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第55回機械工業デザイン賞 IDEA
日本力(にっぽんぶらんど)賞
【コニカミノルタ】超音波画像診断装置 SONIMAGE UX1/UX1 TRiFOR
患者のベッドサイドで検査・処置を行うポイント・オブ・ケア(POC)の需要が高まる中、コニカミノルタはPOCに特化した製品の開発・提供に取り組んできた。最上位クラスの本装置の開発にあたり、チーム医療、早期離床、タスクシフト・シェアなどの重要課題を抽出。さらに診断・治療のスピードアップ、簡便な操作性、医療従事者間コミュニケーションの円滑化、多様性への適合などをコンセプトに取り入れ、高画質で高機動性、使いやすさ、安全な穿刺(せんし)支援などを兼ね備えた超音波画像診断装置を開発した。
高周波広帯域プローブや画像エンジンなどにより、浅部から深部まで均一性に優れた高精密・高分解能な画像を提供できる。プローブは超広帯域でありながら高感度化した素子に加え、連続的に焦点が変化する独自の非球面レンズによりスライスビームの均一性を向上し、深部までビーム幅の均質化を実現した。また高調波制御技術も融合したことで、クリアに深部を描出し、深度に依存しない針描出の安定性を確保した。
画像エンジンは中央演算処理装置(CPU)性能を向上させ、アプリケーションや画質の基盤となる超音波プラットフォームを刷新した。モニターに高精細・広視野角パネルを採用し、患部の構造を把握しやすくした。AI(人工知能)技術と独自の画像解析技術により、神経に色付け・可視化する機能を実装。神経走行の状況も瞬時に認識できる。
標準バッテリーを内蔵するなど6時間稼働で診察を妨げないワークフローを実現。カートフロント部は半円柱状の一体パネルとして機構部を視野から隠すなど患者に配慮した。高精細なクラス最大級の18・5インチのモニターを採用。画像操作環境(GUI)の各要素や情報量を拡張し、ワークフローに沿うように再構築するなど操作性を高めた。コンソールは機械要素を排したタッチパッドへ変更し、保守性と操作性の向上を狙った。
最上位機種として、高ハンドリング性能による軽快さや高級感を意識したデザインとした。従来機がホワイト基調であるのと異なりモノトーンカラーを採用し、カート全体のカーブ状のフォームと調和させ、医療機器としての信頼感とエレガントさを演出。4脚カートはフットペダルを排して左右のキャスター間にスペースを取り、使用者の足位置に配慮した。モニター背面に設けたハンドルやプローブホルダー、ゲルホルダーなどにより、煩雑なプローブやケーブルの取り回しに対応した造形とした。
本装置は高画質技術を有しながら簡便な操作性を追求したシリーズの最上位機種であり、トレードオフの広帯域と高感度を、高周波広帯域プローブと画像エンジンの組み合わせで両立させた。
【牧野フライス製作所】立形マシニングセンタ V300
立型マシニングセンター(MC)の普及機、V33シリーズの技術を踏襲する本製品は、「いつでも、どこでも、だれでも」をコンセプトに設計された。環境や場所、オペレーターのスキルに左右されず、安定して高精度な加工が可能となる。さらに省エネルギー・省スペース化による環境負荷の低減も達成した。
高速高精度技術「スーパーGI.6制御」を搭載したことで、高精度または高速の加工モードを選択でき、加工モードに合わせて自動で加工プログラムを最適化し、品質の高い加工を実現できる。長時間の連続運転で発生する自己発熱に対し、すべての発熱源で冷却方法を見直した。例えば主軸では高速回転時の熱歪みを最小限に抑えるアンダーレース潤滑を採用した。発熱による影響を受けずに長時間加工で安定した精度を実現する。機械の設置面積は従来比24%削減とコンパクト化した。
設置環境の温度変化による機械の変形をセンシングし、変形を補正する機械安定化制御技術「eSTABILIZER」を採用した。さらにベッド・コラム構造体内部に専用液を充填して温度変化による変形を緩やかにするベッド・コラムスタビライザーを特別仕様とし、機械の姿勢変形防止を強化した。
操作が容易なスーパーGI.6制御や、長期使用で精度が低下した機械をワンタッチボタンで簡単に再調整できる「GIチューン」、コンパクトかつ作業性の良い工具マガジンなどを装備し、操作性や作業性を向上させた。またドアロック付き全閉式スプラッシュガードや工具マガジンカバーなどの採用で安全性を確保する。
加工室内の切りくず排出口を従来機より約2倍に拡大し、加工室内に洗浄クーラントを追加したことで、切りくずの堆積を防ぎ清掃頻度を低減できるようにした。温度変化に伴う機械の変形を補正するeSTABILIZERによって工場内の空調調整を抑制でき、環境負荷を低減できる。
造形はシンメトリックボックススタイルを採用した。左側に工具ボックス、右側に制御盤を配置する。新色のムーンホワイトカラーと作業ゾーンを示すミッドナイトブルーの明快なツートーンカラーで静的な安定感を醸し出している。機械前面のオペレータードアは大きな窓と長いエルゴノミックハンドルを備え、本体よりセットバックさせたことで作業エリアへの接近性を高めた。
本製品は全ての発熱源の冷却に取り組み、eSTABILIZERやベッド・コラムスタビライザーによる環境温度対策などを施し、長時間の安定した加工精度の向上に力を入れている。最新の送り軸機構やスーパーGI.6制御などにより、高精度な加工面品位を実現し、コンパクト性を兼ね備える。インターフェースは今後の新たな展開が期待される。
