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第54回機械工業デザイン賞 IDEA
日本力(にっぽんぶらんど)賞
【コニカミノルタ】高速デジタルラベル印刷機 AccurioLabel 400
製品は操作の自動化、省人化、スキルレス化を進め、版を必要としない高品質、高速・高生産性にかなうデジタルラベル印刷機として開発された。独自の白トナーによる白色印刷機能や色彩補正自動化機能を搭載し、ラベル印刷業界のデジタル変革(DX)促進のサポートを目指す。
この製品は自動品質最適化ユニット「インテリジェントクオリティオプティマイザーIQ-520」を活用することで、連続印刷中に僅かな色変化や版ずれを計測してリアルタイムで印刷エンジンにフィードバックし、常に安定した印刷品質を保つ。また、従来、色合わせ時に手動で行っていたキャリブレーション(色のずれ補正)、濃度調整、プロファイル作成を自動化し、高品質な印刷物作成の作業量を大幅に削減、省人化、スキルレス化に対応する。
用紙の巻き径の増加、トナー補給機構への大容量ホッパー搭載や、用紙の満タン検知の制御変更などにより、連続印刷の長さは従来の3倍となる3000メートルに拡張した。リアルタイムエンジンでロングラン印刷を支え、高生産性を実現すると同時に紙交換時間とロスを削減。
白色トナーを新たに搭載、加えて追い刷りセンサーキットなどで多様なプリントジョブに対応する。
解像度3600dpi(1インチ当たりのドット数)×2400dpiでオフセットライクな高い印刷品質を再現するとともに、印刷速度毎分39・9メートルで従来の1・7倍の最速印刷能力を誇る。
自動品質最適化ユニット「インテリジェントクオリティオプティマイザーIQ-520」による自動化でスキルレスな操作性に対応する。高速演算処理で高い生産性を実現し、さらに本体上部タッチパネルから、ジョブ管理や印刷設定が可能で作業効率を一段と高めている。
ロール機独自のカラーチャートの切り取り、測定値の入力、ロールのつなぎ直しなど一連の作業をなくして、大幅な準備時間の短縮を実現する。
手を伸ばしやすい高さと上下方向からのアクセスを可能とし、トナー交換時の開閉操作を向上。保守性に関しては、パネルでの操作ナビにより、トラブルシューティングが誰でも簡単に実施可能で、機器停止のダウンタイムを縮小、連続印刷で用紙ロスを削減し経済性に優れる。
ブルーとグレーにカラーリングされた機械構成要素、アクセスポイントを一直線上に集約した造形処理で、ユーザビリティーの訴求や一体感向上に一定の効果を発揮している。水平展開するサイコベクトルは、コンポーネントごとに扉を付設し操作とメンテナンス対応への造形処理とともに、実績のある画像操作環境(GUI)の継承によるスキルレスな造系処理がある。
製品はロール紙用に「インテリジェントクオリティオプティマイザーIQ-520」を活用したオペレーションの自動化、紙種ごとの設定プリセットや調整機能の簡素化により専任オペレーター不要の操作性を実現。「リアルタイムセンシング自動画質調整機能」により、作業時間を大幅に削減し、最大3000メートルまでの連続印刷で高速・高生産性を可能とした。ラベル印刷業界のDX化に大きく貢献する装置だ。
【和井田製作所】デジタルプロファイル研削盤 SPGーXV
プロファイル研削盤は機上の投影機で常時、確認・測定できるメリットがある半面、作業者の目視力、熟練度により加工精度にバラつきが生じるという課題がある。本製品は80年来継承されてきた光学式投影機が抱えるさまざまな課題を、独自のデジタル画像処理技術で克服し、誰もが高精度・生産性向上が実現できるデジタルプロファイル研削盤の最適解を目指して、意欲的にトライしている。
装置は、視野と分解能を両立させる高画質CMOSセンサー(カメラ)により、400倍以上拡大可能な高精度デジタル投影機(モニター)を搭載し、より微細な精度確認を可能にしている。さらに画像編集処理を視野全体で常時行うエッジ検出により、目視に頼ることなくワーク形状を把握することを可能とし、エッジとDXF(図面データをCADアプリケーション間でユニバーサルに共有するためのCADデータファイル形式)との差をマイクロメートルオーダーの数値で求め、合わせ込む。
