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京都産業界
伝統と革新 世界の交差点へ
「世界に対して大きなアピールができた」、「数多くの京都の技術がさまざまなパビリオンで使われていた。いろんな技術の発信の場となり、今後のマッチングなども期待できる」、「多感な子供たちが異文化とふれあい、未来の技術を目にし、学校では学べない貴重な経験になったはず」、「ネット時代のリアルイベントに懐疑的だったが、人と人、国と国が深くつながることで盛り上がった。特に体験型が人気だったようで、リアルの重要性を実感した」、「ここからどれだけのモノが生まれ、社会に使われるところまで持っていけるかが試される」—。
京都の財界、企業からこういった声が多数聞かれた大阪・関西万博が13日、大盛況のうちに幕を閉じた。
一昨年、昨年まで「(会場が)夢洲と言われてもピンと来ない」、「大阪の万博でしょ」など、万博と距離を置いた京都人、企業、経済界も現地の盛り上がりと共に熱が入り、振り返ると会場で活躍する京都の人、京都の技、京都のモノが未来社会の実験場を彩った。公式キャラクターのミャクミャク関連グッズを製造する企業には今も受注がひっきりなしなど、余韻も続く。
一方、2025年の京都経済・京都企業の状況は、業績不振や問題を抱える事業者が昨年以上に目立つ。人手不足や原材料高、後継者難といった課題も重なって、同じ業種であっても好不調が入り交じり、すっきりとしない。円安と共に訪れたインバウンド需要に沸く観光関連やサービス業も例外ではなく、社会課題となったオーバーツーリズムや日本人の京都離れを解決する有効策をいまだ見いだせていない。
世界のどこを見渡しても、政治、経済、外交、市場、戦争のいずれもが不安定になってしまった変革の時代。過去の慣例や常識を覆すような出来事が後を絶たず、日本にも染みこんできている。ただ、1200年の歴史を紡ぐ中で時代と共に風を詠み、進取気鋭の精神で伝統と革新を体現してきた京都にとってはまさに飛躍の時。国際都市として多くの人が訪れ、多くのグローバル企業が存在感を示す京都は、世界が注目する文化や革新的技術が交差し、新たな価値を創造する「世界の交差点」としての役割が期待されている。
