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神奈川県特集
企業の挑戦をサポート/神奈川の金融機関
サステナビリティ経営 後押し/横浜銀行
横浜銀行はグループの浜銀総合研究所(横浜市西区)と共同で、企業のサステナビリティ経営を支える「〈はまぎん〉マテリアリティ・サポートローン」の取り扱いの拡充に乗り出している。さらに2025年10月、中堅・中小企業の脱炭素経営を支援する「〈はまぎん〉サステナビリティ・リンク・ローン フレームワーク型」の取り扱いをスタート。顧客の課題解決や企業価値向上支援に拍車をかける。
課題解決・企業価値向上を支援
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横浜銀行は企業のサステナビリティ経営を支援していく -
企業がサステナビリティ(持続可能性)経営を進める上で、最初のハードルとなるのがマテリアリティ(重要課題)の特定。マテリアリティとは、経済や環境、社会に与える著しいインパクトを反映する項目やステークホルダーの評価や意思決定に対して実質的な影響を及ぼす項目。「〈はまぎん〉マテリアリティ・サポートローン」では、マテリアリティの特定やKPI(重要業績評価指標)の設定を、横浜銀行が浜銀総合研究所と共同でサポートする。
ボルトやコネクター、アイボルトなどのネジ製品を展開する河坂製作所(相模原市中央区)や、電子機器組み立てやプリント基板、ワイヤーハーネス製作などを手がける光洋電機(神奈川県秦野市)は、再生可能エネルギーの利活用や、従業員の健康・安全の確保、顧客満足度の向上、リスク管理体制の構築・強化などといった経営課題への取り組みを進める。同ローンの融資を受けた企業は、こうした取り組みを取引先、従業員などステークホルダーにアピールできる機会にもなる。
24年12月に同ローンの取り扱いを開始。25年度はすでに上期(25年4ー9月)に33件の融資を実行している。25年度は当初目標の倍となる60件を超える見通しだ。ソリューション営業部サステナビリティ推進室は、「マテリアリティーを特定して終わりではない。銀行グループとして伴走しながら支援しなければならない」と力を込める。
中堅・中小企業にもカーボンニュートラルへの対応が迫られている。横浜銀行は中堅・中小企業の脱炭素化を支援しようと、サステナブルファイナンスのラインアップ(商品群)を拡充し、新たなローン商品「〈はまぎん〉サステナビリティ・リンク・ローン フレームワーク型」を開発した。国際基準である「サステナビリティ・リンク・ローン原則」(SLL原則)に適合したローンフレームワークを作成し、「SLL原則」への適合性について、日本格付研究所(JCR)から第三者意見を取得した。
これまでの「サステナビリティ・リンク・ローン」では、顧客が個別に外部評価を取得する必要があったが、フレームワーク型ではその必要がなく、導入の手間やコストを軽減できる。また温室効果ガス(GHG)排出量の算定・報告や国際認証「SBT認定」の取得を行うことで、適用金利の引き下げを受けられるなど、中堅・中小企業の脱炭素経営への取り組みを一層後押しする効果もある。ソリューション営業部サステナビリティ推進室は「中堅・中小企業のサステナビリティの取り組みは、他社との差別化となり、企業価値の向上につながる。こうした取り組みを応援していきたい」と強調する。地域金融機関として、金融サービスを通じた地域社会の経営課題解決に向けた取り組みを加速している。
クラフトビール醸造事業参入を支援/日本政策金融公庫
栄屋製パン(神奈川県海老名市、梅田高嗣社長)は1923年創業の老舗企業。創業当初は和菓子をつくっていたが、現在は学校給食向けパンを製造するとともに、サンドイッチ用食パンの提供に力を入れる。2022年6月、食パンの耳を活用したクラフトビール(酒造法上は発泡酒)の醸造事業に参入。日本政策金融公庫(日本公庫)厚木支店の支援を受け、挑戦を続ける。
食パンの耳アップサイクル
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クラフトビール製造事業を製パン事業に次ぐ新しい収益の柱に育てていく -
パンの耳を原料としてアップサイクルしたクラフトビールが注目されている
「毎日、大量に出る食パンの耳を何とか活用できないか」ー。梅田社長はこう力を込める。食パンに占める耳の重量は全体の約4割に相当するという。1日当たり300キロから500キログラムにも達する。これまでも有効活用を模索してきたが、大半は家畜用飼料となっていた。梅田社長は「食パンをつくる中で、4割の重さのモノが市場評価を得ずに消えていく。じくじたる思いがあった」と振り返る。英国にパンを原料にしたトーストエールがあることをニュースで知ったのが、事業参入のきっかけ。「古代メソポタミア文明から麦を原料としたパンとビールは親和性が高いのではないか」と強調する。
19年から猛威を振るったコロナ禍は、栄屋製パンの経営に大打撃を与えた。小中学校の休校などが相次ぎ、20年4、5月の売上高は前年度同期比約90%減と、大幅に落ち込んだ。「明日の仕事もない。今日の仕事もない中で、ブレークスルーになる可能性がある限りチャレンジをしよう」と、クラフトビール事業への参入を決意した。
22年6月にブルワリーブランド「Better life with upcycle(ベター・ライフ・ウィズ・アップサイクル)」を立ち上げ、パンの耳を原料としてアップサイクルしたクラフトビールの醸造を開始した。ブランド名には「アップサイクルを通じて、よりよい生活を送ってほしい」という思いが込められている。
参入当初は、各地のブルワリーによるOEM(相手先ブランド生産)でスタートした。女性にも飲みやすいビールを追求するなど、マーケティングに注力し、商品開発を進めた。イベント参加や地元飲食店への提供などを通じて徐々に評価が得られたことなどから、自社醸造を決断。「事業再構築補助金」を活用して貸倉庫をブルワリーに改造。24年2月に自社醸造に乗り出した。
人口減少が進む中、梅田社長はクラフトビール製造事業を製パン事業に次ぐ、新しい収益の柱に育てる考え。「ベーカリーがつくる本物のアップサイクルビールを栄屋製パングループ全体の力にしていきたい」と目を輝かせる。100年続く老舗企業の未来への挑戦は始まったばかりだ。
【コメント】日本政策金融公庫厚木支店 中小企業事業統轄 藤田 光保 氏
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日本政策金融公庫厚木支店 中小企業事業統轄 藤田 光保 氏
食パンの耳を原料にクラフトビールを醸造する栄屋製パンの新規事業は、近年、社会的課題となっているフードロスを解決するサステナブルな事業。100年以上の歴史がある老舗企業の挑戦は、大変勇気ある取り組みだ。
日本公庫の使命は「政策金融の担い手として、安心と挑戦を支え、共に未来を創る。」。政策金融機関として、こうした新規事業に挑戦する企業を積極的に支援し、地域に貢献していきたい。


