-
業種・地域から探す
続きの記事
茨城県産業
将来の飛躍に向けて挑戦を続ける茨城県産業界。原材料やエネルギー価格の高騰を受けて景気の先行きには不透明感が漂うものの、中長期的の経営基盤強化を見据えた人材育成や、新規事業創出を目指す取り組みが官民で着実に進展している。今回の「茨城県産業特集」では、大井川和彦茨城県知事のメッセージのほか、県内の企業立地動向、県内の国立大学の動向や大手企業の地域貢献などを10ページにわたり紹介する。
大井川 和彦 茨城県知事 メッセージ/経済活性化へ戦略的に企業誘致
工業団地開発・補助制度を創設
-
茨城県知事 大井川 和彦 氏
急激な人口減少をはじめ、物価高騰、頻発化・激甚化する自然災害など、私たちを取り巻く社会情勢は急激に変化しており、乗り越えなければならない課題も山積しております。
こうした時代の荒波を乗り越えていくためには「生産性」が高く、豊かで経済力のある社会を構築することが不可欠であり、戦略的な企業誘致のほか、高い技術力を有する中小製造業の販路開拓やスタートアップの支援、外国人材の確保・育成など、本県経済の活性化につながる施策に先手先手で取り組んでおります。
まず、企業誘致については、知事就任当初から、急激な人口減少時代を見据え、将来にわたる持続的な発展につながるよう、特に力を入れて取り組み、本県の優れた立地環境である首都圏への近接性や充実した広域交通ネットワークなどをPRするとともに、工業団地の分譲価格の見直しや全国トップレベルの補助制度の創設、約20年ぶりとなる県施行の工業団地開発などにより、戦略的な企業誘致に果敢に取り組んでまいりました。
その結果、工場立地動向調査においては、知事就任以降の7年間の累計で、県外企業立地件数は257件、工場立地面積は860万平方メートルと、いずれも全国第1位となり、設備投資額は1兆円を超えるなど、大きな経済波及効果が生まれております。
こうした成果を背景に、2021年度の県民経済計算の推計結果では、本県の経済成長率が国を大幅に上回り、1人当たり県民所得は過去最高の全国第3位となるなど、本県経済は着実に成長を遂げております。
最近では、事業化からわずか2年4か月で完売した県施行の工業団地「圏央道インターパークつくばみらい」で、日清食品やダイキン工業などが立地を決定し、茨城中央工業団地(笠間地区)では、ソントン食品工業がジャム、クリーム製品等を製造する新工場の建設を決定したほか、ひたちなか地区では、積水化学工業等が「バイオものづくり」の研究開発拠点の立地を決定するなど、多くの企業に本県を選んでいただいております。
引き続き、魅力的な雇用の場の創出に向けて、半導体や次世代自動車関連産業などの成長産業をはじめ、利益率が高く、高付加価値な産業への戦略的な誘致活動を展開するとともに、県施行の工業団地「フロンティアパーク坂東」や「常陸那珂工業団地拡張地区」の整備にスピード感を持って取り組んでまいります。
中小製造業・新興企業の支援強化
-
県が出展を後押ししたタイの展示会(茨城県提供)
次に、中小製造業支援については、企業自らがビジネスチャンスをしっかりと捉え、新たなビジネス展開に向けて果敢に挑戦していくことが重要であるとの考えのもと、ものづくり企業とベンチャー企業などとの交流会を開催し、新製品開発や受注機会の確保につなげております。
また、今後成長が見込まれる宇宙ビジネスにおいては、本年10月に、県内ものづくり企業の専門的知識や独自技術により日本の宇宙産業のサプライチェーンに貢献する、宇宙機器に特化した共同受注ネットワークを発足したところであり、各企業の得意分野を活かしながら、受注拡大を促進しております。
さらに、いばらき中小企業グローバル推進機構とともに、海外への販路開拓を模索する企業への支援を強化しており、先月、ドイツとタイで開催された展示会では、初めての海外展開となる企業など21社の出展を支援し、欧州や東南アジアの企業との商談をサポートいたしました。参加企業からは「自社技術が世界に通用すると実感できた」などの声をいただいたところであり、今後、商談をフォローアップし、販路拡大につなげてまいります。
加えて、スタートアップ支援については、つくばや東海地域に集積する最先端の技術シーズを活かし、スタートアップが持続的に生まれ、早期に成長軌道に乗ることができるよう、成長段階に応じた切れ目のない支援を講じてまいりました。
その結果、県内スタートアップの資金調達額は、昨年度までの5年間で、2018年度までの5年間の3倍超となる約160億円まで拡大するとともに、10億円以上の大型の資金調達を実現したスタートアップが複数誕生するなど、着実に成果が表れております。
また、本県では、県経営者協会とともに、スタートアップの優れたサービスや製品の市場への普及拡大を目指す「茨城ベンチャーフレンドリー宣言」を行い、産業界へのマッチングや公共調達などを推進しております。公共調達については、スタートアップに特化した県独自の調達制度を創設し、聴覚障害者向け会議システムや高性能無線LANの導入、特殊塗装による県有施設の修繕を決定したところであり、今後も調達を拡大してまいります。
このほか、生産年齢人口が急激に減少する中、本県産業の競争力を支える担い手として、意欲と能力のある外国人材を積極的に受け入れていくことが不可欠です。
本県では、県内大学や経済団体と連携し、本年8月に「茨城県留学生就職促進コンソーシアム」を設立したところであり、今後、留学生向けのインターンシップや企業視察ツアーなどを実施し、本県にゆかりのある留学生の県内就職を後押ししてまいります。
-
訪印して現地と交流を深めた(茨城県提供)
また、世界最大の人口を有し、かつ若年層の失業率が高いインドに着目し、私自らインドを訪問して協力関係を築き、本年9月に現地大学内に日本語講座を開設いたしました。さらに、現地において介護や農業、製造業など幅広い業種における人材獲得のための新たな送出機関を開拓するとともに、来年2月には、県内企業が送出機関や現地大学などを視察するツアーを実施するなど、優秀な外国人材の確保・育成に全力で取り組んでまいります。
本県といたしましては、県内企業が更なる飛躍を遂げられるよう、皆さまの積極的な挑戦を全力で支援してまいります。