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第56回機械工業デザイン賞 IDEA
日本ロボット工業会賞/日本デザイン振興会賞/日本デザイン学会賞
日本ロボット工業会賞
【ダイヘン】半導体先進後工程向けパネル搬送ロボット「SPR―AD020BPN」
生成AI(人工知能)の爆発的な普及により、AIサーバーやデータセンター向けデバイスの需要が急激に拡大しており、膨大なデータ処理に不可欠となる「半導体の微細化」にかかる投資の増大が急がれている。その対策として、複数のデバイスを同一の基板上に高密度かつ立体的に実装した後にダイシングしチップ化する「先進後工程」への移行が急速に進んでいる。
先進後工程では、より高密度かつ大面積なウエハー、配線済みのインターポーザー、ガラス基板への実装ニーズが高まり、大型パネルのトレー搬送ニーズが発生している。これを受け、「大判を安全かつ安定的に搬送できる高可搬能力」「装置レイアウトに合う低いパスライン」「大きなストローク(可搬範囲)」「微細実装を損なわない低振動」の全てを高レベルで満たすパネル搬送ロボットで市場要請に応える。
ACサーボモーター駆動のパネル・レベル・パッケージング(PLP)搬送ロボットは、大判パネルサイズ500ミリ―600ミリメートル、業界最大の可搬質量20キログラムの高可搬能力を持ち、低床パスライン800ミリメートルと最大1500ミリメートルの昇降軸高ストロークによる広範囲可動域を実現している。動作時の加速度を0・3G(Gは重力加速度)以下に抑制、低振動設計と残留振動抑制機能で微細実装に影響を与えない性能を持つ。
また独自の電力線通信技術によりロボット・コントローラー間のケーブルを1本に集約する配線技術で簡易接続/省スペース/コストダウンに貢献する。さらに、不定形基板用吸着把持ハンドルや透明板にも対応可能な非接触アライメントなど、先進後工程で多数の実績を持つオプション機能を準備する。
ロボットは大型液晶を採用したティーチペンダントで、初心者でも直感的な操作が可能。また、半導体業界の安全規格「SEMI―S2」「同S8」に準拠、作業者の安全とライン運用の信頼性を両立させている。
ロボット本体は長期使用を前提とした信頼設計でメンテナンスフリー、動作回数やモータートルクなどの稼働データを外部に通知する監視機能による予兆検知などで保守性に対応する。加えて、搬送アライメントセンサーを内蔵し、装置フロントエンドモジュール(EFEM)各ポートへの個別センサー設置不要、アライメント処理を含む独自構成により基板処理毎時60枚の生産性とともに、簡易接続・省スペース・コストダウンで経済性に優れる。
製品はアーム軸を昇降機構の側面に配置するポール型・低床高ストローク型・ダブルアーム4軸スカラロボットで、低い位置へのアクセスを実現、低パスライン装置レイアウトに対応する。素材はアルミ板金加工で昇降ポール前後面を無垢板材とし低振動に対応する造形としている。
日本デザイン振興会賞
【キヤノン】全身用X線CT診断装置 Aquilion Rise
一般のコンピューター断層撮影(CT)装置は呼吸器、肝臓、膵臓(すいぞう)、腎臓、骨などの横向きの臥位(がい)撮影を主流とするが、症状が発現・増悪する疾患特性など把握・診断がしにくいことが課題であった。開発は、検査目的に応じて一つの装置で臥位のみならず、立位/座位をも可能とする3体位マルチポジションCTに照準する。新たな臨床価値の可能性を希求するシフトチェンジと言え、従来は捉えきれなかった疾患の可視化をサポートし、患者の生活の質(QOL)向上と健康寿命の延伸に貢献することを目指している。
装置は撮影スライス幅0・5ミリメートル×80列の新スライス方式を採用。90度のチルト、1580ミリメートル上下移動する独自のCTガントリー機構により、臥位/立位/座位の3体位での撮影を一台で可能とする。撮影自由度を拡張し、従来の臥位撮影では把握しにくかった病態、例えば脊椎すべり症やぼうこう脱などを症状の現れる姿勢での撮影・診断を可能にし、臨床価値の高い画像を提供する。
さらに患者誘導チルト機構やガントリー内部のボアライティング演出などで、優しさと不安軽減という体験品質にこだわる。
