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2025“超”モノづくり部品大賞
日本力(にっぽんぶらんど)賞
【日本力(にっぽんぶらんど)賞】 スギノマシン/ロボットマシニングユニット「SELFEEDER DUO Robot Edition」
「SELFEEDER DUO Robot Edition」は、産業用ロボットの先端に取り付けることで同ロボットを汎用性の高い切削加工機に変えるエンドエフェクター。サーボモーターを主軸と送り軸のそれぞれに搭載し、送り機構にリニアガイドとボールねじを採用。加えて横引き動作を行う高剛性スライドユニットを搭載した。これらが切削加工に必要な動作を行い、同ロボットは位置決めのみを行う。これにより同ロボットの軌跡精度や剛性の不足が加工に及ぼす影響を最小限にし、従来のロボットによる切削加工では困難だった高精度加工が可能となった。
このほか、送り軸にかかる負荷から材質の違いなどを検知し、最適な加工条件に切り替える送り軸負荷検知制御システムを搭載。細かい加工ストロークの設定が不要となり、ロボットによる切削加工がより簡単かつ効率的に行えるようになった。また、自動工具交換装置も搭載。1台でさまざまな加工に対応できる。
〔喜びの声〕 スギノマシン 社長 杉野 岳 氏/世の難局への解
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スギノマシン 社長 杉野 岳 氏
当社は創業以来、技術で世の中に貢献することを使命と考え、89年間、BツーBの機械メーカーとして事業を行ってまいりました。
現在の日本の製造業にとって人口減は最大の問題です。それに起因する技能伝承や自動化への対応が喫緊の課題となっています。しかしながら、こうした厳しい環境下であっても高い品質と生産性の両立を求められます。また、次々と生み出される新たな形状や素材の加工にも対応しなければなりません。
当社は「SELFEEDER DUO Robot Edition」がこの難局に対する一つの解になると考えています。今回の受賞で同製品が広く認知され、さらなる世の中への貢献につながることを期待します。
【日本力(にっぽんぶらんど)賞】 DMG森精機/Process Force Monitor
切削工具が受ける外力(切削力)により生じるわずかな歪を歪みセンサーで計測するシステム。同センサーを工作機械の主軸フランジ部に搭載することで、高い機械剛性や加工精度、耐久性を維持しつつ、加工中に発生する切削力のリアルタイムで高精度な計測を可能にした。
計測した切削力は突発的な工具の破損やびびり振動といった加工中の異常検知に活用でき、主軸の保護や加工不良の削減などにつなげられる。また切削力に基づき送り速度を制御して切削力を平準化することで、加工時間の短縮や生産性の向上、消費エネルギーの削減なども実現できる。
切削力の履歴から工具の摩耗や寿命を予測する技術を開発し、工具交換時期の最適化による工具廃棄量の削減などにもつなげる。
また、歪みセンサーを主軸フランジ部に取り付け可能としたことで、主軸を分解することなくフランジカバーを外すだけで同センサーを交換できるため、メンテナンス性にも優れる。
〔喜びの声〕 DMG森精機 執行役員 入野 成弘 氏/工作機械内蔵を実現
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DMG森精機 執行役員 入野 成弘 氏
このたび、「日本力(にっぽんぶらんど)賞」という栄えある賞を賜り、誠に光栄に存じます。
工作機械は、工具を使って素材を製品の形に加工する産業の根幹を支える機械です。その過程で工具と素材に作用する切削力は、極めて重要な特性となります。今回の切削力計測システムは、工作機械内蔵型とすることで、いかなる工具やワーククランプにも対応し、かつ生産現場で切削力をリアルタイム計測できる仕組みを実現しました。
この技術から生まれる機能の価値は非常に高く、今回の受賞につながったものと考えております。今後もさらなる革新的な製品を次々と生み出してまいります。本技術の展開とともにご期待賜りますようお願い申し上げます。
