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2025“超”モノづくり部品大賞
機械・ロボット部品賞
【機械・ロボット部品賞】 NTN/特殊熱処理技術「HA—C」を適用した長寿命軸受
NTNの特殊熱処理技術「HA—C(ハック)」を適用した「HA—C軸受」は、従来品と同等の寿命を確保しながら、軸受の外径を約15%、幅寸法を約30%それぞれ小型化し、質量は約55%軽量化した。「HA—C」は材料に硬く微細な析出物を多数分散させる手法などによって、高い表面硬さを与え、高負荷容量化を可能にしたNTNの独自技術だ。
自動車業界では電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)の航続距離の延長が課題で、電費や燃費を向上させるために車載装置の小型・軽量化が求められる。HA—C軸受は、長寿命化に加えて耐異物性や耐摩耗性も高水準で実現し、軸受を小型化しても過酷な使用条件下で要求性能を満たすことができる。電動駆動装置「eアクスル」やトランスミッションなどに使用される軸受の小型・軽量化ニーズに応える。
【機械・ロボット部品賞】 ソディック/通電コマ自動送り機能「ACPS」(Automatic Conductive Piece Shifter)
ワイヤ放電加工機で電源からワイヤ電極線に電力を供給する接触子「通電コマ」を格納式のピンユニットで自動で送る機能。通電コマは通電部が約50時間の放電加工で消耗するため、従来はオペレーターが手作業で電極線との接触位置をずらしていた。人が介在することなく長時間の連続稼働を実現し、大型化する加工対象物(ワーク)の安定した高精度な加工に貢献する。
通電コマは数値制御(NC)による軸動作でピンを動かして押し当てながら自動で送る。送り間隔を手動の場合の1ミリメートルから0・5ミリメートルに微細化し、通電コマの使用効率を約2倍に向上した。
独自のNCによる高精度な軸移動で通電コマの位置を更新。寿命の限界まで通電コマを使用することなどにより、歩留まりの最大化やメンテナンス作業の効率化、機械稼働率の向上につなげる。
【機械・ロボット部品賞】 フジキン/高スループット型プロセスガス供給バルブ
フジキンは、半導体製造装置向けにプロセスガスを高速充填できるバルブを開発した。新機構によりバルブの設置面積を変えずに流路を広げ、ガス流量の大きさを示すCv値を自社従来品比2倍に高めた。原子層単位で高精度に膜厚を制御するALD装置などの成膜プロセスで、製造装置内のチャンバーでプロセスガスを供給・排出(パージ)する時間を大幅に短縮し、生産性を高める。
ユニットごとの細かい流量の差(機差)をなくして成膜プロセスによる膜厚を均一にするために、バルブ上部からねじで流量を細かく調整できる機構も採用した。
新機構により、バルブ本体を配管から外さずに部品だけ取り替えてメンテナンスできるようになり、部品コストを低減でき、メンテナンスのために生産ラインを止める時間も大幅に短縮できる。
【機械・ロボット部品賞】 プロテリアル/加工速度と面精度を高めた放電加工用電極線「HBZ—B40」
放電加工用電極線「HBZ—B40」は、亜鉛の割合を従来品の40%から43%へと増やし、放電効率や放電性能を向上させた。さらに線径を一般品に比べ0・15ミリメートル太い0・4ミリメートルとしたことで、約2倍の破断荷重を実現した。黄銅成分の高亜鉛化と太径の組み合わせにより、大電流の放電でも断線なく加工できるため加工時間の短縮に寄与するほか、放電性が高いため面精度を向上できる。
電気自動車(EV)部品の一体成形向け大型金型をはじめ、航空機や発電用タービン部品の加工では、生産性向上に向けて被削材の大型化や厚板化が進んでいる。このため放電加工速度と面精度の向上を両立させる技術ニーズが高まっている。
HBZ—B40は同径の従来材に比べ、加工速度の10%増と加工面の表面粗さの約7%低減を実現。モノづくりの高度化に貢献する。
【機械・ロボット部品賞】 安川電機/マシンコントローラ MPX1000シリーズ「MPX1310」
生産現場の自動化が進み、複数の装置で構成する機能を一つに統合する多機能化が一般的になっている。一方でこの取り組みが、装置の動作精度やタクトタイムの低下を引き起こしている。
複雑な動きを1台で高速・高精度に制御する安川電機のマシンコントローラー「MPX1310」は、マルチコアプロセッサーの利用で複数のスキャン処理を並列実行可能にした。特定機能のみスキャン周期を短く設定することで、多軸・多機能化した装置の最適制御が行える。従来は複数必要だったコントローラーを1台で構築できるため、投資コスト削減にもつながる。処理性能は同社従来品比約8倍高速化した。
また通信機能の強化も図った。システムの高速・高機能化を実現する制御用ネットワーク「メカトロリンク」は、最大128局接続できる。
【機械・ロボット部品賞】 タンガロイ/「TungShortCut」 高い生産性を実現する自動盤用突切り工具
タンガロイの自動盤用突切り工具「TungShortCut」は、加工能率の向上や段取り作業の時間短縮を実現する。溝幅が狭いインサート(工具刃先)と操作性の高いヘッド交換式機構を組み合わせたのが特徴だ。
0・8ミリメートル幅のインサートは有効切れ刃長を短縮し切削抵抗を約60%低減し、小型化でヘッドの肉厚を確保して加工時のたわみを約3分の1にする高剛性を実現した。ヘッド交換式機構によりホルダーを外さずにインサートを交換でき、段取り時間を大幅に短縮する。
自動盤は長尺の小径棒材を連続加工し、精密部品などの量産に適している。従来、切削条件の各数値を高くするとびびりや切りくずの擦過が生じやすく、段取り作業にも時間を要していたが、これらの課題を解決する。
さらに待機電力と環境負荷の低減にも寄与する。
【機械・ロボット部品賞】 オリエンタルモーター/ロボットコントローラユニット MRCU
小型・軽量のロボットコントローラーユニット「MRCU」は産業用ロボットOVRシリーズと顧客が内製した最大8軸のロボット制御を簡単に実現することができる。
プログラミングソフト「MRC Studio」で設定した動作プログラムをパソコンだけで簡単にティーチングし、動作確認できる。プログラマブルコントローラー(PLC)を使ったシーケンス制御の経験がなくても容易にロボットシステムを構成可能。69種類におよぶロボットタイプを制御できる。垂直多関節や水平多関節、直交ロボット、パラレルリンクロボットなどの代表的な産業用ロボットの構造に全て対応する。
またロボットタイプだけでなくアーム長などの機構諸元情報も細かく設定できる。
自由度の高いロボット設計をサポートするなどカスタマイズ性が高い。
【機械・ロボット部品賞】 三菱マテリアル/ステンレス鋼旋削加工用インサート材種 MC/MP71シリーズ
三菱マテリアルのステンレス鋼旋削加工用インサート(工具刃先)材種「MC/MP71シリーズ」は、半導体製造装置の部品などの多様な加工に対応し、高能率で安定した加工を実現する。
基材である超硬合金に高い耐摩耗性を持つセラミックスをコーティングしている。従来は超硬合金の高温強度を高めるのに高価なレアメタルを添加する手法が検討されてきたが、その使用量を増やすことなく新規の合金組織を開発。耐塑性変形性を高め、従来比1・5倍以上の工具寿命を可能とした。
特に超硬合金の変形機構の本質を追究することで最適な組織を導き出し、高性能とコスト抑制を両立した。長寿命化で工具の交換頻度を減らすことに加え、高能率加工で加工時間を短縮し、消費電力や切削油などを含む総合的なコスト低減に貢献している。
