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第21回 2024“超”モノづくり部品大賞
モビリティー関連部品賞
中興化成工業/薄肉切削加工技術を用いたふっ素樹脂(PTFE)製ダイヤフラム
超大型・薄肉の分離膜
中興化成工業の「薄肉切削加工技術を用いたふっ素樹脂(PTFE)製ダイヤフラム」は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型月着陸実証機「SLIM(スリム)」の酸化剤タンク内に搭載された気液分離膜だ。月への着陸に不可欠な大型タンクの実現と重心保持性向上などの課題を克服、ミッション成功に貢献した。
材料適合性を持つPTFEを切削加工、直径約800ミリメートル、厚さ1ミリメートル以下の超大型かつ薄肉の一体成形品として仕上げた。従来の金属製に代わり、軽量性と柔軟性、繰り返し作動性能を兼ね備え、類を見ない大きさながら最適な形状を持つ製品を実現した。製造にあたり素材特有の温度による寸法変化を、蓄積してきた加工技術と治具開発により乗り越えた。
今後、他の宇宙機への展開を期待するほか、ふっ素樹脂成形品の品質向上への応用を目指す。
MOLDINO/高硬度鋼加工用高送り小径複合ラジアスエンドミルEHHRE-TH3 mini
加工能率15倍 工具寿命2倍
MOLDINOの「EHHREーTH3 mini」は、高硬度鋼の高送り加工に対応した外径1ミリメートル未満の小径エンドミル。独自の複合ラジアス形状を採用し、高硬度鋼を使用した精密な樹脂金型やプレス金型の荒加工で、従来のラジアスエンドミルと比べ15倍の加工能率や2倍以上の工具寿命を実現した。
例えば水素エネルギーで注目される燃料電池では、溝幅1ミリメートル未満の微細な溝が多数形成されたセパレーターが採用され、セパレーターを精密にプレスする金型も同様に高精度な加工が求められる。同部品は従来のラジアスエンドミルやボールエンドミルと比べ、燃料電池セパレーター向け金型加工において削り残し量が少なく高能率な加工が可能で、工具使用本数や製造コストを低減できる。
燃料電池セパレーター向け金型をはじめとする高硬度鋼金型の生産性を大幅に向上し、自動化や環境負荷低減に貢献する。
ジェイテクト/高耐熱リチウムイオンキャパシタ「Libuddy」
マイナス40℃ープラス85℃で動作
ジェイテクトの「高耐熱リチウムイオンキャパシタ『Libuddy(リバディー)』」は、高耐熱・高出力・長寿命を特徴とした製品。同社によると、独自技術によりマイナス40度Cープラス85度Cの動作温度範囲を世界で初めて実現した。自動車などの過酷な温度環境でも冷却装置や加温装置が不要となり、電源製品の小型化やエネルギー効率の向上に貢献する。
放電・充電が非常に早く出力密度に優れる。また繰り返しの充放電による性能劣化が少なく、電池寿命が長いことも特徴。正極には活性炭を用いており、リチウムイオン二次電池で懸念される、熱暴走反応を誘発する酸素を含有せず、発火リスクも極めて低い。
自動車をはじめ工作機械や建設機械、鉄道、交通インフラといった領域で電力補助、電源バックアップ、電源回生、電源安定化、主電源など向けに提案する。