「DXエッジ検出技術」は金型部品であるパンチやダイのほか、円筒物などのさまざまなワークで鮮明なエッジを得ることを可能とし、さらにハイライト表示・軸停止機能、AR砥石(といし)表示機能、デジタルティーチング機能、リアルタイムギャップ表示機能など、高精度加工を保証するサポート機能を多く搭載している。
装置に搭載されるデジタル投影機は、目視差がなくなり作業の標準化が可能で、スキルレス化を実現している。モニターには投影機と同等サイズの4K・32インチタッチスクリーンを採用し、拡大縮小、移動などが直感的におこなえるデジタルインターフェースの革新性がある。
また、チャートを描く作業時間と投影機に貼り付ける作業スキルが全て不要になり、必要なのはCADデータのみでチャートレス化を実現する。操作盤は移動/可動式ペンダントでストレスフリーなユニバーサルデザインに対応する。
機械本体は全体カバーとインターロック式開閉扉で安全性を確保している。
上部スラント曲面造形でフルカバー仕様、正面には段取り性を確保する大型扉を設けるマシンは、オペレーターに配慮して機上にデジタル投影機を搭載し、移動/可動式ペンダントが配置されるユニバーサルデザイン。色彩は紺色とホワイトの動的コンビネーションとしている。
フロントに手動パルスハンドルを装備するが、トータルイメージにそぐわない未処理感が惜しまれる。コンフィギュレーションによる、機械要素の適切なスペース配置とデッドスペースの改善により完成度は一段と増す。
製品は、アナログからデジタルへの変革に挑戦し、エッジ検出技術とギャップ表示、AR砥石表示機能、ハイライト表示・軸停止機能によるスキルレス化、チャートレス化を実現する。画像編集処理を視野全体で常時行うエッジ検出により、目視に頼ることなくワーク形状をリアルタイムで把握できる。
図面とワークの合わせを全体のバランスを見ながらすばやく行い、部分加工が簡単に行えるデジタルプロファイル研削盤は、〝誰もが研削の達人〟になり得る可能性を秘めている。
FOCUS ON IT! ― 現物審査で注目されたデザイン技術開発
デジタル化で全視野を常時検出
技術部次長 中提 俊太
プロファイル研削盤の投影機は機械の上部に搭載され、焦点距離や照明の位置など取り付け寸法はすべて決められた中で設計を行ってきた。機械の剛性を上げるためベース部分の鋳物を厚くすると投影機の位置は高くなり、操作性が悪くなってしまう。機械剛性と操作性のどちらも犠牲にできないため、これまでとても苦労してきた。投影機の位置を変えることができれば設計の自由度が上がるという思いは常にあった。特に近年は女性のオペレーターも増えてきており、小柄な人は踏み台を2段にしないと投影機の上部まで見えないという声も聞き、何とかしたいと思っていた。
今回SPGーXVで投影機をデジタル化したことでようやくその課題が解決できた。操作ペンダントとモニターを機械から切り離し自立式にすることで、オペレーターは自分の使い易い位置に調整可能となった。多少コストは上がったがメリットは大きい。
開発当初はデジタル化によりチャートが不要になり、拡大倍率が100倍以上になるだけで十分利点になると考えていた。しかし、目視に頼るのであれば従来と変わらず、真のデジタル化とは言えない。そこでエッジ検出の技術を応用して「ハイライト表示機能」と「リアルタイムギャップ表示機能」を開発した。機能の効果は当社ウェブサイトでご覧いただきたい。
ワークと図面との合わせ作業や差分値の計測が特別なスキルを必要とせず誰でも可能になった。しかし、25ミリ×14ミリメートルの視野全体をライブ画像で常時エッジ検出し、図面との差をギャップや数値で表示するには、膨大な量のデータを瞬時に処理する必要がある。開発当初はソフトウエアのフリーズが頻発した。ソフトの構成を一から見直し、パソコンも処理速度が最も速い最新の機種にすることでようやく解決できた。
SPGーXVは超高精度な加工や難易度の高い加工を行うユーザーだけでなく、汎用的に使用する多くのユーザーにも受け入れられる機械になった。