-
業種・地域から探す
続きの記事
茨城県産業 明日への挑戦
経済活性化へ戦略的に企業誘致
地域経済の持続的な発展に向け、茨城県の産業界は新たな局面に挑む。物価上昇や人口構造の変化、グローバル競争の激化など、企業を取り巻く環境はかつてなく複雑だ。県や金融機関などは、県内企業を継続的に支援する。企業の経営環境の改善を促し、産業基盤の強化と成長力を底上げする。今回の「茨城県産業特集」では、大井川和彦茨城県知事の産業振興の取り組みのメッセージのほか、県内金融機関のトップメッセージ、県内国立大学の動向などを紹介する。
【メッセージ】 茨城県知事 大井川 和彦 氏
-
茨城県知事 大井川 和彦 氏
加速度的に進む人口減少をはじめ、私たちを取り巻く環境は大きく変化しており、乗り越えなければならない課題も山積しております。
こうした大きな時代の変化を乗り越えていくためには、まずは本県経済の成長を一段と加速し、豊かで経済力のある社会を構築することが不可欠であると考え、県では、戦略的な企業誘致や、物価上昇を上回る賃上げを通じた経済の好循環の創出、企業の生産性の向上や担い手の確保など、本県経済の活性化につながる施策に力を入れているところです。
まず、企業誘致については、生産性の高い企業の誘致により新たな経済活動を生み出すとともに、若者が望む魅力ある雇用を確保していくため、知事就任当初から最重要の施策の一つとして位置づけてまいりました。そして、半導体や次世代自動車などの成長産業や、給与水準や利益率の高い高付加価値な産業の誘致に向け、東京への近接性や充実した広域交通ネットワークなどの優れた事業環境を本県の優位性としてPRするとともに、前例にとらわれない、思い切った手法を取り入れながら、戦略的に取り組んでまいりました。
-
常陸那珂工業団地第2期拡張地区(茨城県ひたちなか市)
具体的には、全国トップレベルの補助制度の創設や、公共工業団地の分譲価格の見直し、県施行の工業団地の開発、企業誘致に特化した専門組織である立地推進部の創設、立地推進東京統括本部によるきめ細やかな営業活動などにより、精力的に取り組んできたところです。
この結果、本年公表された2024年工場立地動向調査において、本県は、県外企業立地件数が8年連続で全国第1位、工場立地件数が2年連続で全国第1位となったほか、知事就任以降の8年間累計の設備投資額も1兆円を超え全国第1位となるなど、全国に誇り得る実績を挙げており、本県経済の発展に大きく貢献しているものと考えております。
今後も、現状に満足することなく、企業の立地ニーズを的確に捉えた戦略的な誘致活動と産業用地の整備を推進し、1社でも多くの優良企業の立地を実現してまいります。
また、特色ある産業の創出と集積により、本県経済の将来にわたる持続的な成長を図るため、本県の強みである最先端の研究機関や優れたものづくり企業の集積を生かした関連産業の創出・育成を目指し、宇宙ビジネスの拠点づくりやスタートアップ企業の創出・育成に力を入れています。
まず、宇宙ビジネスの拠点づくりについては、関係省庁や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などとの連携、昨年発足した共同受注体制「IBARAKIスペースサプライネットワーク」による受注拡大の取り組み強化など、県内企業の宇宙ビジネスへの参入促進や、宇宙ベンチャーの創出・誘致に取り組んでいるところです。
また、スタートアップ企業の創出・育成については、先端技術分野の起業家や研究者に対し、国内外の投資家向けのプレゼンテーション機会を提供するとともに、スタートアップ企業の優れたサービスや製品の市場への普及拡大を目指し、県独自の事業者認定制度を創出し、認定事業者からの積極的な製品調達や、産業界とのマッチングを進めることなどにより、世界に向けた挑戦を後押ししているところです。
生産性向上・DX推進後押し
