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神奈川県特集
神奈川産業人クラブ 2026年新春特別講演会/挑戦続け未来創造
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「景気の良い一年となることを願ってやまない」とあいさつした中村会長
神奈川産業人クラブ(中村幹夫会長=大和ケミカル会長)は1月23日、横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ(横浜市西区)で新春特別講演会を開いた。神奈川県知事の黒岩祐治氏と、プロアイスホッケークラブ「横浜GRITS」を運営するGRITSスポーツイノベーターズ(同中区)代表取締役CEOの臼井亮人氏が登壇。臼井氏は「挑戦から生まれる共創-アスリートのデュアルキャリアを実現するGRITSモデル」をテーマに、スポーツ選手の競技活動と社会でのキャリア形成を両立する同クラブの取り組みを紹介した。
挑戦から生まれる共創 ~アスリートのデュアルキャリアを実現する横浜GRITSモデル~/GRITSスポーツイノベーターズ代表取締役CEO 臼井 亮人 氏
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GRITSスポーツイノベーターズ代表取締役CEO 臼井 亮人 氏 -
横浜GRITSの公式キャラクター「グルーガ」も登場
プロアイスホッケーチーム「横浜GRITS」は企業の皆さまに支えられて6年目を迎えました。私は北海道出身で、アイスホッケーというスポーツが子どもの頃から身近にありました。大学までアイスホッケーをやっていて、プロになりたいという時期もありましたが、プロになった先輩や後輩を見ていると、あまりいい人生を送っていないのではないかと感じました。大学を卒業して普通に働くことを選びました。
今から10年ぐらい前に、当時、お世話になっていたアイスホッケー関係者の方と食事をする機会があり、このままでは日本のアイスホッケー界はだめになってしまうという話になりました。プロのアイスホッケーチームをつくろう。アイスホッケーもプロでやりながら、仕事も正社員としてしっかり結果を出す「デュアルキャリア」というモデルでチームをつくろうと思いましたのが、創業のきっかけです。
チーム名の横浜GRITSのGRITSには「やり抜く」という意味があります。アイスホッケーのプロリーグ「アジアリーグアイスホッケー」に参入した2019年は、新型コロナウイルス禍の渦中にあり、とても試合や練習ができる状態ではありませんでした。プロスポーツチームの収益源は大きく4つあり、①スポンサー収入②チケットの売り上げ③スクールの授業料④グッズ販売で成り立っています。大きなウエートを占めるのがスポンサー収入で、コロナ禍の厳しいスタートでしたが、やり抜く力で何とか6年を迎えることができました。「コーセー新横浜スケートセンター」を拠点に、地域イベントや公式戦を通じて横浜を盛り上げていきたいと思います。
デュアルキャリアが横浜GRITSの大きな特徴です。普通、プロスポーツは競技に専念する形となりますが、横浜GRITSは副業しか認めていません。プロスポーツを目指す子どもたちに、競技と仕事の両立という新しい選択肢を示していきたいと思います。
アイスホッケーでは、選手が氷上を駆け抜けるスピードは時速40キロメートル。シュートは時速150キロメートルに達します。選手は約10キログラムの防具を身にまとい、激しいボディーチェックが繰り広げられます。頻繁な選手交代と6人のポジションが力を合わせて勝利を目指すのが、氷上の格闘技、アイスホッケーの魅力です。
私たちは基本的にずっと挑戦をし続けてきました。未完成な人材を〝扱える設計〟はあるか。失敗を〝学習〟に変えられているか。「未完成」を許容できない構造が、挑戦を阻んでいます。アスリートは、「挑戦の縮図」であります。常に未完成であって、失敗が可視化され、成果が常に公開されます。挑戦し続けるしかありません。アスリートは「特別な人」ではありません。あらゆる組織が直面する「挑戦」のプロセスそのものです。挑戦することで、変えられるのではないかと思っています。
私も別の会社を経営していますが、選手もスタッフも関係なく、全員でデュアルキャリアをやっています。基本的に通常の社員と同じ仕事量、同じ職責です。午前中の練習後、昼前に出社して夜もきちんと働きます。「特別扱い」をしません。
挑戦を「経営資源」に変えることがが重要になってきています。人口が減少する中、今いる人が非常に大事です。挑戦する環境をつくることや、企業や地域との共創が大切です。地域の皆さまに少しでも、還元できればと思います。
