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九州・沖縄 経済特集(2024年7月)
共創力で未来ソウゾウ
半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の製造子会社「JASM」では、年内に第1工場の量産開始を迎える計画だ。半導体生産が始まることでサプライチェーン(供給網)を通じた産業振興がいよいよ動き出す。
第2工場の建設も決まり、設備投資を反映した経済効果も続く見込みだ。2030年までの10年間で見込まれる20兆円超(九州経済調査協会調べ)の地域への経済波及効果は、産業界の多くのプレーヤーに力強い期待を抱かせている。
同時に人材不足、賃金相場の急上昇といった課題も浮かび上がる。一朝一夕では解決が難しい部分もあり、企業など単独での取り組みには限界がある。
加えてカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)や国連の持続可能な開発目標(SDGs)に代表される、喫緊の課題についても社会を挙げた解決が必要だ。
限られたパイを奪い合い、価格競争による消耗戦を繰り返すことでは持続的な社会には到達しない。“共創”こそ次代に向けて求められる力だ。
適切な競争と協働で価値を広げつつ、収益をあげることが持続的な経済・社会の実現に近づく。知恵を寄せ合うことで将来をよりイメージしやすくなり、描いたビジョンに向けて新たな社会をつくりだすことができる。
本特集では九州・沖縄における大手・中堅・中小企業をはじめ産学官の最新動向を紹介する。
自転車の国際ロードレース「ツール・ド・九州」は2024年も大分・熊本・福岡各県を舞台にする。(右から)北九州市でのエキシビションレースの成功を誓う倉富純男九州経済連合会会長、服部誠太郞福岡県知事、武内和久北九州市長
沖縄では新型コロナウイルス禍からの来訪客の戻りが続く。官民を挙げた取り組みを通じた、基幹産業である観光業の回復に期待がかかる(宮古島から望む来間島、沖縄県宮古島市)
九州各地で半導体産業の設備投資が計画され、連携の動きも活発化している(TSMCが熊本県菊陽町に設けた製造子会社JASMの本社)
九州セキュリティシンポジウム実行委員会(KYUSEC)は米国と連携してサイバーセキュリティーを強化する。「結束をさらに強固にする」と力を込める尾家祐二KYUSEC委員長=右とラーム・エマニュエル駐日米国大使
JR九州は観光列車「D&S(デザイン&ストーリー)列車」を通じて面的な地域振興につなげる。停車駅での地域の“おもてなし”も旅を盛り上げる(「或(あ)る列車」停車駅のJR田主丸駅で記念撮影する利用客、福岡県久留米市)