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第56回機械工業デザイン賞 IDEA
日本商工会議所会頭賞/日本産業機械工業会賞
日本商工会議所会頭賞
【日清工業】両頭平面研削盤 VNX―585i
この製品は40年間、同社の主力機種だった「V―5」を全面刷新し、高剛性、省スペース、高精度、作業性向上、および正面部のモジュール化・標準化にこだわって開発が進められた。製品展開の共通化や統合により、コスト面や生産効率改善で競争力を向上させ、市場のニーズや環境に対応する。
本体フレームは箱とリブの関係を従来機とは裏返したヒートシンク構造を採用。熱変位を抑制することで、機械設置面積を従来比30%削減し省スペース化した。また、主軸上下送り装置は、取り付け方向を主軸側面から挿入することで開口部を小閉断面とし、フレーム剛性を従来比30%高めた。
主軸はACスピンドルモーターで駆動、最高回転速度は毎分900回転、砥石(といし)周速度は毎分1650メートル。加工方式はロータリーキャリア/キャリアオシレーション(揺動)/ワークドライブ、砥石外径585ミリメートル、ワークサイズは直径160ミリメートル×厚さ70ミリメートル。ドレスツルアーをサーボモーター駆動で高トルク・安定回転化することで高負荷加工が可能となり、砥石ドレス(形状修正)時間を従来比50%短縮し機械稼働率を向上させている。
主軸クランプ作業の容易化と自動化、砥石角度調整機構による作業の容易化と完全自動化により、多品種ワークに柔軟対応するとともに、ドレス時の砥石平面度を向上させ高い研削精度を維持する。
操作盤のモニターはカラーユニバーサルデザインで分かりやすい。マシンの上下フレーム一体構造は上下主軸の取り出しを改善し保守性に対応。右側面に従来機比4倍の大開口化した作業窓を設置して砥石交換や砥石角度調整などの作業性が格段に向上。特に、正面部のモジュール化・標準化による設計の共通化は、納期を大幅に短縮し経済性に寄与する。
約80キログラムある砥石の保守・交換は新設計したスイングアーム式砥石交換装置で安全性と保守性に対応、作業負担を軽減している。
正面部のモジュール化・標準化により設計された箱型コラムベッドはマシンの拡張性に対応する。クーラント排出は後部、左右の3方向からの選択式で自由度の高いレイアウトが可能。コンパクト化したマシンの右側面はテーパー形状で作業性に対応するとともに、ボリュームの低減を狙う。白と黒のモノトーンでスタイリッシュな造形は研削盤としては画期的である。
この製品はヒートシンク構造を採用したことで、機械設置面積の省スペース化と、熱変位を抑制し高精度維持を達成。また、砥石の交換は機器全体を開放することなく可能とし、右側面はテーパー形状で作業効率を大幅に向上させている。上下フレーム一体構造による正面部のモジュール化・標準化による統合性と展開性は、コスト面や生産効率改善で競争力向上の潜在力を持つ。
最適な砥石角度、自動で切り替え
開発課主任 澁谷 光市
当社が製造する両頭平面研削盤は、上下の砥石(といし)を平行に配置し、その間に加工対象物(ワーク)を通すことで研削を行う。加工方式と研削量によっては、下砥石を基準として上砥石に0・001―0・5度のわずかな角度を付ける。この調整は、主軸下側の支点を基準として上側に配置した向かい合う4本の調整ボルトを押し引きして行う。
この作業では機械上部で調整を行う作業者と砥石部で角度を測定する作業者の連携が必要であり、2人作業を前提としている。わずかな角度の調整には熟練者の経験や勘に基づく「カンコツ」が必要となっており、不慣れな場合には調整に半日程度を要することもあった。近年では当社内でも熟練者の減少に伴い、同様の状況が見られるようになっている。この構造が長年続いてきたことから、調整の難しさを前提とする意識が定着し、構造そのものを見直す議論はこれまで行われてこなかった。