ここで、畑山隆貴選手の例を挙げます。ある中堅企業が期待したのは「労働力」ではなく、組織に〝揺らぎ〟を与える変化の媒介でした。指示待ち傾向であった若手の会議での発言が活性化しました。挑戦が減少し保守化してきましたが、若手が挑戦を口にするようになりました。育成に自信のなかった管理職が育成を言語化するようになりました。単なる報告会の会議が「失敗=学習」を共有する場になりました。ある中堅企業からは「人を育てるつもりで始めたが、一番育てられたのは会社の考え方だった」との声を頂いております。
完成した人間は誰もいません。未完成なものがやっていく中でサポートを頂く方が増えたりします。挑戦することはリスクではありません。未完成さを認知して許容する組織になれば、うまくいかないものもうまく回るのではないかと思っているところです。
ご静聴ありがとうございました。
当事者目線で県内企業を支援/神奈川県知事 黒岩 祐治 氏
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神奈川県知事 黒岩 祐治 氏
昨年の神奈川県にとって衝撃的だった出来事は、日産自動車が追浜工場の車両生産終了を発表したことでした。地域経済に大きな影響が出ると考え、昨年5月に報道があった直後、ただちに県庁に対策本部を設置するとともに、米国関税も含め影響を受ける中小企業を「オール神奈川」で支えていくため、国、関係市、県内商工団体、金融機関、支援機関等に声をかけ、対策協議会をつくりました。さらに7月には、雇用も含めた影響に対応するため、行政機関と日産自動車で構成する連携本部も設置し、第1回会合には日産自動車のエスピノーサCEOも参加されました。
対策協議会では、事業者への資金繰り支援など、まず既存の支援策を有効活用すべきだという意見が出ました。しかし、国や自治体、支援機関がそれぞれ提供している支援策はあるものの、事業者からは見えにくいという課題がありました。私は日ごろから常に「当事者目線」を重視しています。そこで、困っている「事業者の目線」に立ち、それぞれの悩みに対してどのような支援策があるかを分かりやすくまとめたリーフレットを作りました。これらの早め早めの対応が功を奏し、今のところ県内に大きな動揺は走っていないと感じています。
こうしたピンチをチャンスに変えていこうという状況の中、県は新たな産業を推進していきます。県では、2013年からさがみ縦貫道路沿線エリアを「さがみロボット産業特区」として、生活支援ロボットを中心に新産業を育成してきました。そして、次なる産業として、ロボットとも親和性がある宇宙関連産業の振興に取り組んでいきます。すでに県内にはいくつもの人工衛星の研究・開発・製造拠点が集積しています。また、宇宙関連産業はロケットや衛星などの「機器」だけにとどまりません。宇宙で暮らす時代が目の前に迫っているとの認識の下、幅広く宇宙産業をとらえようとしています。宇宙生活に必要な条件は持続可能ということです。そのための技術は、今の地上の課題解決にも役立ちます。県は、こうした「宇宙と地上のデュアルユース」の視点も持ちながら、本県を宇宙関連産業の拠点として、さらに充実させていきます。
自社紹介ピッチで4人がアピール
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ピッチイベントに登壇した(左から)二関エニマス専務、渡辺ニイガタ社長、伊東横国大産学連携コーディネーター、瀧ヶ﨑大田区主査
神奈川産業人クラブは新春特別講演会の中で、会員など4人による自社紹介のピッチイベントを開いた。会員同士の相互理解を目的とした同イベントは前年に続き2回目。登壇者はエニマス(東京都町田市)の二関智司専務、ニイガタ(横浜市鶴見区)の渡辺学社長(神奈川県中小企業家同友会代表理事)、横浜国立大学研究推進機構の伊東圭昌産学官連携コーディネーター・客員教授、東京都大田区産業経済部産業振興課の瀧ヶ﨑俊輔主査の4人。1人5分間の短いプレゼンテーションで各社・機関の取り組みを紹介した。
脱炭素化に資するハード・ソフトウエア、コンサルサービスを提供するエニマスの二関氏は「脱炭素化に向け、まずは電気使用状況の可視化が重要」と解説。研究開発支援を手がけるニイガタの渡辺氏は「最近は水素や脱炭素などエネルギー分野の支援を強化している」と紹介した。
また横浜国大の伊東氏は「産業界の人たちが困った時に相談する扉の一つとして大学を意識してほしい」とアピール。大田区の瀧ヶ﨑氏は、試作品開発などの企業間連携を効率化する仕組み「デジタル受発注プラットフォーム事業」を紹介し、「同プラットフォームには区外の企業も参画している。多様な企業の強みを連携することで、新しいモノづくりの価値を提供できる」と参加を呼びかけた。