一方、持続的な経済成長のためには、物価上昇を上回る賃上げを通じて経済の好循環を安定して実現していくことが極めて重要です。
まず、最低賃金の引上げについては、本年度、県・労働団体・経済団体の3者間で、本県の経済実態に見合う最低賃金額への引き上げに係る中長期的な目標について合意を得たほか、私自ら茨城地方最低賃金審議会において意見陳述を行い、引き上げの必要性について粘り強く理解を求めた結果、本年度の最低賃金の引き上げ額は、国の引き上げの目安額に6円上乗せした69円となり、最低賃金額は過去最高の1074円となったところであり、昨年の引き上げ額52円を大きく上回りました。
9月の補正予算において、最低賃金の地方上乗せ分の一部を補助する「地域賃上げ加算支援事業」を新たに立ち上げるなど、最低賃金引き上げの影響を受ける企業をしっかりと支援しつつ、引き続き、全国上位にある経済実態に見合った最低賃金額への引き上げを目指し、関係機関への働きかけを継続してまいります。
一方で、労働者の賃金の底上げに向けては、企業が適切な価格転嫁により賃上げに係る原資を確保するとともに、生産性向上により収益力を強化することが大変重要であると認識しております。
まず、価格転嫁については、県独自の相談窓口を開設したほか、中小企業に専門家を派遣し価格転嫁のノウハウを提供するプッシュ型の伴走支援に取り組んでおります。
また、生産性向上については、中小企業が大規模な設備投資に果敢に挑戦できるよう、融資期間を従来の融資制度より長い最長15年とする「イノベーション投資促進融資」を10月から開始したほか、生産性向上のための設備投資に最大100万円を助成する「いばらき業務改善奨励金事業」を10月から増額したところです。
さらに、産業技術イノベーションセンターにおいて、ものづくり企業などの自動化・省力化を後押しするためデジタル技術活用の伴走支援を行うなど、デジタル変革(DX)の推進に向けた支援を行うとともに、価格決定力を持つ製品やサービスなど新たなビジネス創出のための伴走支援にも力を入れております。
-
若者の茨城県内就職を後押しする合同就職面接会
このほか、人手不足が深刻さを増す中、若者などの県内就職を促進するため、県内企業を多数集めた合同就職面接会の開催や、卒業年次未満の大学生などを対象とした業界研究会の開催、企業の人事採用担当者などを対象とした採用力強化セミナーを実施するなど、企業の採用活動を支援しているところです。
また、インドをはじめとする外国人材の確保を支援するとともに、労働環境整備などの優良事例や外国人の経営参画などの先進事例を広げていくため、本年度から「外国人受入優良企業等認定制度」を創設するなど、企業の更なる成長に貢献する優秀な外国人の受け入れ・定着を促進してまいります。
このような取り組みと併せて、不法就労などルールを守らない者に対し厳格に対応することも必要であることから、事業者や業界団体などが自ら外国人材の適正雇用を宣言する「適正雇用推進宣言制度」を創設し、業界やサプライチェーン(部品供給網)全体での適正雇用を促進するほか、県内各地で巡回パトロールなどを行うキャンペーンを強力に展開しております。
さらに、生産性向上を担う人材の確保・育成に向け、リスキリング推進宣言制度やワークショップなどによる「意識啓発・機運醸成」と、デジタルスキルを活用した課題解決講座などの「スキル習得支援」の2本柱で、県内企業のリスキリング推進を支援しております。
加えて、2028年4月には、県内5か所の産業技術専門学院を2か所に再編し、先端分野の技能習得やリスキリング支援など、産業人材の育成拠点としての機能を強化するとともに、県立産業技術短期大学校について26年4月の「情報テクノロジー大学校」への移行に向けた開校準備を進めているところです。
県といたしましては、先行きの見通しが難しい状況にあっても、本県経済が将来にわたり発展していけるよう、今後も「活力があり、県民が日本一幸せな県」を目指し、「新しい茨城」づくりに全力で取り組んでまいります。