操作は画面で必要項目を確認した後、1ボタンで撮影準備までを完結できるワークフローを採用、シンプルで直感的なユーザーインターフェース(UI)設計により操作手順を最小化し、検査オペレーションの負担軽減に寄与する。また、本体および検査室に内蔵された4台のAI(人工知能)カメラ連携により、患者の見守りと自動ポジショニング/モニタリングを行い、その状態を操作パネル上にリアルタイム表示することで、安全性と操作性を両立しつつ作業効率を向上。
さらにエリアセンサーでガントリー可動による危険性を回避し安全性を確保している。架台の片持ち構造は、患者・医療従事者に最適動線を構築して広い作業空間を醸成し、検査効率の向上に寄与する。
装置はCT検査の未来を感じさせる先進性と装置の構造美を追求、重量1・7トンのガントリーを支柱スタンドが片持ち支持し、振動・変形を抑える独自のフレーム構造を特徴とする。信頼感を伴ったシンボリックな造形(モノ=ハード)として成立させ患者の不安軽減のため曲面基調のフォルムを追求している。
検査空間における装置の見え方や検査フローの中で感じる機器の存在感に配慮して、筐体(きょうたい)デザインを小さく優しい印象に整え圧迫感を低減するとともに検査室の開放感と視認性を高めている。さらにボア開口内を明るく照らす照明演出によって、不安や緊張を和らげる検査ホスピタリティー(コト=ソフト)の向上を図っている。
デザインはCT検査における姿勢、体位にこだわる。今後、視覚のみならず聴覚と触覚的配慮や人肌感覚などに対する検討が期待される。
日本デザイン学会賞
【コベルコ建機】超大型建物解体専用機 SK1300DLC
100トンを超える大型建物解体機は、搬送可能なサイズ/重量の単位で分解・組み立てがなされる。この製品は機能/性能で従来モデルを上回ることを目的としている。また、ボディーとアタッチメント(作業機)の分解性能を向上させ最小の投資で入れ替え、増車できるメリットの提供を狙う。
本機は従来の三つ折れ関節を四つ折れとし、100トン超クラス最大の作業高さ40メートルから作業最大深さ8メートルに対応する4仕様7タイプのアタッチメントバリエーションで、幅広い対象物の高さ・強度に応じて最適工法を選定できる。
また、各仕様間で共用アタッチメントを採用し、現場ニーズに対応する柔軟な仕様変更と稼働率向上を実現する。さらにフック構造、ガイド付き分割ピン、油圧ピン、クイックカプラー/マルチカプラー方式を採用し、アタッチメントの分解・組み立ての簡便性を確保する。エンジンはオフロード法2014年基準適合のいすゞ6WG1XDEVを搭載。トルクは向上し、排出ガス浄化装置(DPF)メンテナンス頻度は低減した。
本機は上方の視認性がよい3面ガード付きのチルトキャビンを標準装備。最新インテリアのキャビンは、レバー配置見直しにより操作性を向上させ、またエアサスペンションシートや背面のエアコン吹き出し口増強で快適性を強化している。搭載する10インチカラーモニターは2画面構成で、作業範囲や機械傾きなどを一括管理。イーグルアイビューにより、死角となる機械下部、左右後方を最大5個のカメラで監視し、情報管理による操作性と作業精度・安全性を高めている。
また、プレエアクリーナーの装備によるメンテナンス簡略化でトラブルを低減し、作業油タンクへのハンドレール・ステップ追加で上部アクセス性を改善、電動グリスポンプのホース経路見直しなどで保守性を向上させた。各仕様間での共用アタッチメントの互換キットは、入れ替え・増車のイニシャルコストを低減、分解・組み立て時間を大幅に削減し経済性に対応する。
本機はフック構造、ガイド付き分割ピン、油圧ピン、クイックカプラー/マルチカプラー方式の採用で、分解・組み立て作業の効率化を実現する。それによりアッパーフレームとブームフット接合部をサブフレームとする脱着性を高めた本体構造は、分解・組み立て性と搬送重量の両面に配慮した設計で、超大型機でありながら搬送性、機動性を重視した造形としている。
高層解体の四つ折れ超ロングアタッチメント仕様機(40メートル/35メートル)、三つ折れ超ロングアタッチメント仕様機(38メートル/35メートル/31メートル)と、低層解体のセパレートブーム仕様機、インサート付きセパレートブーム仕様機の4仕様7タイプをラインアップし、多様な解体作業に対応する。