【日本力(にっぽんぶらんど)賞】 豊田合成/廃車由来の再生プラスチックを使用したグラブボックス
廃車由来の再生プラスチックを使用したグラブボックスを開発した。欧州では使用済み自動車(ELV)規則案として新車への再生プラスチック使用が義務化される見込み。自動車部品のなかでも耐衝撃性が求められるグラブボックスで再生プラ50%配合という高い目標を実現した。
独自の配合設計技術などにより新材同等の物性まで回復させ、低揮発性有機化合物(VOC)や高剛性、耐衝撃性といった不可欠な性能を確保した。また新材と同じ加工特性を有するため既存の金型をそのまま使用できるなど、生産面でのコストや負担も抑えられる。
廃車由来プラスチックの市場形成にも貢献する。全国の解体業者から廃車由来プラスチックの回収に取り組む事業者との協業により、品質のよいリサイクル原料の安定調達を可能にした。
すでにトヨタ自動車の中型セダン「カムリ」向けに量産しており、今後も他部品や他車種への展開が期待される。
〔喜びの声〕 豊田合成 執行役員 IE事業本部 副本部長 日向 博実 氏/再生プラの価値認知
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豊田合成 執行役員 IE事業本部 副本部長 日向 博実 氏
当社は社会への価値提供として「新たなモビリティの安全性や快適性への貢献」と「脱炭素社会への貢献」をキーワードに全社で取り組んでおります。脱炭素化への第一歩として重要な技術開発のテーマである同製品に対し、高い評価をいただき感謝申し上げます。
仕入れ先様との協業による品質の良いリサイクル原料の確保と、当社独自の材料改質技術や製品展開力によって商品化が叶(かな)いました。必ず世に送り出すというエンジニアの強いこだわりと、課題に対する粘り強い努力の成果だと感じております。
これを機に、廃車由来の再生プラスチックの価値を解体業に携わる全国の企業にも認知いただき、市場の形成・構築を進め、脱炭素社会の実現に大きく貢献してまいります。
【日本力(にっぽんぶらんど)賞】 日本精工/食用油劣化抑制フィルター
食用油劣化抑制フィルターは揚げ物調理などに使われる食用油の寿命を延長する。祖業で培った潤滑剤の劣化抑制技術を応用して開発した。油の劣化を抑制する添加剤をフィルター内に付着させた仕様で、揚げかすなどを除去するとと同時に、食用油の劣化を抑制する。
寿命延長によって食用油の購入量やコストの削減につながる。また使用済み食用油廃棄量の削減を通じた環境貢献に加え、油劣化を抑制する添加剤をフィルター内に付着させたことで濾過作業負担も軽減する。
添加剤には食品添加物を使用する。またフィルターは、厚生労働省が定める食品・添加物等の規格基準である材質・溶出試験を参考とした自主基準をクリアしているため食品安全面において安心して使える。今後、濾過機を持たないコンビニエンスストアやスーパーマーケット、弁当・総菜店を含めた小売業などの顧客への導入検討などビジネスの拡大を目指している。
〔喜びの声〕 日本精工 執行役専務 技術開発本部長 近江 勇人 氏/祖業の技術応用
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日本精工 執行役専務 技術開発本部長 近江 勇人 氏
「食用油劣化抑制フィルター」は、2026年の目指す姿である“NSKビジョン2026”で掲げた「あたらしい動きをつくる。」という方針のもとで発案し、具現化したものです。本商品には、当社祖業であるベアリング事業で培った潤滑剤の劣化抑制技術を応用しています。本商品の使用によって食用油の酸化・劣化を抑制することが可能となり、調理した食品のおいしさの持続につなげることができます。さらには食品加工メーカー・飲食店などにおける油の消費量、廃棄量の削減や食品ロスの削減などさまざまなエコにも寄与できると考えます。これからも、社会のニーズをいち早く発掘し、世の中の期待を超える新商品を提供してまいります。
