ロボットやAI(人工知能)などの導入が進む。一方で、今後も発展するためには、高度なエンジニア人材が必要だ。
京都府精華町を中心に活動する、次世代ロボットエンジニア支援機構「スクランブル」は、小中学生からロボットに興味を持ってもらえるような取り組みを推進している。将来のエンジニア人材の輩出に貢献し、国内産業の競争力強化につなげることを目指す。
スクランブルは2020年5月に発足した。小学5年生から中学3年生を対象とした月2回のロボット部の活動のほか、部活動に参加する部員や大学生・社会人も参加できるロボット競技大会、高等学校向けのロボット教材の貸し出し・販売などを行っている。
設立当初は大学生などを対象にした即戦力人材の育成を中心にしていたが、川節拓実代表理事は「大学生からでは興味がある層が限定される。幼い時から興味を持ってもらいたい」として、22年に小中学生向けの地域ロボット部活動であるジュニアロボットチームを立ち上げた。京都をはじめ、大阪や東京など7都市に拠点を置き、ディスク(円盤)を投げるロボットを各地のチーム単位で作り上げている。
スクランブルの活動は、京都企業のほか、大阪や東京、神奈川、愛知などの約20社が支援している。
競技会や製造現場見学
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三菱ロジスネクストでの無人フォークリフト(AGF)の見学
支援企業の1社である三菱ロジスネクストは、スクランブルに所属する小中学生25人を本社(京都府長岡京市)へ8月に招待し、交流会を開催。未来のエンジニアが実際の製造現場に触れる機会を提供した。
参加した小中学生は工場や無人フォークリフト(AGF)の見学で盛り上がったほか、製作したディスクを投げるロボットを同社社員に紹介するなど現役エンジニアとの親睦を深めた。
スクランブルは、ロボット同士でディスクを当て合うロボット大会「CoRE(コア)」も23年から開始している。ジュニアロボットチームも参加できる初心者をターゲットとした2部リーグと、大学生や社会人など中上級者を対象にした1部リーグの構成だ。
大会では優勝チームを決めるだけではなく、ロボットエンジニアに必要なスキルを対象とした賞を設けて、表彰している。参加者は取りたい賞を狙ってロボットの仕様書などを提出し、決められた基準を満たすと賞がもらえる仕組みだ。終了後にはフィードバックもあり、「教育イベントとしてやっている」川節代表理事は意義を語る。
今後も「挑戦的共創人材を育てる」(川節代表理事)をテーマに、ロボットエンジニアを育てることで国内産業に貢献していく。
