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2025“超”モノづくり部品大賞
環境・資源・エネルギー関連部品賞/健康福祉・バイオ・医療機器部品賞/生活・社会課題ソリューション関連部品賞
【環境・資源・エネルギー関連部品賞】 CKD/パルスブローバルブ BNPシリーズ
CKDのパルスブローバルブ「BNPシリーズ」は、生産現場などで圧縮空気の大半を消費するブロー作業において、放出するエアを任意の間隔で間欠させることにより、圧縮空気の消費量を削減できる。内部に特殊構造を採用することで電気レスでパルスエアを発生させ、ブローの威力を損なうことなく圧縮空気の消費量を最大75%削減可能。
BNPシリーズを導入、または既存のブロー設備に置き換えるだけで年間の二酸化炭素(CO2)排出量を、1台当たり約1・31トン—CO2削減でき、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に貢献する。使用圧力は0・25メガ—0・7メガパスカル(メガは100万)。作業者が自由に操作できるガンタイプと、配管にインライン化できるユニットタイプの2タイプを用意し、ニーズに応じた製品を提供する。
【環境・資源・エネルギー関連部品賞】 寿原テクノス/ハイブリッドチルベント
チルベントはアルミニウムダイカスト鋳造時に金型の先端に装着し、ガス抜き部品として使用される冷やし金。ガスを出す隙間を広く取るとガス抜き効果は高まる半面、溶けたアルミが固まる前に噴き出す不具合「フラッシュ」が起きるリスクもある。通常、その解決策としてベリリウム銅製チルベントが使用されるが、ベリリウム銅は高価な上、銅材に比べ耐久性が劣る課題があった。
寿原テクノスが開発した「ハイブリッドチルベント」はベリリウム銅製チルベントのガス抜き性能と、銅材製チルベントの耐久性を併せ持つ。従来のチルベントと同等の大きさのまま高いガス抜き効果を発揮し、ダイカストの鋳巣低減に寄与する。同社製の金型だけでなく他社製の金型にも組み込んで使えるよう、ハイブリッドチルベント単体の販売も行っている。
【環境・資源・エネルギー関連部品賞】 SMC/半導体業界向け・フロンレス(CO2)チラー HRZCシリーズ
HRZCシリーズはフロンを使用せず、自然冷媒である二酸化炭素(CO2)を用いた機種となる。CO2は毒性がなく不燃性で空輸も可能なため、より安全かつ環境に優しい冷媒として注目されている。
同シリーズは、2024年9月に冷却能力10キロワット(20度C時)仕様を発売。その後2キロワット、4キロワット、8キロワットのモデルも追加した。全てのモデルで、フッ素化液やエチレングリコール液、清水といった各種循環液に対応する。多様な用途に応じた柔軟な対応が可能。
半導体チラーにおいてはフロン冷媒規制が課題となる。従来の冷却システムではフロン冷媒が多く使用され環境への影響や持続可能性が懸念されている。地球温暖化係数(GWP)の低い環境負荷の少ない冷媒への切り替えが進められる中、そうした市場の要求に応える。
【環境・資源・エネルギー関連部品賞】 キッツ/液化水素用大口径ボールバルブ
キッツの「液化水素用大口径ボールバルブ」は、液化水素の大量輸送・貯蔵に不可欠な遮断弁。液化水素輸送船の貯蔵タンクや受入設備の大型化に対応し、—253度Cの極低温環境下における液化水素封止技術を大口径バルブで確立した。
液化水素を封止するボールシート構造は特許を取得。ボディーシール構造は液化水素流入を抑制し、大口径バルブの各種部品における熱収縮と低温歪みを考慮した設計とした。外部入熱による内部流体の気化とバルブ外表面での液体酸素生成を防ぐため、真空断熱構造ジャケットを装備。ボンネット部は長尺で、低温時の弁棒シール性能と各種操作機の凍結を防止する。パイプラインへの配管状態でもメンテナンス性を確保し、高信頼・高寿命を実現する。水素荷役基地の大型化に寄与し、安全で低コストな水素供給の実現に貢献する。
