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地球環境特集
〔7面〕水素エネルギー&核融合エネルギー
地球温暖化対策の切り札とされる再生可能エネルギーに加えて、水素エネルギーの導入が増えている。化石燃料に代わり水素を利用する動きが、モビリティー分野や製造業などに広がっている。また政府も重要投資対象として開発を後押しする核融合エネルギーは、実用化に向けて大手商社の動きが活発化している。
水素/船 快適でCO2ゼロ
東京都は2026年冬、東京湾で水素燃料電池船の運航を始める。都は6月、広く親しまれるように愛称の募集を始めた。都民に水素の役割を知ってもらうのが狙いだ。
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東京都は26年冬、東京湾で岩谷産業の水素燃料電池船「まほろば」の運航を始める
就航する船は、岩谷産業が開発して25年開催の大阪・関西万博で運航した「まほろば」。万博終了後、都が岩谷産業から無償で提供を受けた。定員は150人。出力240キロワットの燃料電池と水素タンク、出力1000キロワットのリチウムイオン電池(LiB)を搭載している。燃料電池をメインに使って運航する。エンジン船と違って振動や騒音が少なく、快適な乗り心地だという。
水素燃料電池船は化石燃料を燃焼しないため、航行時の二酸化炭素(CO2)排出量がゼロだ。いま、製造業でも化石燃料に代わって水素を利用する動きが広がっている。
TOTOのグループ会社であるTOTOサニテクノ小倉工場(北九州市小倉北区)は1月、水素を使った衛生陶器の製造を始めた。水素と都市ガスを混ぜて燃やし、窯で衛生陶器を焼成する。利用する水素は再生可能エネルギー電力を使って水電解装置を稼働させて発生させた「グリーン水素」で、製造時にCO2を排出しない。
陶器をつくる窯業は高熱を必要とするため化石燃料の消費量が多い産業であり、脱炭素に向けて水素利用が欠かせない。小倉工場は水素混焼率約20%(体積比)でスタートし、水素比率を高めながら都市ガスの使用を減らしてCO2排出量を減らす。
デンソー福島(福島県田村市)も23年から工場内でグリーン水素を製造し、排出ガスを無害化するアフターバーナー炉で活用している。住友ゴム工業も白河工場(福島県白河市)でグリーン水素を製造し、ボイラの燃料として使用中だ。このボイラで発生させた蒸気はタイヤ製造の加硫(かりゅう)工程に投入している。
製造工程以外でも水素利用が始まっている。村田製作所は4月、空調用の温水をつくる燃料として水素を使う実証を始めた。研究開発拠点である野洲事業所(滋賀県野洲市)の屋上に太陽光パネルを設置し、水電解装置を導入。グリーン水素をつくり、ボイラの燃料として使って空調向けの温水を製造する。
発電でも活用開始
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6月に本格稼働したINPEXの「柏崎水素パーク」
発電でも水素の活用が始まった。INPEXは6月、新潟県柏崎市で「柏崎水素パーク」を本格稼働させた。新潟県長岡市で産出した天然ガスを原料に水素を製造する。その水素を発電に使い、地域エネルギー会社の柏崎あい・あーるエナジー(新潟県柏崎市)に販売する。水素製造時に発生するCO2は生産を終えたガス田の貯留層へ閉じ込め、大気中への放出を防ぐ。
政府も水素の利用を後押しする。経済産業省は脱炭素に欠かせない製品や材料を「GX製品・サービス」とし、積極的に調達する企業を募っている。電気自動車(EV)やグリーン鉄などとともに水素もGX製品・サービスに含まれる。政府は調達する企業への優遇策や最終商品への表示によってGX製品・サービスの需要を喚起する方針で、産業界が水素を使いやすい環境を整える。
核融合/大手商社、実用化への動き加速
次世代エネルギーとして期待される核融合発電の開発をめぐる大手商社の動きが活発だ。三井物産は核融合関連の連携を強化し、核融合発電の早期実用化に貢献したい考えだ。一方、住友商事はまず核融合に関わる技術がさまざまな社会課題の解決に貢献できるとみている。商社の強みであるネットワーク力などを新たなイノベーションを生み出す基盤とする。
地上に太陽をつくる—。そう形容されることもある核融合エネルギーは原子核同士の融合によってエネルギーを生み出し、発電する技術だ。燃料には海水に含まれる重水素などを使い、発電時にCO2を排出しない点などが特徴。多大なエネルギーを作り出し、安定供給や脱炭素の観点などから有望視される。
国際的に政府や民間企業による研究開発が活発化している。例えば、内閣府のフュージョンエネルギーワーキンググループは核融合エネルギーの市場規模が34年に約90兆円、40年には約120兆円に拡大すると予測している。政府は「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を踏まえ、世界に先駆けて30年代の発電実証を含め、早期実現と産業化を目指す。核融合発電は高市早苗政権が掲げる重点投資対象である「戦略17分野」の一つでもある。
関連技術、幅広く応用
ただ核融合関連の産業化に向けては複雑な技術の掛け合わせが必要になるなど、さまざまな連携が重要性を増している状況だ。三井物産は市場の形成段階から積極的に関与する姿勢を見せ、核融合関連スタートアップへの出資なども手がけてきた。
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三井物産が出資するCFSのオフィスに併設するマグネット工場
実際に京都フュージョニアリング(東京都大田区)や米コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)、MiRESSO(ミレッソ、青森県三沢市)に出資するなど、核融合発電に関わる官民での協業を進める。最短で核融合発電を実現するために重要な連携パートナーを見極めつつ、投資活動も行っている。
発電実現まで長期戦略想定
一方、住友商事は実ビジネスの構築を見据えた事業開発を主体に取り組む。核融合発電の実現には長い時間を要するとみており、過程で生まれる技術やサプライチェーン(供給網)を含め、核融合関連産業全体をどのように立ち上げ、貢献していくかを重視する戦略だ。
技術の成熟度や事業性を見極めながら、柔軟に検討していく。発電にとどまらず、幅広い産業と接点を持ち得る技術と捉え、住友商事グループがこれまで関わってきた多様な事業領域と親和性を持つ可能性を想定する。
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住友商事が出資するシャイン・テクノロジーズの医療用アイソトープの原料製造施設
住友商事は26年3月、核融合の派生技術を活用した医療用アイソトープなどを開発する米シャイン・テクノロジーズへの出資を公表した。22年に出資した米TAEテクノロジーズや、23年に協業を決めた英トカマク・エナジーとの取り組みにも期待を示す。
