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第21回 2024“超”モノづくり部品大賞
モノづくり日本会議 共同議長賞/ものづくり生命文明機構 理事長賞
【モノづくり日本会議 共同議長賞】
不二越/バリレスシリーズ
切削加工ーバリ極小化
不二越の「バリレスシリーズ」は3種類の工具の総称で穴加工やネジ加工、側面加工のバリを低減する。バリ発生のメカニズムを徹底的に分析し、バリを極小化しながら、切削条件は従来と同等で長寿命かつ安定加工を実現した。「切削加工でバリが出るのは当たり前」「加工後のバリ取り作業は必要不可欠」といったこれまでの固定観念を覆した。
穴加工の出口側でバリを低減する「アクアREVOドリルバリレス」は、先端の刃先を鋭角にして振れを抑制した。外周の形状も切削抵抗が小さくなるようにし、ドリルがワーク(加工対象物)を抜ける際、バリを細かく分断・切除しワークに残さない構造を取り入れた。傘の形をした切りくずを除去し、手作業のバリ取りや検査工程を省ける。時間短縮やコストダウンにつながる。
また「SGスパイラルタップバリレス」はネジ加工の内径側でバリを低減。「アクアREVOミルバリレス」は側面加工の上面側でバリを抑制する。
喜びの声/常識ー覆しに挑む
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社長 黒澤 勉 氏
社長 黒澤 勉 氏
「切削加工後のバリ除去に時間とコストがかかる」といったユーザーの困りごとを解決するため、これまで培ってきた技術を結集させ「バリが出るのは当たり前」「加工後のバリ取りは当然」といったこれまでの常識を覆してバリの極小化に挑み、完成したのが今回受賞した「バリレスシリーズ」です。ドリル、タップ、エンドミルの3種類それぞれでバリの発生を抑制する工具形状を採用し、バリの極小化を実現しました。
この「バリレスシリーズ」を商品化したことにより、自動車部品や産業機械などの幅広い分野で、バリ取り作業やバリ検査工程を削減し、生産性向上に貢献することができました。今後も技術革新により、切削加工に新たな価値を提供していきます。
【ものづくり生命文明機構 理事長賞】
CCHサウンド/軟骨伝導振動子
軟骨の振動ー音を生成
軟骨伝導振動子はイヤホンや集音器など、すべての軟骨伝導機器のコア部品である。2021年に開発に成功し、23年に丸形とディスク型の二つの形状の軟骨伝導振動子を発売した。丸形はイヤホンとして使用でき、ディスク型はスマートフォンやスマートグラスなどに組み込める。
軟骨伝導振動子のもとになったのは、奈良県立医科大学現学長の細井裕司教授が04年に発見した第三の聴覚「軟骨伝導」。軟骨の振動が外耳道内に音を生成、鼓膜を通じ音が聞こえる仕組みだ。CCHサウンドは軟骨伝導の産業化を目的に、19年に設立された。同社は軟骨伝導に関する特許の独占的実施権を保有。ライセンス供与により、オーディオテクニカ(東京都町田市)から軟骨伝導ヘッドホンが発売された。
25年大阪・関西万博では、パソナグループのパビリオンでスタッフ用インカムに使われる。万博を契機に、軟骨伝導技術を世界に発信していく。
喜びの声/「第三の聴覚」製品化
社長 中川 雅永 氏
このたびは、栄えある賞をいただき誠に光栄に存じます。
当社は2019年に設立しました。奈良県立医科大学現学長の細井裕司教授が04年に発見した「軟骨伝導」の製品化を通じ世の中に貢献すべく、取り組んでいます。「軟骨伝導」は気導、骨伝導に次ぐ第三の聴覚です。
難聴は認知症との相関が指摘されています。人生100年時代において、難聴はコミュニケーションを難しくし、人生の満足感を左右します。集音器などに軟骨伝導技術を応用し、認知症予防に貢献していきたいです。
軟骨伝導技術は応用範囲が広く、市場は世界にあります。日本発の軟骨伝導技術でイノベーションを起こし、音に関する当たり前を変え、産業界に貢献していきます。