【健康福祉・バイオ・医療機器部品賞】 エコサイクル/高速バイオレメディエーション用EDC-Superおよび添加剤
エコサイクルの「高速バイオレメディエーション用EDC-Superおよび添加剤」は、土壌・地下水汚染を、より早くより確実に低コストで浄化する。国内最大級100億円規模のVOC(揮発性有機化合物)汚染対策現場や操業中の大手メーカー工場などで採用された。
バイオレメディエーションは土着微生物の分解を促進し浄化する技術。同社は従来数年かかっていた工期を半年から1年程度に短縮する技術を有していたが、土壌汚染対策法の基準値の厳格化に対応し、バイオ浄化剤「EDC-Super」と現場条件に最適化する添加剤シリーズを開発。掘削除去に比べてコストは3分の1から2分の1に。浄化期間も同社の従来技術の30—50%に短縮する。汚染土の原位置浄化で累計400件以上の実績を重ね、不動産の再開発促進に貢献している。
【生活・社会課題ソリューション関連部品賞】 奥村組・シズメテック/VOD(性能可変オイルダンパー)
奥村組とシズメテックが開発した「VOD(性能可変オイルダンパー)」は、免震建物が長周期地震動の影響を受けた際、免震層に生じる過大な水平変位を抑え、建物が擁壁に衝突することを防止できる。建設業界で長周期地震動への対策が要求される中、狭小敷地の建物向けなどへ提案を強化している。
オイルダンパーに、免震層の変位で作動する小型シリンダーを取り付けた機構。変位の増加に比例して、地震のエネルギーを吸収する減衰力が増加する。地震が続いている間は増加した減衰力を維持。地震がおさまった後に減衰力が自動で元に戻るため、連続して発生する地震でもそのまま性能を発揮できる。
従来、擁壁への衝突を防ぐためにはダンパー増設という方法もとられてきたが、その場合、建物の揺れが大きくなる。VODはその課題を解決できる。
【生活・社会課題ソリューション関連部品賞】 冨士ダイス/電気化学反応用 高性能電極「PME」
冨士ダイスの電気化学反応用高性能電極「PME」は、超高圧合成法を用いて大学と共同で開発した貴金属を使用しない四重ペロブスカイト型酸素発生触媒を、超硬合金で用いられる粉末冶金技術を応用し、ニッケル粉末と混ぜ合わせて押し固めることで実現。
触媒が高性能であることに加え、非常に細かいニッケル粉末を用いることで高い比表面積を実現し、電極性能を向上させることができた。加えて、従来課題となっていた使用時の触媒の剥離も解決でき、部品の寿命も大きく向上させることができた。
PMEを装置に組み込むことで、従来の電極と比べて電力を約1―2割削減できる可能性がある。酸素発生が関わるさまざまな分野で消費エネルギーの削減や装置の小型化が可能となり、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に大きく貢献すると期待される。
【生活・社会課題ソリューション関連部品賞】 ENEOS/サーバー冷却用液浸冷却液「ENEOS IXシリーズ」
データセンター(DC)の飛躍的な性能向上でサーバーの冷却に空冷が追いつかず、冷却液に浸漬して冷却効率を高めようというシステムが普及し始めている。
ENEOSのサーバー冷却用液浸冷却液「IXシリーズ」は同社独自の添加剤処方技術により、長寿命化を実現する高い酸化安定性と電気絶縁性を両立。高効率で安定した冷却システムを提供する。
シリーズとして3タイプを用意。引火点250度C以上で消防法上、非危険物に分類され、取り扱いの制約を緩められる「タイプJ」。DC向けハードウエア業界が推進するOCP規格に定められた、自然発火点300度C超を満たす低粘度が特徴の「タイプH」。そして植物由来原料100%で、原料調達から製品出荷までの二酸化炭素排出量を大幅に削減する「タイプB」と、幅広い品ぞろえでDC事業者の需要に応じる。