新型機VNXでは、この基本構造から見直した。従来のように向かい合うボルトを押し引きする方式ではなく、片側はバネによる支持構造とするとともに、受け側の構造も最適化した。その結果、調整は調整量のみで管理できるようになり、熟練者のカンコツに頼る必要がなくなった。さらに主軸のクランプ方式にも新構造を採用したことで、従来は2人で行っていた作業を1人で行えるようになった。これらの構造により、調整の定量化と容易化が可能となり、角度調整の自動化という発想につながった。
自動化は多品種生産を行うユーザーを想定している。ワーク品種ごとに研削量が異なる場合、最適な砥石角度もそれぞれ異なる。例えば、研削量の異なる3種類のワークを加工する場合、従来は全てのワークに対応できる中庸な砥石角度に設定せざるを得なかった。その結果、各ワークに対して最適な加工条件を適用することができず、加工効率や加工精度の面で制約があった。自動化によりワークごとに最適な砥石角度へ自動で切り替えることが可能となり、加工時間の短縮と加工精度の向上が期待できる。
日本産業機械工業会賞
【芝浦機械】超精密非球面加工機 ULG―100H(H3)
この製品は「部品の精度は、それを加工する機械の精度で決まる」という工作機械の母性原理に挑戦し、「うねり成分をリアルタイムに相殺する」制御を可能とした。スマートフォン、医療機器、車載カメラなどの高性能化に伴い、搭載される光学レンズには極めて高い精度が求められる。同社は光学レンズ金型やガラス加工において、V―V転がり案内の「高い剛性」と「安定性」を維持しつつ、油静圧案内に劣らない「加工面の滑らかさ」を両立させる「真直度サーボ補正機能」を核とした超精密非球面加工機でこれに応える。
最大の特徴は、ハードウエアとソフトウエアの融合によるリアルタイムな真直度サーボ補正機能だ。製品の軸構成は、刃物台のX軸(テーブル前後)、Y軸(工具軸上下)、Z軸(ワーク頭前後)と回転系の主軸C軸の4軸構成で、リニアモーター駆動+真直度サーボ補正機能を搭載する。
2自由度リニアエンコーダーを直交X・Z軸の2軸に採用、基本軸の進行方向に加え、直交方向の位置検出を可能とし、その成分を相互にフィードバックすることで微小うねり6マイクロラジアン以下を実現している。
超精密加工特有の極めてタイトな調整には、作業者の熟練度に依存しない自動化・デジタル化要求に応えるべく、超精密加工を支える独自のソフト群を搭載するスタンド式操作盤を新開発し、操作性を向上させた。
加工面の滑らかさを得るために油静圧案内を利用する場合、室温で油の粘度が変化し、発熱や圧力変動が生じるため、厳密な温度・圧力管理が必要となる。
本機はV―V転がり案内を採用。複雑な油圧ポンプやしぼりなどのシステムが不要で、熱変位のリスクも低く保守性に優れる。さらに微小うねり(輪帯)を極限まで低減するので後工程の研磨時間を大幅に削減でき経済性に優れる。
高い剛性と位置決め再現性(安定性)を誇るV―V転がり案内を採用する本機は、切削抵抗や振動に対する強固なベースを造形の基礎とし、マシンフロント上面角部を面取り処理して水平可動扉を設けるシンプルなフルカバーを標準採用。安全性向上と先進的かつハードなデザインで差別化を明示する。転がり案内の機械的誤差(ハード)に依存せず、理想的な空間軌跡をソフトウエアの力で補正する造系(ソフト)との相乗を構築したシステムデザインとしての明確なこだわりがある。
油静圧案内機は剛性や長時間の安定性に弱点があるのに対し、本機は転がり案内の「剛性・安定性」をそのままに、独自の補正技術により高傾斜角ワークにおいても油静圧案内に匹敵する“滑らかさ”“微小うねり解消”により、脆性(ぜいせい)材の研削加工安定性と長時間稼働を実現。超精密加工の常識を覆す圧倒的な加工性能を誇る。
